ねぇ、いつかね、いつかでいいの。この戦争が終わって、私達が背負う枷の何もかもが消えてなくなったらね。…私は、貴方の為にまっしろなドレスが着たいの。そうして、エクソシストの神様でもノアの神様でもなくて私達二人だけの神様に誓うのよ、私はティキを永遠に愛し続けます、って。ねぇ、それが叶ったら、幸せね。

「…
「…なーんて、全部私一人の叶わない願いなんだけどね」

は悲しそうに、今にも泣きそうな顔で笑ってそう言った。確かにオレらは敵同士、エクソシストとノアっていう禁断の関係。でも2年前まではオレらはただの恋人同士だった。オレがノアでもは普通の人間で、小さいながらも人生を一緒に歩けたらっていう希望はあった。が何の力も持たないただの人間ならそれならオレはと一緒にいられるかもしれないってさ、そんな小さい希望。それでも神様はオレらを赦してはくれなくて、はイノセンスに選ばれてエクソシストになっちまった。突然、家から姿を消したと再会したのはが消えて3ヶ月目の夜だった。アクマを連れてイノセンスを回収しに行った先の村で、オレらは不幸にも再会しちまって。それでもは変わってなんていなかった。オレが大好きな笑顔で笑って、それでも愛してるって言ってくれたから、だからオレは

「…叶ったら、いいな」
「そうね」

だからオレは、これからもずっとずっと、のこの笑顔を守る為に生きていこうって決めた。エクソシストとかノアとかそんなの関係ない。オレはオレとして、ただの人間としてを愛して、護って、ずっと二人でいられたらそれだけでいい。

、エクソシストなんて辞めちまえ」
「…ティキ?」
「オレらんトコ来いよ、
「…っちょ、っと…ティキッ」

相変わらず細っこいの腰を引き寄せて顎を指でなぞる。が弱いオレの行動。案の定いつもみてーに顔を真っ赤に染め上げては言葉を詰まらせた。唇を寄せれば必死で逃げようとするの顎を引き寄せて口付け一つ。の頬は林檎みてーに真っ赤になった。

「なぁ、。オレと仲間、どっち取るよ」
「…っずる、いよ…ッこんな、状況で…ッ」
「お前が今この場でオレらを選べば、お前の夢なんてすぐ叶えてやれるけど?」
「ティ、キ…ッ」

キスの合間に言ってやればは息を詰まらせてオレを呼ぶ。----堕ちるまであと少し。そう、堕ちてくればいい。このオレの手の中に。そうしたらずっと一緒にいてやれるんだ。殺し合いなんてしなくてもいい、の夢を叶えてやる事だって出来る。が望むモンなら何だって与えてやれるんだよ。そんなボロボロになって戦場を駆ける事なんてしなくていい。オレの為に着飾って、オレの帰りを待っててくれよ、

「なぁ、どうする?」
「……選択権なんてないくせに」
「はは。それもそうだ」

、お前がオレの隣にいてずっと一緒に歩いてくれるって言うんならオレはこんな世界いつだってぶっ壊してやるよ。お前を縛る神の化身、そんなもんオレの手に掛かれば一瞬で塵と化すんだよ。ノアはイノセンスを破壊できる。お前だって知ってる事だろう?

「てぃき、」
「判ってんよ。お前を咎落ちになんてさせねーから。」

のイノセンスに手をかざせばそれは一瞬で塵になって風に舞った。は少しばかり名残惜しそうに、風に舞って消えていくイノセンスを眺めてた。イノセンスを破壊されたエクソシストはエクソシストには戻れない。は小さくため息を吐いて目を閉じた。それが後悔なのか決心なのか、オレには判らなかったけどその後すぐに見せた笑顔でそれは決心だったとすぐに判った。

「…こんなの、いらねーだろ」
「そう、だね」
「捨てちまえよ」
「…うん」

は団服を脱ぎ捨ててオレの手を取った。これでを縛ってた下らない枷は全部消えて、今ここにいるのは唯の人間エクソシストなんかじゃなくて何の力も持たない普通の女。オレはノアを捨てる事は出来ないけれど、がオレの隣で笑っていてくれるんならオレはの為にこの世界を終焉に導こう。オレとがいつまでも一緒にいるために。






(その笑顔を護りたくて)





「ティキ」

「似合う、かな」
「…すっげー似合うよ。が言ってた真っ白なドレスじゃなくてごめんな」
「ううん、そんなのどうでもいい。」

今オレの目の前にいるは真っ黒なドレスを着て真っ黒なヴェールを被ってる。今日はオレらの結婚式。エクソシストを捨てたは今日この教会でオレと一緒にノアの神の前で誓いを交わす。が言ってた真っ白なドレスは着せてやれなかったけどそれでもヴェール越しのの瞳は涙で濡れてて、笑いながら涙を浮かべるがたまらなく愛しく思えた。

「何泣いてんの」
「…ごめ、嬉しく、て」
「馬鹿。せっかくした化粧、取れちまうだろ」
「……う、ん」

正直、此処に至るまではそりゃあ大変だった。千年公は意外にあっさりとオレらのことを認めてくれたけど、問題はロードと双子。ロードはを着せ替え人形みてーにしようとするし双子はやっぱり元エクソシストって事でを完全には信用してなかったけどは持ち前の強気さで双子を押し切った。何したかって思い出すのも怖ェけどこいつはあろう事かどこで手に入れてきたんだか釘バットで双子を殴りつけた。暴言を吐かれるたびに何度も何度も全力で。そのうち双子も学習したのかに暴言を吐く事をしなくなって気付いたら双子とはまぁそれなりに打ち解けてた。ロードとは女同士って事もあってあっさりと打ち解けたし、スキンとは甘党同士話が合うのかよく千年公とロードと4人で茶を飲んでたし。元エクソシストって肩書きなんてないみたいにはオレらノアの一族に溶け込んだ。まぁそうしてオレらは今こうして此処に立ってる訳。

「…これからもよろしくな、
「…こちらこそ、だよ。ティキ」

真っ黒な教会の真っ黒な祭壇の前、真っ黒なドレスのと真っ黒なウェディングスーツのオレ。目の前には神父、後ろにはオレらの家族とアクマ達。の白くて細い手を取って、その薬指に金色の指輪を通したら




「…ずっとずっと一緒にいてね」
「離さねぇよ」






(永遠を誓いましょう。死が二人を分かつまで)














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主催ティキ祭りへ献上。
なんだか色々とアレなおはなしになりましたごめんなさい。




2007/07/08 カルア