「…ティキ、何その手」

「え、」


……オレはどうも挙動不審らしかった。
と屋敷に二人きりで浮かれてたのかもしんない。
でもオレらはまだ付き合い始めて日が浅くって、キスは愚か手を繋いだ事すらねぇ訳よ。
あ?お前それでも快楽のノアかって?
うるせぇなオレはマジになった女にはなかなか手が出せねぇの!
ヘタレとか言うな心臓抜くぞお前。
…ってハナシが逸れた。頼むから黙ってて。
で、まぁオレとは今オレの部屋にあるテーブルに向かい合わせに座ってるんだよ。
そりゃーもうさ、二人きりでのどかな春の午後、いい雰囲気になったっておかしくねーだろ?
----な訳で、オレはさっきからテーブルの上に置かれたの細くてキレーな白い手を握ろうとしてんだけども。


「…挙動不審すぎるからやめてくんない?」

「いや、あのさ、」

「何よ、きしょい」


なのにはそんなオレの気持ちを知ってか知らずか、軽蔑に満ち満ちた目でオレを見た。
いやさ、ほら、照れ屋なの性格はオレもよく判ってんだけど
それでもオレは普通の恋人らしい事の一つや二つはしたい訳。
なのにと来たら、オレの手と顔を交互に見てそりゃーもう軽蔑ーって感じの目でオレを見上げる。
真面目にへこみそうだからやめてくんねぇかなぁ、ちゃん。


「きしょいってお前なぁ…」

「…本当の事じゃん、まぁティキはいつもきしょいし変態だけど」

「おいお前さりげなく失礼だぞそれ」

「こないだジャスデビがね、」


なんでここで双子の名前が出てくんだよ、とかオレはちょっとばかり不機嫌だったけど
次の瞬間オレは絶望という名の深い谷底に突き落とされるハメになった。
あいつらの事だからなんか粗探しでもしてにチクったんだろーな
オレ何言われるんだろうの軽蔑に満ちた視線がめちゃくちゃ痛ぇ。


「ティキの部屋で見つけたって言ってたんだけど、」


あぁ、ほらやっぱりな。
こういう直感ってイヤになるくらい当たんだよ、ほんとに。
はそう言いながらキョロキョロと何かを探すみてーに部屋中見回して盛大にため息を吐いた。
何、マジで意味が判らないんですけどちゃん。


「ティキは、私がいなくても右手が恋人でもいいのね」


「はぁ?!な、ななななな…っな、おま、えっ!」

「……ジャスデビが珍しく本なんて読んでたからどうしたのかなぁって思って聞いたらね
 あの子達が読んでたのえっちな本だったの。
 まさか買ったんじゃないでしょうねって聞いたら
 ティキの部屋で見つけたなんて言うじゃない?」

ちゃん、あのさ、えっと、それはだね、つまりだ、うん」

「言い訳はしなくていいわ。
 ただね、なんで私がいるのにそういう本を持ってるのか
 って私は聞きたい訳よ、判る?ティキ」

そう言ってオレを見るの視線はそりゃもう軽蔑に満ち満ちていた。
冷や汗を流して言い訳を考えるオレを横目で見て、は大きなため息ひとつ吐いて椅子から立ち上がった。
…え、ちょっと待って何どこ行くのちゃん。


「……何よ」

「どこいくの」

「部屋に戻るのよ。
 ティキは私がいなくてもえっちな本とその手があればいいんでしょう」

「ちっげーよ、ありゃ捨てようと思ってた本で…ッ!」

「……カマかけただけなのに……
 持ってるのね。本当に最低だわティキって」


「………え゛」


「……はぁ。お願いだから暫く私に近づかないでね。
 氷漬けになりたくなかったら」


ー!ちげぇってちょっと頼むからオレの話聞い「うるさいお黙りこの変態」


はめちゃくちゃ怒った顔でオレを睨んで勢い良く部屋のドアを閉めた。
----あれ、何だろう視界がにじんでる。












(オレだって健全な男なんだよ、!)








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まぼろしらんぷキリ番7777Hit、染花さまへ捧げさせてください(土下座)
おかしいな、ヘタレティキで甘夢だったのになんで下ギャグに走るんだ私死ねばいい!(おまえってこは!)
えぇと、えぇと、すいませんでしたァァアアアアア!!!!!!!!!!(逃走/こら!)