Waltz da noite do mes





「今日もやってんの」
「あ、ティキさん。こんばんわ」


月明かりの下でバイオリンを弾く女。
オレが見つけた穴場の丘だったはずなのに、夜になるとこいつがいる。
バイオリンを片手に、夜明けまで止まることなく弾き続ける。
学のないオレでもわかるくらい、綺麗で澄んだ音色を奏でるバイオリン。

聞けば世界に10もない、希少価値の高いモンらしい。

そういえば昼間に来ても会う事はない。
必ず決まって、夜。それも月の出た晩にしかこいつとは会えない。
5度目に会ったとき、女はと名乗った。


「……お前、なんで夜にしかいねぇの?」
「昼間は…外出できないから、私。」
「へぇ。ま、いっけどな」


それは本音だった。
が人間だろうがそうでなかろうが、結局ノアの一族であるオレには無関係だ。
ため息を付いて、タバコに火を点けた。


「………アルビノって知ってる?」


不意にバイオリンを弾く手を止めオレに尋ねる


「…いや」
「体の色素がまったく無いの、私。だから髪は銀だし目は赤くて。
 日光に当たると火傷するから、昼間は外出できないし
 こんな外見だから村でもよく思われてないんだよね。」
「そりゃ…大変だな」
「もう慣れた」


そう言って力なく笑う。
こいつはきっと独りきりなんだろう。


「………なぁ、一曲弾いてくんねぇ?」
「いいよ。」


すっと立ち上がり、弓を構える。
銀糸の髪が月光を受けて淡く光った。







****************************************************

両思いなんだけど告白はしてないから結局片思い。

白でも黒でもお好きなティキぽんでどうぞ






2006/08/23 カルア