「ティキ、あなたまた、殺ったでしょう」
「さて何の事やら」
「とぼけないで。私知ってるのよ、貴方が私の恋人を殺したって事。臓器を抜くなんて殺し方、貴方にしかできないわ」
「…だから?だから何だって言うんだよ、」
そう、女神とまで称された気高いお前に下種な人間の男なんて似合わない。どれだけ外見がよくてどれだけ頭がよくてどれだけ経済力があったって、所詮は何の力も持たない無力な人間の男だろう。そんな男、気高く美しいには釣り合わない。オレはいつだってにあの頃の気高い女神のままでいて欲しいから、に近づく男は片っ端から消してるだけだ。だってそうだろう?気高き女神に下種な男は似合わないんだから。
「あなたは…ッ」
「なぁ、はオレらノア一族の気高き女神様だろう?そんなに、下卑た人間の男なんて似合わないだろう?オレは何か間違ってるか?ただオレらの、いやオレだけの女神様でいて欲しいだけなのに、それなのにお前はどうしていつも下種な人間の男になんて近づくんだ、」
「ティキ……」
そう、7000年前のあの頃みたいに、オレはを護る騎士の役目を全うしてるだけなんだよ、。オレがを愛して、もオレを愛してたあの頃みたいにさ。それなのにお前はあの頃の約束を忘れてオレになんて目もくれずに人間の男になんて心を開くから、だから。
「なぁ、こんな下卑た人間の男なんてお前には似合わないよ」
「ッティ、キ…あなた…っ!」
今オレが手にしてる大きなビンの中には昨日にプロポーズなんて愚かな真似をした貴族の男の首。なぁ人間って儚いモンだろう?オレの手に掛かって一瞬でその命をなくすんだ。どれだけ外見が良くても、こうなっちまえばただの生首。ホルマリンの中に浮かぶただのオブジェだ。そうだろう?。
「下種な人間の分際で、にプロポーズなんて愚かな真似したんだ。当然の報いだろう?」
「や……っ!」
「何で目を逸らす?こいつは昨日までお前の恋人だった男だろう?」
「なん で、こんな…っ」
「ほら、心臓だってちゃんとある。なぁ、お前はこんなになった男でも、まだ愛してる?もうこいつにはを抱き締める腕もないしを呼ぶ声もないんだよ。それでもまだ、こいつを愛せるかい?。」
、、どうしてそんな目でオレを見るんだ。オレはただお前を護りたくて、オレだけの女神様でいて欲しいから、だからやっただけなのに。それなのに、どうして。どうしてそんなに怯えた目でオレを見るんだよ、。
「い、や……っティキ、こわ、い…っ」
「怖い?どうして。オレはあの頃からずっとずっと、7000年以上もだけを愛してるっていうのに」
「てぃき…っ」
「ああ、そうか。その身が自由だからお前はオレ以外の男の所になんて行くんだよな。そうだよな。」
「ティキ…?」
そうだよ。が自由の身だから、はオレ以外の男に心奪われて恋に落ちたりなんかするんだ。そう、をオレだけしか知らない場所に、オレだけの籠の中に閉じ込めちまえば、はもうオレだけのものになる。、、。気高く美しいオレだけの女神様。
「閉じ込めちまえば、オレだけしか見えねぇよな。なぁ?」
「や、いや…ってぃき、やだ ねえ、やだよ、こわいよ、どうしたの」
「どうしたって?どうもしないさ、ただオレはオレなりにの事を愛してるから、にもオレを愛してほしいだけだよ、。」
オレを見上げたの瞳は虚ろで、光はなくて。それでもその瞳に写るのは間違いなくオレひとりだけだったから、たとえが望まなくてもオレはそれだけでいいんだ。その綺麗な瞳にオレだけを映して、その綺麗な声でオレの名前だけを呼んで、その細くて白い腕でオレだけに触れればいい。そう、最初からこうすればよかったんだ。そうすればはずっとずっと、オレだけの女神様でいてくれる。
「」
「……ここから だし、て…くらいの、いや…ねぇてぃき、おねがいだから、ここから…」
「ダメだよ。此処から出たらまたはオレ以外の男の所に行っちまうだろう?」
「てぃき、てぃき、そんなことしないわ、だから、だからおねがい、ここからだして」
「なぁ。のその目に映るのはオレだけでいいんだよ。その綺麗な声が向くのもオレだけでいいし、その細くて白い手で触れるのもオレだけでいいんだよ。」
「てぃ き……」
「は此処でオレの帰りを待ってればいい。オレが帰ってきたらおかえりって言って、その白くて細い手でオレを抱き締めて。そしたら朝まで愛し合おう?あの頃みたいに、また、さ」
「てぃき」
「オレはだけを愛してるよ。今も昔もこれからも。だからもオレだけを愛してよ。これからずっと、生まれ変わってもまたオレだけをさ」
「………てぃ き」
そう。此処はオレとだけの秘密の部屋。オレ以外は出る事も入る事も出来ない、窓も扉も無い、オレとだけの冷たいレンガの楽園。これからずっとずっと、此処でオレの帰りだけを待っててくれればいいんだよ、愛しい愛しいオレの女神。
愛は惜しみなく
(そう、ただ君だけに注ぐ愛)
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携帯サイトさよならマーメイド キリ番22000、柊 夜椏さまへ捧げさせていただきました
ティキ狂愛夢ということでリクエスト賜りはっちゃけすぎた感が否めません。