思い出せ、オレ。今どうしてオレが此処で何がどうしてこうなって、こんな状況に陥ってしまっているのか。
そう、隣には同じサークルに所属するちゃんっていう後輩が眠っている。それも上半身裸、鎖骨から下はシーツに隠れてて判らないが最悪全裸で、だ。ちょっと待て。確かに夕べは合宿初日ってことで酒盛りしてて、オレもちゃんもそれなりに飲んではいたけれど、何がどうしてこうなってこういう状況になってんだオレ?!てか何、もしかしてヤっちゃった?いやそりゃ確かにオレはちゃんがサークルに入ってきた当初から半ば一目惚れで片想いしてて、あわよくば合宿中に告白しようなんて考えちゃいたけれど。それがまさか自覚のない内に最後まで致してしまいました、だなんて冗談じゃない。

「ん、ぅー……」
(!まずい起きる…っ!)
「………てぃきせんぱい……?」
(起きちまったー!)

寝起きバンザイ。…じゃなくって!いやそりゃあ寝起きで寝ぼけてて目ぇ擦って掠れた声のちゃんってめちゃくちゃ可愛いんだけど今はそんなしんみりしてる場合じゃなくてだな!なんとかしてこの状況を誤解のないように説明しないと……っ

「…先輩…?」
「え、あ、あ、あのなちゃんオレ何もしてな「先輩、凄かったぁ…」…は?!」

マテ。何だ今の一言。
そんで何で顔が真っ赤なのちゃん?つーかマジで待ってほんとにヤっちゃった?告白もキスもフルコースで最後まで頂いちゃった系?うわあオレ唯の手の早い最低男じゃねえかそれって!ってゆーか何ちゃんそんな可愛い顔してオレの事見ないで唯でさえ朝ってヤバいんだから…ってそうじゃなくて!もしヤったのが事実なら覚えてないとかオレだめじゃねえか!

「初めてだったのに、あんな……」
「え、ちょ、ちゃん?」
「あんな激しいなんて…」

激 し い っ て な に 。てか本気でオレらヤっちゃった?!オレ全く覚えてないんですけど!
冷や汗をだらだら流してうろたえるオレとは対照的に顔を真っ赤にしてシーツに包まるちゃん。ああ可愛い。ってそうじゃなくてだな、オレ最低じゃね?そりゃあテキーラだのスピリタスだの誰がどっから持ってきたんだか判んねぇ強い酒ばっか飲んでて最後のほうなんて半分泥酔状態だったけどそうだとしても記憶がねぇとか最低すぎるじゃねえかオレ。

「……せんぱい、うれしいです」
「え、な、なななな何、が」
「先輩が、私の事お嫁さんにしてくれる、って…」

何言ってんだ昨日のオレ!
確かにオレだってもういい年だしちゃんさえよければとか思ってはいたけども!かといって酔いに任せてヤってる最中に言うとかオレって…オレって…!

「う、うれしいってちゃん」
「ティキ先輩、だいすきです」
「……っ」

ああ、もうダメ。顔真っ赤にして上目遣いでこんなこと言われたら結果オーライでいいじゃんとかいう最低な結論に行き着いちまう。後ろめたさからちゃんに背を向けた訳だけども、一瞬間を置いて背中に感じる体温と、ふにゅっとしたやわらかい感触。待ってこれってもしかしなくても抱きつかれてる?オレ。うわあちゃんって意外に胸でかいんだなあ着やせすんだなあとかどうしてこうそっち系の考えしか浮かばないんだオレの頭。

「……っちゃん?!」
「せんぱい………」

あああだからそんな強く抱きつかないでくんないかなあばっちり胸当たってるんだけどなあちゃん。…っていうかグッバイオレの理性。覚えてないならもう一度抱いて思い出すまで、とオレは振り向きざまちゃんの肩をつかんでベッドに押し倒した。


「はいそこまでさー!」
「全く貴方って言う人は本当に最低ですねこの変態」


ちゃんを見下ろしてシーツに手を掛けたところで勢いよく開いた扉。そっから顔を覗かせたのは赤毛と白髪、確かちゃんの同級生。えーとどういう事だこれは。ばっちりスイッチ入ったオレの思考回路は見事にフリーズ、そうこうする間にちゃんはオレの腕の中からするりと抜け出して笑ってた。マジで何なの意味不明なんだけど誰か説明してくんねえかなあ。

「アレン、ラビ、どうだった私の演技!」
「ん、アカデミー賞モンさぁ!」
「ほんと女優ですよねさんって」

フリーズするそんなオレの目の前でちゃんと赤毛と白髪は笑い合っている。ええとこれは何だつまるとこドッキリとかそれ系か?てか何だマジでタチ悪ィぞこの後輩。とか思ってたらちゃんがオレを覗き込んで、満面の笑顔を浮かべたまま、赤毛と白髪に聞こえないようにオレの耳元でたった一言だけ告げた。その後、耳元で告げられた言葉に硬直するオレに背を向けてちゃん達が部屋を出て、オレがその言葉の意味を理解するまでにかかった時間は30分。そう、理解した瞬間今度はオレが顔を真っ赤にする番だった。


『今日の夜、また来ます。その時は本当のことにして下さいね』










(イタズラから始まる恋もある)









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里沙さまご注文、学パロでサークルの先輩後輩ネタ・夏合宿系の甘いティキ夢という事で好き勝手暴走した挙句なんだか注文から逸れたものに仕上がりました(汗
えー補足しておきますとちゃんとティキはヤってません。ラビがたくらんだドッキリ企画にまんまとハメられたというオチなんですが…。
ちゃんはティキが好きだったのでこれに乗じて告白じみたことをした上にティキを振り回して内心くすくすと笑ってる小悪魔ですね。

なんだかリクエストから逸れたもので申し訳ないんですがこんなのでよろしければ里沙さまもらってやってください…!