「あん時のダンナと眼帯くんじゃねェか〜」
ティキはそれはそれは嬉しそうにそう言った。そういえばあのエクソシストは服こそ変わっているものの、あの時汽車の中で会ったエクソシストの二人だ。でも多分、二人ともティキが今言った言葉の意味は理解出来てないと思う。だってあのギャップは酷すぎると思うんだ。
「忘れねェぞそのツラ…!」
たん、とティキとエクソシスト達が屋根に降りる。何か面白そうだなぁ、と考えた私も、ティキの隣に降りた。途端に赤毛の眼帯に睨まれる。そういえばアレン・ウォーカーのイノセンスを壊した時、私もティキと一緒にいたんだっけ。何も睨まなくてもいいのに。これは戦争。誰かが死ぬのは仕方がない事なのにね。
「アレンを殺したノア……!」
「今ちょっと暇だからさ、」
「また、相手してよ。眼帯くん」
「上等だ」
「ラビ!」
「このホクロはオレが戦る…誰も手ェ出すなさ!」
眼帯くんはマントを脱ぎ捨てて槌をその手に持った。きっとあれが眼帯くんのイノセンス。ってゆーか何、私ってばアウトオブ眼中?
「何?イカサマ少年殺したことそんな怒ってんの?もしかして友達だった?」
「うるせェ」
「あー友達だったんだ」
「うるせェ!」
「もしかしてそこのカワイイ娘もイカサマ少年の友だぶっ「ティキ?」
待てこら。ティキお前今何て言った?眼帯くんの後ろのベリーショートのコ見ながらカワイイとか言ったよねこいつ。何、私いるのにいい度胸してんじゃないのこのロリコン。ティキの背中をバットでフルスイングしたらエクソシスト達は冷や汗を流して私を見た。何だって言うの。
「ちょ…痛いんだけどいきなりそういう事すんのやめてくんないかなあちゃん」
「うっさいロリコン。私がいる目の前で他の女の事かわいいとかよく言えるわねこの万年発情期。死ねば。」
「えええ、何、何そんな怒ってんの」
「そうね、ティキはロリコンでしたっけね。悪かったですね歳食ってて」
「え、ちょっと待って何誤解してんのお前」
「あっこのベリーショートのコ、かわいいわよねえ。ティキはあーいう子が好みなの?」
「、あのな、」
「うっさいボケカス浮気者。」
(な、なあなんかあの二人雰囲気悪くね?)
(と言うよりは…あの女性が一方的に怒っているようであるな)
(私のせい?)
(いやいやリナリーは悪くないさ)
「聞けっつーの!」
「何よロリコン。」
「ちげぇ!」
「じゃあペドフィリアかしら?この幼女趣味」
「だから違ぇつってんの!オレが本気でかわいいって思うのも愛してんのもだけ!な?」
「……っ」
(うわよく大声であんな事叫べるさねーあのホクロ)
(そうであるか?)
(あークロちゃん元貴族だっけ)
(あのコ顔赤いわよ・・・)
「な?判って、」
「……ティキ、」
「ん?」
「そういう事を軽々しく口にするから信用できないつってんのよこの浮気者ッ!!!!」
どごす、と音を立ててティキは屋根にめり込んだ。そりゃあもう某犬神家のワンシーンのように足だけ出して。エクソシスト達はそんな私を見て苦笑いを浮かべながら冷や汗をかいてた。悪いのは私じゃなくて、私の目の前でエクソシストのコをかわいいだなんて言ったティキだ私は何も悪くない。
「ったくもう!ちょっとそこのアクマこのド変態どっかやって!」
「…さマ…ティキさマはご無事なノですカ」
「大丈夫なんじゃないのノアって死なないってゆーし」
(ええええ、あのコ本気でぶっ叩いたさ今)
(怖いである…)
「……ああそうそう。アレン・ウォーカーなら生きてるわよ」
「…え?ま、まじで?」
「うん。もうすぐ来るかもしれないよ。会いたい?」
「そ、そりゃ会いたいさ」
「アレン・ウォーカーのイノセンスはそこにめり込んでるド変態がぶっ壊したから、使いのアクマに半殺しにされて拉致られてくるんじゃない?」
「ド変態って…」
「ん?ああ気にしないで。まぁそういう訳だからさ、頑張って生き残りなよ。……君達は、」
アレン・ウォーカーに、会えるかな?
反逆の都
(崩壊序曲は幕を開けた)
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悲願花番外編、単行本9巻江戸でのあのシーンですね
相変わらずティキが酷すぎる扱いでごめんなさい