「…え、ティキ帰ってきてんの」
「うん、なんかすっげぇご機嫌だったよぉ?、今日は屋敷にいないほうがいいかもぉ」
「…そ、そっかじゃあ私かえ「よおおかえり!」……てぃ、き」

さいあくだ。何でこんな時間にティキが屋敷にいるのよあんた今日仕事でブローカーと会うんじゃなかった?もうお昼になるんだけどあんた朝からだとかって言ってなかったかしら。ティキはいっそ気色悪いほどの満面の笑顔で私に手を振る。その手になにやら怪しい紙袋があったことはこの際だからスルーしよう。私は何も見ていない。

「なぁ、お前もう今日仕事ねぇだろ?」
「な、ないけどティキあなたブローカーと会う約束は、」
「そんなん明日でもオッケー。せっかくが屋敷に帰ってきてんだしさ、たまには二人きりで愛を語り合「きしょいからやめてティキお願い離して私疲れてるの」……、おまえなんか最近オレに冷たいな」

冷たいのも当たり前、今このままティキの部屋に連れ込まれてしまえば大変な事になるというか心の準備がまだ出来ていないというか。私の手を握り締めたまま気色の悪い笑顔を浮かべているティキは快楽のノアで、今までまあそれなりにティキの女性関係のすさまじさというものを双子から聞かされていたせいか余計に怖い訳で。

「そ、そんなことないよ」
「いや、冷たい。傷つくなー可愛い彼女にそんな反応されっとオレ傷つくなー」

そう、そして私が何故ここまで必死で逃げようとしているかと聞かれれば、以前ティキとポーカーをして負けた時に賭けていたものにある。私もイカサマにはそれなりの自信があったから、学ナシティキになんて負けないわと手を抜いたのが災いしてか私は見事にティキのイカサマにしてやられた。そう、そのとき賭けていたのは私の初めて、つまるところはヴァージン。そんなこんなで踏ん切りのつかない私はティキを避けて避けて避けまくって屋敷に近づかないようにしていた訳なんだけど、千年公がたまには帰ってきなさイvとか言うもんだから仕方なく帰ってきたところでこうなった。本当に最悪だ。

「なぁ、いつになったらオレはのヴァージンをもらえるんだ?」
「……ッ!あ、あれは売り言葉に買い言葉というかなんというか…っ!」
「うん言い訳はしなくていいからさ、なぁいつくれんのよ

「そ、そういうことは、けっこんまえのだんじょがしちゃいけないことだとおもうの…!」

「…お前ほんと妙なとこで古風だな。そんなん、オレがを嫁に貰えばいい話じゃん」
「な……っ!ティ、ティキそれ本気?!」
「当たり前。」

ティキはそう言って私の腰を抱き寄せる。ノアに目覚めたって私は元々武家の娘で、男女交際に関してはお母様とお父様にそれはそれは厳しく躾けらてた訳で、ノアに目覚めた後多少ハメを外しまくったところはあるけれど根付いたそれは変わらないままな訳で、処女を捧げるなら一生の伴侶に、と決めていた私の決意はこんな事で脆くも崩れ去りそうになっていた。確かにティキの事は好きだけど、怖いものは怖いんだ。

「なぁ、オレの嫁さんになって」
「…っ!」
「オレ孤児だしさ、日本貴族のとは到底釣り合わないけど愛だけは誰にも負けねーし、」

前世で果たせなかった約束、果たさせてよ。
ティキが耳元でえらく艶のこもった声で言うもんだから私は赤面したまま見事に硬直した。












クライシス


(あなたのこと好きだけど怖いのよもう少しだけ待って頂戴な)





甘いというかギャグというか、どんだけ甘くても結局うちのティキはただの変態に落ち着くんだなぁと…