ExtraPart13:お花見デート
「きれいだねぇ」
「だな。」
春だから、って無理を行って連れてきてもらった日本。と言っても方舟での移動だから楽ちんなんだけどね。
桜が満開で、あたり一面桜吹雪。私のいた世界では見られなかったよこんな綺麗な桜吹雪。
ティキと並んで座った芝生の上、見上げた青に溶け込んでく淡い桃色を団子片手に見上げた。
「なんつったっけ、ハナミ?日本人って変わったこと好きだよな」
「そう?まぁ花見っていうよりはそれを口実にした宴会だけどね、大体はさ」
「へぇ」
「みんなで集まって、桜を見ながらお酒飲んで騒ぐだけ。私はこーやって静かに見てる方が好き」
そういえば千年公に花見の事話したら今度みんなでやりまショウvとか言ってたっけ。あの人本当に東洋文化好きだなぁ。
て言ってもお酒飲めるの私とティキと千年公だけだから(スキンは酒が苦手)花見っていうよりはピクニックなんじゃないのかな。
ロードは未成年だし、ジャスデビは前に隠れて酒飲んで大変なことになったらしい(悪酔いするタイプなんだってさ)。
「そっか」
「うん」
風の鳴る音だけしか聞こえない静かな庭園。日本人口の9割がアクマだから当然なんだけど(始めて聞いた時はびっくりした)。
このお団子だって、お市ちゃん(くりくりした目のアクマの子)がくれたお団子だし
飲んでるお茶はお花ちゃん(黒髪おかっぱ頭のアクマの子)がくれたお茶だし、私達ノアにとっては損にならないっていうか。
人間にとっては地獄でも、ノアにとっては天国。特に私、日本人には嬉しい場所が一杯ある。
桜が綺麗なこの庭園だとか、お団子のおいしい茶店だとか、可愛い小物を売ってるお店だとか。
私のいた世界ではせいぜい江戸村くらいでしか経験できなかったことがリアルに経験できるから、私はこの世界の日本が大好きだ。
「つかな、お前いつの間に日本のアクマ達と仲良くなってんの。団子貰ったり茶ァ貰ったり」
「んー?千年公によくお使いで日本によこされてたから、それで」
「マジでか。オレ全然知らなかったんだけど」
「方舟使って来てるし、日帰りだしティキが仕事行ってる間に全部済んじゃうからさ」
「んな事してたのか、お前」
「うん。ま、大体は生成工場の様子見だとか、英語が判らないアクマの子達に命令届けたりだとかそういうこと」
「あー……日本って随分閉鎖的な国だもんな、こうなる前から」
「うん。だから英語判らない子が多いんだって。それで私って訳」
「なるほどな。」
実際の所は仕事なんてそっちのけでアクマと遊んでたりするんだけどそんなこと言ったらティキに怒られるから言わない。
お市ちゃんもお花ちゃんも私に懐いてるらしくて、私が来るたびに嬉しそうだからついつい足を運んじゃうんだなこれが。
その度にお団子だとか桜餅だとか柏餅だとかお土産に持って帰るんだけど、大体はロードが食べちゃうからティキは食べれないし。
そういう事情も手伝って、ティキは私がよく日本に仕事で来てるのを知らない訳だ。まぁ、その方がいいって事もある。
「っていうか、お市ちゃんまた腕上げたなぁ。お団子おいしー…」
「お市ってさっきの茶店にいたアクマ?目がでっかい18くらいの」
「そうそう。」
「へぇ。手作りかこれ」
「おいしいでしょ?私お市ちゃんが作る和菓子大好きなんだよね」
「確かに旨いな」
ティキ、これでお団子5個目。私のお団子まで食べないで欲しいんだけどな。この大食い。
緑茶は苦くてダメだって言って、水片手。緑茶美味しいのに。
相変わらず桜は散り続けてて、緑茶に桜のはなびらが散って桜茶になった。風情あるなぁ。
桜の葉っぱもってかえって桜餅作ってみようかな、なんて思ってたらティキはまた私のお団子を食べた。これで6個目だ。
「っていうかティキ、私のお団子まで食べないでよせっかくお市ちゃんがくれたのに」
「だってこれ旨ぇんだもん。いーだろまた帰りに貰えば」
「桜を見ながら食べる事に意義があるの!」
「オレ日本人じゃねぇから判んねー」
「ばか!」
お団子片手にお花見デート
桜舞い散るそんな麗らかな午後3時
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な、名前変換がない!(HTMLにしてから気付いた)
2007/05/11 カルア