「は?海?」
「そー。オレ明日オフだからさ、一緒に行かね?」
「やーよティキ何考えてんの鼻の下伸びまくりで気色悪いわよ」
ああ、オレのハニーは今日も冷たいです。ツンデレなんて言葉が世間じゃ流行ってるらしいけど、オレのハニーはデレなところが一切ない。今日も今日とてオレからのデートの誘いをばっさりと見事に切り捨ててくれました。確かにの水着姿が見たいって下心もある。オレだって男だ。だからといって別にそれだけじゃなくって、が海に行きたいとかぼやいてたからオレは必死で予定を空けて千年公に頼み込んでの予定も空けてもらって、そんで明日は二人ともオフだから晴れて海でデートが出来ると思ってた矢先のこの態度はさすがのオレだって少々ヘコむ。
「いやさ、海行きてぇって言ってただろ」
「そりゃ言ってましたけど。ティキと二人きりはイヤ」
「え、なんでよいいだろたまには二人でデートとかしようよ」
「やーよ二人きりで海なんて行ったらあんた絶対サカるでしょ」
えええ、ねえちゃん君はオレの事をどういう目で見てる訳?そりゃあ多少下心はあるつってもいくらオレだって外で手ぇ出したりしねーぞ。多分。きっと。うん、多分しねぇよ帰ってからのオタノシミにしときたいしさあ。
「サカんねーって。なあ行こうぜ海。せっかく休み取れたんだしさ」
「サカったら氷漬けにして海に流すわよ」
「……ハイ」
うん、手ぇ出せません。の目はマジ本気で殺るぞって目。の能力は氷結、氷を造りだす力らしいけどオレは学がないからその原理すらほぼ理解不能。でもの能力がどんだけ怖いかってのは身を以って体感済みな訳で、そんな本気で殺るぞって目で見られちゃいくらオレだって手は出せない。ヘタレとでも何とでも言え。そんだけは怖ぇんだ。
「……プライベートビーチでしょうね?違うとか言ったら行かないわよ」
「エーゲ海沿岸の千年公所有のプライベートビーチだけど」
「ん、ならばよし」
そんなこんなで、3ヶ月ぶりのデートは千年公のプライベートビーチで海水浴に決定。の水着姿、楽しみだなあ今年はどんな水着かなあビキニかワンピースか、オレとしてはビキニ希望なんだけど。とか考えてたら寝れなくなったってのはには言えない。
「わーキレーイ」
「だなー」
そんなこんなで翌日。方舟使って手っ取り早く別荘に着いたオレらは早速海岸へ。用意がいいというか何というか、メイドアクマが用意したビーチチェアに二人で座って、はパーカーを羽織ったままジュースを満足げな顔で飲んでいる。…なあそろそろ脱いでくれねぇかなあ、オレすっげぇ楽しみにしてたんだけどの水着姿。
「何見てんの?」
「え?あ、いや泳がないのかなって」
「そうだねーせっかく海来てんだし泳ごうか」
「おう」
はジュースを置いて立ち上がって、パーカーを脱ぐ。が着てたのは黒いビキニ。パレオつきなのが少しばかり惜しいがそれはそれで萌えるからよしとする。下着姿の時とはまた違う胸の谷間よりもパレオのスリットから覗くの真っ白な長い足、だ。
「…ちょっとどこ見てんの」
「え、どこっての脚線美」
「……変態」
そんな毒吐いときながら顔真っ赤ですよちゃん。照れ隠しの毒舌にも慣れたもんで、それがまた可愛いんだよなあとか思ってるオレは相当末期かもしれない。はオレを軽蔑の視線で見てから海に向かって一人で走り出した。何でオレ置いてかれてんのちょっと酷くねえ?
「つっめたーい!」
波打ち際ではしゃぐを遠目に見てオレは思わずだらしない笑みを零す。だってそうだろ、普段はクールで冷静で滅多に笑わないが笑顔ではしゃいでんだから。がオレに手を振るもんだから、オレはだらしない笑みをなんとか消して、波打ち際まで歩いた。
「はー…冷てぇなー」
「気持ちいいねえ」
「だなー」
海に浸かっても何する訳でもなく、波打ち際に二人で座って水平線を眺めるだけ。去年の夏はロードも双子もいたから二人きりでまったりなんて出来なかったから余計に新鮮。それはも同じみたいで、横目に見たの横顔は微笑んでた。ああ、来て正解。のこんな女の子らしい表情、久しく見てなかったもんな。
「ねーティキ、ありがとね」
「何が?」
「海、連れてきてくれて。無理したんでしょ」
「いや別に無理してねぇよ」
「嘘ね。知ってるんだから最近ずっと帰りが遅かったの」
「…だって、海行きたいってずっと言ってただろ」
「もー…バカね、そんで体壊したらどうにもなんないじゃない」
参った。どうにも今日のは可愛すぎる。確かに普段から二人きりの時は素直で可愛いんだけどもそれにしたって今日のは可愛すぎる。ここが海でいつもと違って水着姿だからそう見えるのかもしんないけど、オレの心配してくれるなんて。
「何、心配?」
「……何よ、悪い訳カレシの心配したら」
「………!っ!」
「うわっ!ちょ、サカんなつったでしょうがこのバカ!離れろっ!」
「もーお前ほんと可愛すぎだから」
「知るか!サカんなここ外!外はいやっ!」
「んじゃベッドならいいんだな?」
「違…っ!離せってばああああ!」
「無理。が可愛い事言うからオレの我慢は限界ですー」
「ば…っ離せえぇえええぇえ!」
が余りに可愛い事言うもんだから必死で繋ぎとめてたオレの理性はだだ崩れ。真っ赤な顔して暴言吐きまくった挙句暴れるを姫抱きで抱え上げて別荘へ歩き出せばはまた暴れる。そんな所も可愛いんだけどな、流石にそんなボコボコ殴られたらオレだって痛ぇのよ、ちゃん。
「ここ最近ご無沙汰だしな。2週間分纏めて愛してやるよ、」
「っ2週間分とか死ぬわぁっ!」
振り上げたの拳がアゴにクリティカルヒット。危うく意識を失いかけたけれどここで離したらオレの負けだ。何とか意識を繋ぎ止めて、相変わらず騒ぎまくるにベロチューしてやったらは真っ赤な顔をさらに真っ赤にして俯いた。
深海よりも深い愛を
(それはただ君だけに注ぐ愛)
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アリスさまよりご注文いただきました!
強気夢主でティキと海水浴デートゆめということなので精一杯甘くしようと頑張ってみました。
こんなので如何でしょう。よろしければ貰ってやって下さいませー!
アリスさま、リクエストありがとうございました!