「……お前なんて格好してんだよ、と」 「あ、レノさんお早う御座います。早速ですがトリックオアトリート?」 いつも通り遅刻ギリギリの時間に執務室に行ったらがいた。まぁこれはいつもの事なのでさして気にかける事でもないが今日のはいつもの黒スーツじゃなくって少々露出の激しいツーピースを着ていた。頭には猫耳、そしての後ろでは尻尾が揺れていた。ヘソ出しハイネックのノースリーブにホットパンツ、ブーツカバーとアームウォーマーという格好をしているせいか、実年齢よりもいくらか幼く見えたがそれは黙っておいた。 「…あぁ今日ハロウィンか、っと……チョコしかねぇけどこれでいいか?」 「有難う御座います、いただきまーす」 昨日仕事帰りに買ったチョコをポケットに入れておいてよかった。の手にてきのわざマテリアが握り締められていたのを見てオレは安堵のため息を吐く。元々オレは魔法が苦手で対するは魔法だけが取り柄のようなものなので、たとえ装備を整えていたとしてにかえるのうたでも歌われた日にはオレは3日はかえる状態で過ごさなきゃいけなくなるだろうと安易に予想がついたからだ。兎に角オレが手渡した小さなチョコ一つで上機嫌になったらしいは尻尾を揺らしてソファに座り込んだ。 「…で、なんでお前そんな服着てんだ?っと」 「副社長から頂きました」 「何してんだあの変態……!」 そうか、これはあの莫迦副社長の趣味か。と少しばかり殺意が芽生えそうになったがこれはこれで中々いい趣味をしてると褒めるべきなのかもしれない(猫っぽい性格をしているによく似合っていたからだ)。どうもあの新副社長はに好意を抱いているらしくオレとしては相手が金持ちのボンボンじゃ勝ち目ねぇんじゃねぇかなとか常日頃思っているがはで副社長の好意には気付いていないので安心しているというのが本音だ。…まぁ、そんな鈍いだからオレの気持ちにももちろん気付いてはいない訳なんだが。 「アンジールさんとジェネシスさんにはさっきお菓子頂いてきたんですよ。暫くおやつには困りませんよほらこんなにたくさん。クラウドは売店で見かけて可愛いなーって思ってたパンプキンキャンディをくれました」 「ほー……」 「ザックスはけちだからガム1枚しかくれなかった上太るぞとか失礼な事を言ってくれたのでゴブリンパンチをプレゼントしてあげました」 「……お、お前マテリア使ったのかよ……あいつら社内じゃ装備外してるんじゃ、」 「やだなー仮にもソルジャーが私如きの魔法でへちょってどうするんですかちゃんと副社長に許可いただいてますもんトレーニングの一環になるから容赦するなって」 このときばかりはあのボンボンにグッジョブの一言を贈りたくなった。副社長は知らないだろうが手加減したとは言えの魔力はあのセフィロスに勝るとも劣らない訳で、装備もマテリアもなくその魔法を受ければひとたまりもない事はオレだって身を以って思い知っている。かといって、普段から何かにつけてをからかっているあの黒髪のソルジャーは気に入らなかったのでいい気味だと思っただけだ。 「…そうかよ、っと……オレはいいのか、そんな小さいチョコしかやってねーのに」 「いーですよレノさんには普段お世話になってますから」 逆に私がお菓子あげたいくらいです、と付け足してはオレにミント味のガムを差し出した。せっかくなので受け取ったらは笑ってハッピーハロウィンと言う。こんな平和な日常なんてのも悪くないかもしれない。 「ついでにセフィロスさんはガムもチョコもくれなかったのでかえるのうたを歌って差し上げましたから、今頃きっとブリーフィングルームでゲコゲコ言いながら飛び跳ねてるんじゃないですかねえ」 「………」 が貰ってきた菓子を上機嫌でほおばりながらさらっと恐ろしい事を言ったのは聞かない事にしておいた。今日は本社にいない方がいいと思ったオレはこの後を無理矢理ミッドガルから連れ出してツォンさんと副社長から叱られるハメになったがの命が危険に晒される事を思えば1ヶ月の減給くらいどってことはない。後日の携帯に送られて来たトード状態のセフィロスの写メールを見てコーヒーを噴出したのはまた別の話だ。 (君を連れて世界の果てまで!) |
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