長く伸びた栗色の髪に、長い睫毛に縁取られた琥珀の様に澄んだ大きな瞳。肌は雪の様に白く、薄い唇は紅を乗せたように真紅……もしも彼女がその口を開く事無く佇んでいたとすれば、誰もが心を奪われる事だろう。彼女には何か、他の女にはない魅力があったのだ。

「何か御用っすか、ままむね」
「その妙な呼び方はやめろっつったろ、You Forget?」
「その妙な喋り方やめろっつったろ、ままむね」

ただ、彼女は口が悪かった。…否、言葉遣いだけで済めばまだ良い。良く言えば元気、悪く言えば粗暴。兎に角、独眼竜も彼女の扱いにはほとほと困り果てていた。

「口の減らない女だな」
「ほっとけ。っていうか、いい加減この着物うざったい。着替えたい。」
「It is useless。駄目だって何度言えば判るんだ?」
「何度言われたって納得出来ない。私も戦に出たいって言ってるのに!」

黙っていれば絶世の美女とも言えなくもないこの少女、名前をと言う。遠駆けに出かけた政宗が森の中で倒れていたを助けて以来、彼の居城であるここ米沢城に一室を与えられて居ついてしまった。何処から来たのかと聞けば「未来から☆」等とふざけた答えが返って来たので政宗はに対し少しばかり頭のおかしな女という印象を抱いていたが月日が経てば不思議な物で、時折訳の判らない事を言い出す他はそれほど気にならなくはなっていた。何もする事がなく暇だ、と家臣達と道場で手合わせをしている姿はよく見かけられたが、まさか女を戦に出せる訳もない。政宗は何度もにそう言うが、当のは聞く耳を一切持たなかった。

「駄目だ」
「なんで!」
「LadyはLadyらしくしてろってこった」
「………レディだなんて思ってないくせに」
「HA!そう思ってんならそう思ってろ」

政宗は不機嫌極まりないに意味ありげな視線を投げると部屋を出る。慌てて追いかけようとするものの、慣れない着物(無駄に豪華でとても重い)の所為で動く事すら儘成らぬは悔しげに叫び声を上げる事しか出来なかった。

「ままむねのばっかやろー!」

怒り心頭のが着物を無理矢理脱ぎ捨てあろう事か襦袢姿で薙刀を片手に政宗を追い掛け回す姿が小十郎の目に入るまで、あと半刻。米沢城は今日も平和であるらしかった(当主の命の危険が危ない事を除いては、至って)。この一件から暫く後、政宗は戦場にを伴い出陣し、釘を大量に打ち付けた鈍器(所謂釘バットというヤツである)を振り回し勢いに任せて敵の鎧兜を打ち砕きながら戦場を駆け楽しそうに高笑いを浮かべるの破天荒極まりないその闘いっぷりに度肝を抜かれるハメになる。










バイオレンス




マイハニー


(Ladyなんてのは確かに相応しくねぇと思った。ありゃDemon、鬼神だ。)










オフ友の某Mちゃんへこの間はありがとうの意味を込めて捧げました!
ニセモノままむねですいません、精進します