「…ねぇ」
「ん?」
「オレの事、好き?」
「何、いきなり…」
「好きかどうか聞いてるんだけど」
月が煌々と照る晴れ渡った夜空。
月の光がやわらかく差し込むイルミの部屋のベッドの上 大きな枕をクッション代わりに。
はイルミのその言葉に、読んでいた雑誌から顔を上げた。
いつの間にか振り向いていたイルミの大きな瞳に射抜かれ、は一瞬息を詰まらせた。
「……好き、だよ?」
「そう」
イルミはテーブルに向かいながら鋲の手入れをしていた最中で。
からしてみれば、何の脈絡もなく掛けられた思いもよらない言葉に多少なり戸惑う訳で。
イルミはのその言葉を聴いて、長く伸びた黒髪を夜風に揺らしながらまたテーブルに向かった。
はといえば、怪訝な表情でそのイルミの背中を見つめている。
(何だってのよ……)
暫くそのまま見つめていたが、一向に振り向く気配がないので、はまた雑誌に視線を落とした。
最近流行らしい服やアクセサリーが並ぶ、まぁこの年頃の女性にありがちなファッション雑誌だ。
何か気に入った物があれば、自分から街へ出て買いに行っていた(勿論、強制的にイルミも付いて来るが)。
何度かデート(イルミは絶対に認めなかったが)を重ねる内、だんだんとイルミは街へ行くのを渋るようになって
イルミが命じて、の私物を使用人達が買ってくるようになったのはつい最近。
イルミはが街へ行くのを嫌がった。
それは極端な話愛情の裏返しなのだが、にとってはつまらない。
好かれている、愛されているという実感はある。
けれどもここまで束縛しないでも、という想いもそれは同時に心の中に存在しているのだ。
(ほんと、判らないヤツ…)
雑誌を閉じ、ベッドに横になる。
初春の暖かい夜風がの頬を撫で、髪が舞う。
はただぼんやりと、イルミに背を向けて壁を見つめていた。
***
「……」
さほど時間は経っていないように思えたが、思いのほか長時間物思いに耽っている内に眠ってしまっていたらしい。
イルミは鋲の手入れを終え、から少し離れてベッドに座った。
部屋はもう照明が落とされ、薄暗い部屋をベッドランプと月明かりだけが照らしていた。
背後から掛かる声には一瞬肩を震わせたものの、放置されていた苛立ちからそれを無視した。
「…起きてるでしょ」
ぎし、とベッドのスプリングが小さく鳴る。
近づいてくるイルミの気配に、は身を強張らせた。
「……」
「……何」
「手入れ、終わったんだけど」
再度名を呼ぶイルミの声は、ほんの少しの怒気を含んでいた。
それを瞬時に察知したは、クッションを抱えて背を向けたまま、応えた。
「どうしてオレを見てくれないの」
「………」
久しぶりに二人きりなんだから、鋲にばっかり構ってないで私にも構ってよ
なんて言える訳がない。
はただクッションを抱える手に力を込めた。
「アレ、今日仕事で使ったから。手入れしないと使えなくなっちゃうし」
「判ってる」
「じゃあオレを見てよ」
「………ごめん」
「ん」
さらりと髪を梳くイルミの細い指に、の心は幾らか懐柔された様子で。
まだむくれたままの顔をイルミに向ける。
イルミはそんなの頬を撫でながら、大きなアーモンド型の目を細めた。
「……ねぇ」
「んー?」
「オレ達、恋人同士になってからもう3ヶ月経つね」
「うん……っていうか、許婚?」
「そうだね」
言葉を紡ぐ間にも、髪を梳くイルミの手は止まらない。
紅いの髪に視線を投げたまま、イルミはゆっくりと、優しい口調で言葉を紡いでいった。
「………イル、ミ?」
「……オレはいつまで待てばいいのかな」
「………何を?」
ふと髪を梳くその手が止まり、イルミの真摯な視線に囚われる。
は怪訝な表情を浮かべ、上体を起こした。
「を抱きたい」
「…………イル…ミ」
髪を梳いていたその手はいつの間にかの手を捕らえている。
真剣なイルミの眼差しに、は言葉を失い、目を伏せた。
硬直したままのの頬に、イルミの体温の低い手が触れる。
ぴくりと体を震わせイルミを見上げれば、また真剣な眼差しに射抜かれて。
「…オレとじゃ、嫌?」
「……嫌、な訳…ない……でも」
「それじゃあ、怖い?」
「…少し…」
自分を見つめるイルミの視線が歯痒くて、はまた目を伏せる。
嫌な訳ではない。何度もそういう雰囲気になった事はある。
けれどもその先へ一歩踏み出す勇気がなくて、今まで一線を越えられなかったのは紛れも無い事実。
多少の恐怖心はある。
何より、イルミが仕事で不在だった時のあの出来事が脳裏を過ぎってしまうから。
大丈夫なんだと頭では理解していても、本能は危険信号を出す。
心と裏腹に拒絶する身体。
は目を伏せたまま戸惑うばかり。
「……ねぇ。オレはが好きだよ」
「うん…」
「だから、抱きたい」
「……う、ん」
言うべきか、言わざるべきか。
未だ戸惑うばかりのの身体を、イルミの体温が包み込んだ。
小柄なはイルミの腕の中にすっぽりと納まり、ただ硬直して顔を赤く染めていた。
「……いい?」
「……ん…」
遠慮がちに顎に添えられたイルミの手。
そのままゆっくりと持ち上げられれば三度かみ合う二人の視線。
壊れ物を扱うように、触れるだけのキスを何度も落とすイルミの服を掴み、はそれを受け入れた。
「……」
「イルミ……」
背に添えられた手は、の身体をゆっくりとシーツに沈めていく。
ぎし、とまたスプリングが小さく鳴いた。
「……ッ」
途端、フラッシュバックしてくるあの光景。
目の前にいるのは確かにイルミのはずなのに、本能が逃げろと警告する。
は頭を振り、その思考を中断させようとした。
当然、不可解なの行動にイルミは疑問を抱く訳で。
「……?」
「あ……ごめ…っ」
ぽろぽろと大粒の涙がの琥珀色の瞳から流れる。
イルミは一瞬眉を顰め、の涙を指先で拭った。
「……怖いの?」
「ちが…っそうじゃ、な…っ」
泣き止まないの髪を優しく撫でながら大丈夫だからとイルミは繰り返す。
はイルミの肩に縋り、嗚咽交じりに声を紡いだ。
「……っ前、に…っ」
「うん」
縋るの背に手を回し、優しく抱き起こして背を撫でながらイルミは応える。
は顔を伏せ、長い髪が表情を隠した。
けれども零れる涙だけは隠す事が出来ず、の涙がシーツに小さく痕を残した。
「イルミが仕事でいなくって……私、イルミから預かってる物がある、って…っヒソカに呼び出され、て…っそれで…っ」
「………」
「何も、なかった…けど……っそれが重なって…怖くて……っ」
「そう……」
イルミの声に殺気が篭っていたのには気づかないフリをして。
は肩を掴む手を首へと回し、イルミの首筋に顔を埋めた。
「ごめんなさいぃ……っ」
「……は悪くないでしょ?」
「でも…っイルミ、好きなのに……っ」
「…ねぇ、オレを見て?」
「ぅ……っ」
「今の前にいるのは、オレでしょ?」
「うん……」
「だから、大丈夫」
「イル……」
最後まで言葉を紡ぐ前に、その言葉は優しい口付けに飲み込まれて。
はくらくらと揺れる思考回路を必死に繋ぎとめるように、イルミに縋った。
そんなをイルミは強く抱き寄せ、何度も、何度もキスを落とす。
時折、愛してると囁きながら。
「イルミ……」
「感触がさ、すごくいいんだよね。の唇って」
「知らな…っ」
「ずっと。触れたいって思ってた」
するりと、イルミの冷たい手がシャツの中へ入り込む。
いくらか遠慮がちに触れたその手は、加速していく熱とは対照的にとても冷たく感じた。
はその冷たさに息を呑み、縋る腕は一層強くイルミの首に絡んだ。
「ん…ッ」
「…」
名を呼ぶ聞きなれたアルトテナーはいつもとは違い、明らかに艶を含んでいる。
背を支える手と、胸に触れる手の熱がもどかしくて。
はまた、イルミの首筋へ顔を埋めた。
「イル…っやぁ…」
「嫌じゃないでしょ?」
「ッふぁ…ぅっ」
ゆるゆると撫でるだけで、イルミの手は決定的な刺激はもたらさない。
首筋に埋めたままの頭をゆるゆると振れば、背を支える手の感触が消えて。
とさりと、優しくシーツに降ろされれば、目の前にはイルミの顔があって。
「……イ、ルミ」
「うん、オレだよ?」
「うん…イルミだ…」
頬に掛かる、イルミの長い髪の感触が擽ったい。
ぱらりとイルミの黒髪が落ち、の紅と交じり合う。
首筋に顔を埋め、柔らかな刺激を与えながらの額を撫でる。
「っ…」
「力抜いてよ。」
「って……無理ぃ…はずい…っ」
「……後が辛いよ」
ぷち、とボタンの外れる音がした。
外気に晒された肌を、まだ少しばかり冷たい夜風が撫でる。
背中がゾクリとしたのは、その夜風に当てられたからだと無理矢理に思い込んで。
「やっぱり、綺麗な肌してる」
「やぁ…っイルミ…っ」
「うん。ちゃんといるよ」
イルミの長い髪が素肌に触れる。
自分の髪とはまったく違うその感触と、鎖骨に這う生ぬるい感触にまた背中に刺激が走った。
時折走る、ちくりとした痛み。
の白い肌に、紅く無数の華が散った。
「ひゃ…っあ…」
するりとシャツを脱がされ、背に回る手が下着のホックを外して。
下着すら取り払われ、露になった上半身をイルミが見下ろす。
は顔を紅く染め、イルミから視線を逸らした。
「…うん、やっぱり綺麗」
「ッや…ぁっ」
「の胸、柔らかいね」
「しら…ないぃ…っ」
いくらか体温が上がったイルミの手はそれでもまだ冷たく、胸を這うその冷たさには肩を震わせる。
鎖骨の辺りを這っていた生ぬるい感触が、段々と下に降りる。
「ッぁ…!」
「ここも、綺麗」
外気に晒され、冷たい手に触れられた其処は硬みを帯びていて。
イルミは舌先で舐めるだけの刺激を繰り返し与えながら呟いた。
「イ、ルミぃ…っ変…やだぁ…っ」
「大丈夫…」
髪に手を通しながら頭をきつく抱くの手をゆっくりと降ろし、指を絡める。
繋がる右手の、熱が溶け合って。
「っふ…ぅぁんっ」
「いい声。ねぇ、もっと啼いて」
先端を咥え、唾液を絡めながら口内で刺激を与えれば、それに呼応するように跳ねるの背。
絡んだ指に力が篭って、イルミはそんなに口角を上げるだけのかすかな笑みを浮かべた。
そしてまた、何度も何度も繰り返し刺激を与えていく度に上がるの呼吸。
揺れる理性をしっかり繋ぎとめるように指先に篭る力が愛しく感じた。
「や…っイルミ…ぃ…っ」
「気持ちいい?」
「ん…っぅん…っ気持ち、い…っひゃ…」
荒い吐息の合間に紡がれる声は艶を帯びていて。
女性にしては比較的低い部類に入るの声は、少しばかり甲高い。
それが自分の与える愛撫の所為だと思えば、愛しさは増すばかりで。
「……可愛い」
小さく囁いて、スカートから覗く太ももを撫で上げる。
その刺激に大きく身体を震わせたは、いくらか怯えた目でイルミを見上げた。
「大丈夫、って言ったでしょ」
「…っや…怖いぃ…っ」
「痛くないようにするから。」
掛かる髪を撫で上げ、額にキスを落としながら太ももを撫で上げる。
の、反射的に閉じられた瞳から、わずかばかりの涙が零れた。
イルミはその涙を舐め上げて、耳元で宥めるような優しい声で囁いた。
「平気だから、力抜いて?」
「ぅ…っイルミぃ……っ」
「……うん、いい子」
深く、奪うようなキスを落として、下着の上から其処をなぞる。
の背が跳ね、繋がったままの唇からくぐもった声が漏れた。
「……痛くないように慣らさないと、辛いのはだよ」
「…って…ぁぁっ!」
背が浮いた瞬間、スカートと下着を剥ぎ取られては色情に塗れた目を見開いた。
何も身に纏わない、生まれたままの姿のとは対照的に、いくらか着崩しただけのイルミ。
は焦点の合わない目をイルミに向け、力なく手を伸ばした。
イルミは伸ばされた手を絡め、またゆっくりとシーツに縫いつけた。
「……綺麗」
「や…っイルミ…ずるいぃ…っ」
「何が?」
「……っ私、だけ…っ」
「……あぁ、オレも脱げって?」
「………っ」
イルミはゆっくりとから離れ、服を脱いだ。
涙で滲む薄暗い視界に微かに見えたその痩躯はとても白く細かった。
「…イルミ……」
「これでいいでしょ?」
自分に跨るようにして見下ろすイルミの表情は、相変わらずつかめないまま。
ただ、その黒い瞳に映る自分の姿だけが幻想的に見えた。
「……イル…ミ…」
「平気だから、力抜いて」
下腹部を撫でるイルミの冷たい手。
これから来るであろう刺激に、の胸は高まる。
「…へーき……?」
「うん」
「イルミ…」
普段の姿からは想像もつかない程妖艶な笑みを浮かべたを見て、イルミの熱もまた上がる。
ゆっくりと手を下ろしていけば、シーツを掴むの手に力が篭る。
そのの手を横目に見ながら、イルミは誰も触れた事のないであろうの其処へ指を這わせた。
「ひゃ…っぁ、う…っ」
「……濡れてる」
「しら、な…っばかぁ……っ」
なぞり上げる度に上がる水音。
閉じようとする度に開かれる脚と、其処から上がる水音に聴覚までも犯される羞恥心。
は硬く目を閉じ、シーツを掴んで必死に理性を繋ぎとめた。
「……」
「や…っ痛ぁ…ッ!!!イルミ…っ」
「うん、力抜いて…じゃないと余計痛い」
目尻に零れた生理的な涙を舐め取って。
宥めるように髪を撫で、口付けを与えながら、ゆっくりと指を埋めていく。
「ん…っうぁあぁッ」
くぐもった声が繋がった唇の合間から漏れ、呼吸が上がる。
きつく閉じられた目から、また涙が流れて。
「ほら…入った。」
「や…っん…」
埋めた指を動かせば、それに呼応して上がる背と声。
溢れる蜜を絡めながら、ゆっくりと慣らすように攪拌していく。
「…イ、ルミ…ッイルミぃ…」
「うん、此処にいるから、大丈夫」
髪を撫で、ゆっくりと指を抜き身体を離すイルミ。
は怪訝な顔で見上げるが、尚もイルミは髪を撫でていた。
「…イルミ…?」
「ちゃんと慣らさないとね?」
髪を撫でる手が離れ、両足に掛かる。
イルミの両手で開かれた脚は、閉じようにも動かなくて。
ただ、自分の足の間に顔を埋めるイルミの髪に手を入れ、ゆるゆると頭を振る事しかできなかった。
そして突然与えられた、太ももへの刺激。
は背を大きく仰け反らせ、大きな嬌声を上げた。
「ッうゃぁっ?!や、イルミ…っだめ…っ!!!」
「すごい濡れてる」
「しらな…っやだぁ…っ!」
閉じようとする脚はイルミの腕に阻まれ、なおも蠢く奇妙な感触には妙な浮遊感を感じていた。
ただイルミの髪に指を絡め、その浮遊感に耐える事しか出来なくて。
「……ひ…ッや、これ…っいやぁ…っ!!!」
「…甘…」
蠢く舌の動きは止まる事なく、の熱を呑み込む様で。
蠢く舌と時折掛かる熱い吐息に翻弄され、意識はくらくら揺れて。
「やぁ…んっ!イルぅ………っ」
「すごいね、どんどん溢れてくる」
「っふ…ぅぁんっ」
「此処は?」
「ッひゃあぁっ?!や、そこ、やらぁ…ッ!!!!」
秘核を啄ばまれ、は呂律の回らない口で声にならない悲鳴を上げる。
イルミはその声を聞きながらも愛撫を止める事なくただを翻弄していった。
「指挿れるよ…」
「ん…っくぁ…痛…ッ」
「我慢して…」
くちゅくちゅと音を立て攪拌されていくの其処。
唾液と愛液とが交じり合った物がシーツに染みを作って。
段々と痛みは甘い快楽へ変わり、の口から紡がれる嬌声は艶を増して。
「ん…っふぁ…っぁ…イル…ッイルぅ…!」
「気持ちいい?」
「ぅん…ッ気持ち、い…ッぅぁっ…」
「増やすよ」
下半身の圧迫感が増す。
自分の胎内で蠢く奇妙な感覚に、は背を浮かせて息を漏らした。
「ん…っや、動かさな…やぁんっ!」
「もっと啼いて。その声、もっと聞きたい」
「イル、の…っ意地悪ぅ…っ!」
「意地悪だよ?」
にはね、と小声で言い、攪拌する指の動きを早める。
その度に上がるの嬌声はイルミの劣情を煽るばかりで。
細い糸一本で繋がれた理性を繋ぎとめながら、愛撫を繰り返した。
中を攪拌する指はそのままに、秘核を啄ばんで。
「ば、か…ぁ…っ」
「にだけだよ」
「ふ…ッぁ…や…なん、か…くる…っ」
「……イっていいよ」
「ひ……ッきゃぁあぁッ!!!!」
秘核をきつく吸い上げれば、は声にならない嬌声を上げて
身体を大きく痙攣させながら、達した。
イルミは呼吸も儘ならない力の抜けたの額を撫で、優しく口付けを落とした。
「……」
「イ、ル……?」
「……挿れても、いい?」
「……ぅ、ん…」
「痛くしないから。」
攪拌されきった其処へ、自身を宛がう。
ゆるゆると愛液を絡めるように擦り付ければ、の掠れた嬌声が上がった。
「や…っん…っ」
「ゆっくり挿れるから。痛かったらちゃんと言って」
「イル……」
「平気だから、力抜いてて」
くぷ、と小さく音を立て、イルミを呑み込んでいくの其処。
感じた事のない圧迫感に、は身体を強張らせた。
硬く閉じた目からはまた涙が溢れて。
「…ッ痛…っやぁ…っ」
「ん…ちょっとだけ、我慢して」
の涙を舐め取り、そのまま顔中に触れるだけの優しいキスを落としながら、ゆっくりと腰を進めていく。
その痛みには顔を歪め、イルミはそれを宥めるようにキスを落とす。
「イ、ル…ッ痛いぃ…っ」
「もう少しだから…頑張って…」
「ッぅ…ッあぁ…ッ」
「……ん」
イルミ自身に何かが当たる。それは紛れも無いの処女膜で。
の髪をかきあげ、優しく頬を撫でながら
「……我慢、してね」
深く、痛みを吸い上げるように口付けながら、一気に貫いた。
「ッ?!〜〜〜〜ッ!!!!!」
イルミの口内に、くぐもったの声が響く。
胸板を叩く手は力なく、閉じた瞳から涙が溢れて。
落ち着くまで、宥めるように口付けた。
「〜〜〜ッば、かぁ…ッ!!!」
「うん、でもほら、ちゃんと入った」
離れた口を銀糸が繋ぎ、は顔を覆った。
イルミはそんなの手を優しく退かせ、の瞼に口付けて、何時になく優しい声色で囁いた。
「このまま、ね」
「……イル…?」
「まだ痛いでしょ?」
「……うん……」
「無理はさせたくないから」
そう言って、首筋をきつく吸い上げ痕を残す。
そのまま鎖骨へと口付けを落とせば、またの呼吸が上がっていく。
「……ッイ、ル…も、いいから…っ動い、て…?」
「…まだ駄目」
「いい…っ我慢、するから…っ」
「」
「イル、だから…ッ平気……っ」
顔を上げたイルミの頬に、の手が力なく触れる。
イルミを見上げるの顔は色情に塗れ、普段からは想像も付かないくらい妖艶で。
イルミはの手を包み、指を絡めシーツへと縫い付けた。
「……止まれなくなったらの所為だからね」
「ん…イル、愛して……?」
そのの一言が、辛うじて繋ぎとめていたイルミの理性をいとも簡単に崩した。
繋いだ手に力を込め、に覆いかぶさるようにしてゆっくりと律動を始めた。
「、それ反則」
「ぅぁ…ッきゃぁんっ!イル…ッイルぅ…ッ」
ぐちゅぐちゅと上がる水音は激しさを増し、それに比例しての嬌声も大きくなる。
胎内を蠢くイルミの熱に浮かされ、は無意識に繋いだ手を解きイルミに手を伸ばした。
「?」
「イ、ル…ッ」
そのまま、首へ絡んだ腕はすぐにするりと抜け、力なくシーツへまた沈んだ。
イルミは力の無いの手をしっかりと首に絡め、背を支えてまた律動を始めた。
「ひゃぁ…っんッひぁっ!!!」
「…大丈夫…?」
「ん…へー、き…っ」
へへ、と力なく笑い、は翻弄されながらもたどたどしい動きでイルミに口付ける。
イルミは一瞬驚いたものの、瞳を閉じてからの初めてのキスを堪能した。
口付けの合間にも打ち付けられる腰に呼応してイルミに呑み込まれていくの嬌声。
ただ、を愛しいと感じた。
「…さっきから、ずいぶん大胆だね?」
「し、らな…ッきゃぁぅっ!!!」
「けっこう淫乱なんだ。って…」
「…ッちが…ッイル、だからぁ…っ」
「……だから、反則だってば」
理性を崩され、熱に浮かされるのその姿はとても妖艶だった。
いくらか場数を踏んでいるイルミでさえ魅了する程に。
イルミが、彼なりの愛をに抱いているからだと言う事を考えないにしても。
「イ、ル…ッイル、イル…ッ!!!!」
「うん、オレは此処。ちゃんといるから」
繰り返し、うわ言の様にイルミの名を呼ぶ。
その瞳は涙と劣情で潤み、焦点の合わないその瞳でイルミを見上げた。
半開きのままの口の端を、唾液がつぅと伝う。
イルミはのその視線と妖艶なその表情に、失墜にも似た奇妙な感覚を覚えた。
そうして指で唾液を掬いあげ、の頬に優しく触れた。
「イ、ル…ッすき…」
「…うん、オレも」
「ちゃ…ん、と…言って…?」
「愛してるよ」
本能のまま、はイルミを求めた。
イルミもまた同じく。
律動に合わせて上がる嬌声と、名を呼ぶ声と。
時折激しく跳ねる痩躯がとてもとても愛しく思える。
「や…ッま、た…ッなん…っやぁあぁあああッ!!!!!」
「…っ駄目だよ、そんな締めちゃ」
「っぅ…ッま、って…っイル…っ」
「止まれない、って言ったでしょ?」
達した余韻で締め付けられる自身に、射精感が走る。
イルミはそれを打ち消すように声を掛けた。
首に掛かったの手はいつの間にかシーツに沈んで、まるで人形のように力なくて。
見下ろしたの頬はこれ以上無い程紅潮していて。
力ない手を首に掛け、対面座位の様な格好で突き上げればまた上がる嬌声。
「ひ…ッあぁぁぁあああッ!!!!や、イル…っやぁぁぁあああッ!!!!」
「…っ」
「イル…ッひゃはぁぁッ!!!…ッイルの…ッおっきぃ…ッ!!!」
「可愛すぎ」
狂った様に掠れた嬌声を上げる。
破瓜の痛みは消え、今彼女を支配しているのは目の前にいる愛しい男から与えられる甘美な快楽だけ。
妖艶な表情で応えるに、イルミは本人も気づかぬ内に堕ちていた。
「あぁぁぁあああッ!!!!やぁ…ッまた…ッッ!!!!!」
「ん…オレも……一緒に、ね」
「イ、ル……ッ!!!!!」
「愛してるよ、」
耳元でそう囁くイルミの声に応えるように、はイルミの頭を抱く手に力を込めて。
与えられる快感に目の前は白濁し、思考回路は完全に奪われた。
「……ッあぁぁぁあああッ!!!!!」
「っく…ッ」
胎内で何かが爆ぜる様な感覚を覚えた。
こぷ、と繋がりあった部分が音を立て、愛液と交じり合う白濁がかすかに流れ出た。
イルミはを強く抱きしめたまま。
も力の入りきらない腕で抱き返して。
しばらくそうして、ただ無言で二人抱き合った。
***
「……」
「なぁに…?」
「身体、まだ辛い?」
「……ちょっとだけ、ね」
空が明るみ始めた頃、はイルミの腕の中でまどろんでいた。
髪を撫でながら優しい声色で囁くように言うイルミに、は微笑んで。
「ねぇイルミ」
「ん?」
「私、イルミに会えて幸せだ」
そう言って、抱きつくようにイルミに身を寄せる。
イルミはの身体を抱き寄せ、また髪を撫でキスをした。
それは啄ばむような、何かを吸い上げるような、優しいキスで。
ただ目を閉じて、優しいキスに身をゆだねた。
「オレもね」
「うん」
「に会えてよかった。」
「…同じだね」
「そうだね」
ただ、感じるのはお互いの体温と風の鳴るかすかな音だけ。
「愛してるよ、」
「うん、私も」
夜明けの暖かい風を感じながら、眠りへと堕ちていく。
お互いの手と手を硬く繋ぎ合い、どうか離れる事のないようにと祈りながら。
愛される事を知った喜び
(それはきっとあなただからこんなにうれしいことなんだ)
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うわぁあああ誰このイルミにーたま…(ぁ
フェイタンと比較するととんでもなく甘いですね(死
2007/01/31 カルア