「……クロロって素人童貞なの?」
「ブッ」
長閑な昼下がりのクロロの自宅。
超高層マンションの最上階のこの部屋は、春夏秋冬を問わず麗らかな日差しが差し込む部屋だ。
滅多に帰らないのに勿体無い、とは最初思った。
だが バカと何とかは高いところが好きって言うじゃない? という親友の(とても酷い)言葉に妙に納得し
更には凡そ一般人(というより常識)と掛け離れた彼の金銭感覚にしてみれば安い物件なんだろうという考えに行き着いた。
何せ、が新しい服が欲しいと言えば、高級ブランドの店を丸ごと買い取るような男である(盗むな、と言ったらこういう行動に出た)
そして今は二人で住むには広すぎるクロロの自宅の、これまた広すぎるリビングのソファで寛いでる真っ最中。
読書をするクロロの傍らでとメールしていたが、から届いたメールを見てクロロに聞いたのだった。
そしてクロロは飲もうとして口に含んだコーヒーを、恋人から掛けられた思いも寄らない言葉に盛大に噴き出した。
「な…にを言い出すんだ、」
「ちゃんからメール。」
ほら、と差し出したディスプレイには、確かに「From:」の文字が見える。
そしてそのまま下に視線を移していけば
From:ちゃん
Title:クロロって
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素人童貞らしいよ?
シャルがノブと話してたのこっそり
聞いただけだからアレだけど。
そこんとこどうなの?
クロロから聞いた?
まだなら聞いてみてよ(笑
そんでどうなのか教えて頂戴♪
-END-
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シャルナークとノブナガか。今度会ったら殺してやろうか。
クロロは眉間に皺を寄せ、顔を引き攣らせながらを見た。
は相変わらず「そうなの?」とでも言いたげな顔でクロロを見つめている。
そうでないと言えば嘘になるし、そうだと言えば軽蔑される。
事実、女を買った事もあれば手篭めにした事もある。
どうしたらいいんだとクロロは一人思い悩んだ。
その間にものメールを打つ指は動いている。
彼女のその答えが聞きたい(というか見てみたい)というのが本音なのだが。
「あー……」
「どうなの?クロロ」
「…聞いてどうするんだ?」
それ以前に何故いきなりこんな質問をしてくるのか判らなかった。
元々おっとりしていて多少天然気味な所があるのは自覚していた(その割に行動が大胆だ、とも)
そもそも、のそこに惚れたのだ。
恋愛には鈍感なと付き合うのはクロロにとっては辛く甘い試練だった。
何せ、そういう雰囲気に持ち込もうとすれば必ずの邪魔が入ったのだから。
アジトでならまだしも、旅行先や仕事先でまでである。
盗聴器でも付けられてるんじゃないか?というほどのナイスタイミングで、は必ずに電話をしてきたのだ。
大事な親友だから仕方ないと言ってしまえばそれまでなのだが。
そういう事情もあって、初めてと体を重ねたのは付き合い初めてから1ヶ月が経ってからだった。
「どうって…なんとなく?」
「なんとなくって…」
それもがフェイタンとそういう関係になってからは、ぱたりとなくなったのだが。
要はオレは当て馬か?のフラストレーションの八つ当たりか?
そう思っては見たものの、彼とて彼女の念能力の恐ろしさは重々承知なので、言えなかった。
(それににそんな喧嘩を吹っ掛ければフェイタンも黙っていないのだから)
「フェイタンもそうだったんだって」
「は?(あいつはに言ったのか?!)」
ほら、と差し出されたメール。それもやはりからのメールだった。
From:ちゃん
Title:つかさー
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フェイタンもそうだったんだよねー
うちは別にいいかなって感じだっ
たけどね〜。
今が私だけなら、って感じ。
やっぱテクは大事だし(笑
相手がプロにせよ素人にせよ、
場数踏んでない男は嫌(笑
-END-
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お前らいつもこんなメールしてんのか?!(女のこのテの話はエグいんだよな…)
そう叫びたくなるのを堪えて、クロロは顔を伏せたままの肩に両手を置いた。
は首を傾げて「どうなの?」と聞いてくる。その無垢な表情が今のクロロにはとても痛かった。
「…………当たらずしも遠からず、だ」
目を思いっきりそらしたまま、半ば吐き捨てるようにに告げる。
「ふーん」
「……それだけか?反応は」
「うん、なんかそんな感じしてたから」
なら聞くなよ! とクロロは思った。
軽蔑されなかっただけいいか、とも。
「はぁ……」
「でも今は私だけだよね?」
「………あぁ、だけだ。」
「うん、ならいいんだ。大好きよ、クロロ」
首に手を回しながら、にっこりと大輪の向日葵のような笑顔を浮かべて言う。
恋人の可愛らしい表情に、クロロはやんわりと微笑んで。
「オレは好きではないな……」
「えぇ?!」
「愛してるんだ、」
「………ッばか!」
恋の苦しみ
あるいは甘く辛い恋の試練
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え、これ初クロロ夢だよな…?
こんなんでいいんですか?テトラさん
(いいんです。うちの団長ヘタレですから)
2006/11/25 テトラ