こんな事望んでなんて、いなかった。
どれだけ低い確率で、殺し合う運命に生まてしまったんだろうね、私達は。
ねぇティキ、どうしてあの時私を止めてくれなかったの?
私を止めて、その場で浚ってくれたら、私きっとこんな悲しい思いはしなかったわ。

は涙を流しながらそう言った。
オレらが別れて2回目の冬、オレらは幸か不幸か再会した。
2年ぶりに会ったはそりゃあ綺麗になってて
あの頃よりももっともっと長くなったキレイな髪には
今ぶっ壊したんだろうアクマの血液がこびりついてた。
それすらも美しいと思ってしまうオレは相当末期だ。


「だって言えねーだろ、普通は」

「言ってくれたほうが楽だったわ……
 そしたら私きっと今この場所になんていなかった」

「なんで。母親助けたかったんだろ」

「……母さんなら死んだわよ、
 私が教団に行ってすぐ…1カ月もしないうちに!」

「……マジか」


どういう事なんだか、治療を約束されたの母親はあの後すぐに死んだらしい。
…要は、あいつらはのイノセンスを手に入れる為に嘘を吐いて
母親を想うの優しい心を逆手に取ったって事。
…あいつららしい汚いやり口だ。
あいつらは適合者、つまりイノセンスに選ばれた人間を見つけたら
有無を言わせず連れていくって聞いた事あるしな。
の母親が死んだってのもきっと
のイノセンスを手に入れたからもう用はねぇって見捨てたってこったろ。


「……ねぇティキ、わたし、
 何のためにいるのかしら、ここに」

「さぁな」

「母さんも、死んじゃったのに。
 なのに、わたし、どうして、」

「…お前がこのままエクソシストでいるってんなら
 オレはを殺さなきゃいけねぇんだけど、お前どうする?」

「……馬鹿ね、知ってるくせに。
 神を裏切れば私は咎落ちになってどの道死ぬわよ」

「…お前寄生型だしなぁ。
 装備型ならイノセンスだけぶっ壊す事もできんだけどなー
 寄生型じゃお前までぶっ壊れちまうしなぁ」


オレがそう言ったらは肩を震わせてオレを見た。
…心配しねぇでも、オレにはを殺すなんてできねぇよ。
おかしいよな、ノアの殺人衝動が起きてこねぇんだよ、といてもさ。
エクソシストはオレらの遺伝子に刻まれた憎むべき存在のはずなのにな。


「……わたしを、ころす、の?」

「まさか。殺せねーしお前を咎落ちにだってさせやしねーよ」

「じゃあ、」


オレを見上げたの目は少しだけ怯えてて
でも琥珀色を帯びた緑の瞳はあの頃と変わらず澄んだままだった。
どれだけアクマの血にまみれても
どれだけ人間の汚さを目にしても
それでもなお汚れないはそれはそれは女神みてぇな気高さだった。
----なぁ、
お前はまだ、ノアとしてのオレの能力を知らなかったよな。


「……イノセンスだけ、ぶっ壊すさ」

「…無理よ、私のイノセンスは、脳に寄生してるんだから」

「それがな、オレの能力なら無理じゃねぇのよ、」


の細っこい腰を抱き寄せて
額にかかった前髪を撫で上げたらが怯えた目でオレを見た。
大丈夫だつって軽くキスしてやったらは顔を真っ赤にして顔を伏せた。


「オレの能力はな、通過自在。
 オレが触れたいと想ったモン以外、オレは全てを通過すんの。
 ------だから、」


のイノセンスだけを脳から引っぺがす事だって出来る。
あぁ、ちょっとくらいぶっ壊れたってオレはお前を愛してっから安心しとけ?
お前のイノセンス、脳から引っぺがしてぶっ壊したら
お前はオレだけのモンになっから。だから暴れんなって。な?


「てぃ、き…っや、なにこれ、やだ、
 こわいよ ティキ、い や  あっ」

「お、みーっけ」

「てぃ、き や こわ い いや」


引き抜いた手には間違いなくイノセンス。
はオレの腕に凭れたまま気ィ失ってたけど
小さくだけど息はしてんし心臓もちゃんと動いてる。
問題はない。
オレはイノセンスを握り締めてぶっ壊して、を抱えて屋敷に戻った。


「………、」

「……?ここ どこ わた し、?」

「此処は、オレの家。お前の名前は、

、わた、し、?」

「そう、お前の名前は、、だよ」

「…あな  た は?」

「オレ?オレはティキ」

「ティ、キ ティキは、な に?」

「オレはの恋人だよ、

「こ いび、と 。 ティキ、わたし こいび と。」

「そうそう。」


、オレだけの
もうどこにも行かせないよ、オレの可愛い可愛いMeu Querido。
オレだけを見て、オレだけを愛して
オレだけの為に生きて、オレだけの為に死んでくれ。


「ティキ、おな か、すい  た」

「ん、メシな。今、作らせてっから、待ってよう?」

「ま つ、うん、 ティキ、と、ごはん ま つ」

「よし、いい子だな、は」

「いい こ?  、いい、こ?」

「うん、いい子だよは」





"eu embrace voce"
   
"que eu olho fixamente em voce"




"eu te amo"



"eu o recordarei"















(壊れたってずっと一緒)





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デスペラードマイダーリン用書き下ろし。

や っ て し ま っ た 。

えぇとですね、補足します。
ちゃんは脳に寄生したイノセンスを破壊された影響で
脳まで壊れてしまって精神崩壊起こしてます。
でもティキは、ちゃんが咎落ちにもならず
エクソシストでもなくなって自分だけの物になったのでうれしくてたまらなくて。
ちゃんは自分が誰なのか、何でこんなところにいるのか、それすらもう判りません。
単純に思考回路が破壊されてるんですね、いうなれば生まれたての赤子のような。
自分がエクソシストだった事もティキと恋愛関係にあったことも
何もかも忘れてますがティキに刷り込まれてまたティキと恋愛関係になります。
インプリンティング、つまりタマゴから孵ったばかりのヒナが目の前の生き物を親と思い込むみたいに。

狂愛モノ大好きですいません両極端ですいません
ティキがただのイカレたおにーちゃんですいませんorz
っていうかこんなの主催祭りに献上する私の度胸に乾杯(おまえ)
最後の文章はポルトガル語ですー。興味のある人は訳してみると面白いかも(ぇ)