どうしてそんな事を言うの
私はいつだって彼のことしか見ていないのに
貴方だってそれをわかっているはずなのに
「……だから、私は」
「知ってるよ☆」
「じゃあ、どうして」
「興味がある◆」
目の前に迫るヒソカの端整な顔
いつものメイクを落として、髪を降ろした彼はとても素敵なんだけれど。
だからといって恋愛感情にまで昇華出来るかと聞かれればそれは出来ないワケで。
は現在、とあるホテルの一室でヒソカに迫られていた。
「興味って…!」
「あのイルミが惚れた女だからかな★」
どうにも警戒心が薄い自分を呪いたくなる、とは後悔していた。
何故こいつに、危険人物だと判りきっているこいつに宿泊先を教えてしまったのか。
イルミから届けて欲しいって言われたものがあるんだけど☆
あぁ、そんな事ある訳がなかったのに。
だって彼はいつだって、何も言わなくたって何処からか私の居場所を突き止めていつも突然訪れるというのに。
仕事でもう3日も会っていなかったから、つい警戒が緩んでしまったのかもしれない。
「そんな理由で……!」
「キミがイルミのモノになる前に出会えていればねェ☆」
「……ッいいから、離せ!」
念を使ったとしても、逃げられる確率は限りなく低い。
だってこいつのバンジーガムはそれはもうタチの悪いモノだというのを知っているし
もしかしたらこうしている間にも体のどこかにつけられているかもしれない。
もしもそうだとしたら、私はきっと逃げられない。
こんな形で処女喪失なんて冗談じゃない。
「その様子だとイルミとはまだみたいだねェ…◇」
「ッ!!!!」
図星を突かれて頬が思い切り紅潮する。
ヒソカはくっくと低く喉を鳴らし、の首筋へと顔を埋めた。
あぁ、ごめんなさいイルミ。
は天井を焦点の合わない目で見つめたまま、脱力した。
「……抵抗しないとこのまま抱くよ☆」
「それでイルミに殺されちゃえばいいんだ、あんたなんて」
「怖いなぁ◆」
だってこんな形で無理矢理私を手に入れて何になるっていうのよ
はそう続けたかったが、込み上げてくる涙にそれは飲み込まれた。
ただ頬を流れる涙と込み上げてくる嗚咽に体を任せていた。
「……どうして泣くの☆」
「……ッイルミ……っ」
「……そんなに彼がいいの?」
「イルミぃ……ッ!!!」
自分を見下ろすヒソカの顔が僅かに歪んだ気がした。
でもそれはきっと涙で視界が霞んでいるからだ。
だってヒソカがそんな顔するなんてありえない
私を押し倒した事にだって大した意味なんてきっとないんだ。
「………はぁ、判ったよ☆ごめんね、◆」
ふぅ、と溜息を付いてヒソカはから離れた。
は顔だけをヒソカに向け、未だ止まらぬ涙を拭った。
「……ど、して?」
「嫌がってるキミを無理矢理抱くなんて事したくないんだ☆」
「………」
「それにキミは」
まだ視界は涙でぼやけたままで
ヒソカはただ私を見つめて、何かを呟いた後に踵を返した。
その声はとても小さく、私の耳では拾えなかったけれど。
部屋を出る直前、一瞬見せた表情はとてもつらそうだったんだ。
僕じゃ駄目なんだろう?
(あぁもうすこしだけはやくきみにであえていればきっとこんなおもいはしなかった)
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こんな裏話があったらいいなとか
三角関係にはならない三角関係。
イルミVSヒソカ、水面下の攻防…なんつって
2006/12/18