「ティキ」
オレを見上げたは泣いていた。
はエクソシストで、オレはノアで、オレ達二人は敵同士。
それなのに何でかオレはに恋をして、も同じようにオレに恋をした。
が知るオレは白いオレで、オレが知るはエクソシストだったけど
は気付いてなかったから、どこかで安心してたのかもしれない。
でも神様ってのはどこかで見てるもんで、何の因果かは黒いオレにばっちり気付いた。
……オレの名を呼ぶはオレらノアが憎むべきエクソシストの装束に身を包んでいて
それはいつだったか遠目に見たあの日のと同じだった。
「……」
「……ティキ、なの?どうして?
あなた、ノア?ねぇ、なんで、どうして、」
「あぁ……オレだよ、ティキだ。
、、ごめんな、オレは」
それでもオレはといたかったから
削除リストにの名前がなかったことに心底安堵してたんだ。
だってそうだろ?誰が好き好んで惚れた女を手に掛けるっていうんだ。
ただ、気付かれてしまったらもう昨日までのオレらじゃいられない。
それも判ってた事だった。
バレるかバレないか、ギリギリの関係。
気付いてしまえば崩れてしまう、脆い関係だったのも事実だ。
それでもオレは、といられるのならと必死で今日まで正体を隠し続けてて
それでもはオレに気付いて。
それはつまりオレらの関係が今この場で終わりを告げたって事。
は大きなエメラルド色の瞳から涙をぼろぼろ流して泣いていた。
なぁ、お前を泣かせたのはオレなんだよな。
ごめんな、。大好きなお前の笑顔、消したのはオレだよな。
「……ティキ、」
「…」
それでもオレは、笑っててほしいんだ。
太陽みてぇなの笑顔はいつだって、いつだってオレを癒してくれたから
だからオレはお前の笑顔を曇らせたくなくって
今日というこの日まで正体を言えずにいたんだ
なぁわかってくれよ、頼むからオレを嫌わないで。
「ティキは、ノアだったのね」
「……あぁ」
「わたしの、敵なのね」
「……あぁ、、なぁ」
「私達、もう一緒にいられない、のね…っ?」
「……、オレは…っ」
「ティキ、ティキ、私は貴方が好きなの。
貴方がノアだとか私の敵だとか、そんな事はどうでもいいの。
私はティキ・ミックというひとりの男性に恋をしたの。」
「……?」
「ティキは?ティキが私を好きだって言ったのは私を殺す為?
ノアとしての、エクソシストを殺すっていうお仕事の為?
……ティキの好きは嘘だった?」
「ちがう、違うんだ、おれは」
の瞳は虚空を仰いで、確かにの瞳はオレにむいてるはずなのに
オレを通り越してはるか遠くを見てるような、そんな虚ろな目だった。
なぁ、オレを見てよ。
どこ見てんだよ、オレを、オレだけを見てよ。
なぁ、、オレはお前に嘘なんて吐いてないよ
オレは確かにお前を好きで、愛したんだよ、。
「ねぇティキ、私はエクソシストだよ」
「……?」
「あなたがノアで、私がエクソシストだっていうなら、私達もう一緒にいられないの。
ねぇティキ、どうしたら、どうしたら私達一緒にいられるのかな」
は涙を流したままオレの腕に縋って絞るような声で言った。
オレはただの背に手を回して遠慮がちに抱き締める事くらいしかできなかった。
だって今のオレらは触れ合っちゃいけない関係
ノアとエクソシストの恋は実らないだろ?
敵同士、殺しあう運命にいる者同士なんだ、オレらは。
「、オレは」
「ねぇティキ、私達、どうしたらっ、
一緒、にっいられ、る?ねぇ、」
「……」
腕に縋ってオレを見上げるは相変わらず泣いたままで
その言葉は涙に飲まれて途切れ途切れだ。
が何を望んでるか、そんなこと判りきってる。
『一緒にいたい』。
ただそれだけだ。それはオレも一緒の想いだけど
でも、オレらは一緒にいちゃいけないんだ
お前はエクソシストでオレはノアで
オレらは憎みあい殺し合わなきゃいけないんだ、。
オレがどれだけお前を愛したって、お前がどれだけオレを愛したって
結局のところオレらが結ばれる事なんて有り得ないんだよ、。
「……、お前はオレと一緒にいたいと想う?」
「…おもう、よ。やだよ、ティキと戦いたくなんて、ないの、わたしは、」
「そっか」
なぁ、オレも同じ想いだよ。
もう離れたくないなら、オレだけのモノになってくれるよな?愛する。
「てぃ、き?…なん、で?ねぇ、」
「だって離れたくねぇんだろ?オレだって一緒だけどさ、」
オレらって敵同士じゃん?
こうでもしなきゃオレとは一緒にいられねーのよ、ごめんな?。
でも大丈夫、お前の体は誰にも触らせないし、この心臓だってオレだけのモンだから。
ちゃんとホルマリンに入れて、いつまでもいつまでもオレの傍に置いてやるよ、愛しの。
そしたらさ、はオレだけのモノになるだろ?
オレのこの手で、の時間を終わらせれば、さ。
「ティキ、最期、に…っ」
「あぁ、ずっとずっと愛してるよ、だけな。
おやすみ、愛しい」
真っ赤な血にまみれたの心臓は温かくって
抜き出した後もオレの手の中で鼓動を刻んでた。
口付けをしてやればぴくりと跳ねて、とてもとても暖かくって
は今オレだけのモノになった。
なぁ、これでオレらずっと一緒だよ。
毎日きれいに着飾って
きれいに化粧して、
髪もきれいにセットして
その瞳はエメラルドに変えてあげようか?
そうしたらずっとずっと
そのエメラルドのきれいな瞳はオレを映してくれるだろ?
心臓と瞳はホルマリンのプールの中
体はオレのベッドの上。
「、。オレはずっと君を愛してるよ」
ほら、こうすればオレらはずっと永遠に
一緒にいる事だって出来るんだよ、愛しい。
そらが泣いた日、
(オレはこの手で君の永遠を手に入れた)
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ぎゃ!やっちゃったよ狂愛モノ……
ってかこれ、グロくない…よね?(おい)
だ、大丈夫だよね(がくぶる)