「…え?やだルルそれ本当?……うんうん、えぇぇ?…それはちょっと…だよねえ…」

仕事を終えて屋敷に帰ってきたらとルルが食堂でなにやら話し込んでいた。ルルは猫に化けてたから、最初はが独り言でも言ってんのかと思って心配したら何の事はない、はルルを膝に抱いて毛づくろいをしながらルルと会話をしていたようだった。…しかしまぁ、ルルはにゃぁとしか鳴いてないのに何ではルルの言ってる事が判るんだろうか。っていうか、オレに気付いてちょうだいよ。

「……、ただいま」
「!ティキ…おかえり」
「あれ、何その嫌そうな顔。4日ぶりに帰ってきたんだからもーちょっと嬉しそうな顔してよ」
「無理ね。」
「なんで」

オレが声を掛けたらは怒ってるのかただ不機嫌なのか、兎に角眉間に皺を寄せてオレを見上げた。の声はいつもオレにおかえりって言う明るい声じゃなくて、なんていうか地を這うような低く威圧感のある声だった。…間違いなく、怒っていらっしゃる。

「……ねぇティキ?貴方仕事だったのよね?」
「そうだけど?」
「あらあら。じゃあルルが見たって言う天パの貴族さまはティキじゃないのかしら?」
「……は?」

ま ず い 。
これは非常にまずい。間違いなくオレは今日までの4日間仕事をしてた訳なんだけど、問題はその仕事で行った先。娼館を経営してるブローカーの所だなんてに言えば怒るのが目に見えて判ってたから黙って行った訳なんだけどどうやらそれが裏目に出ちまったらしい。はルルを抱いたまま冷め切った目でオレを見上げる。刺さるような視線が痛いです、ちゃん。

「ルルがね、一昨日娼館から出てくるティキを見たっていうのよ。そりゃあ私だって見間違いだと思いたいけどね?でも間違いなくティキだっていうんだもの。ねぇティキ、貴方仕事だとか嘘ぶっこいて何処行ってた訳?」
「……あのな、仕事ってのは」
「うん言い訳なんていらないわ、私はなんで仕事中に娼館から出てくるのかって聞いてんの。しかもえらくナイスバディなお姉さまと一緒だったんですってね?ねぇティキ、私へのあてつけのつもり?」
「…だから、それは」
「そりゃ私はティキより年下だしまだまだ子供だし?それなら大人のお姉さまのほうがいいわよねぇ?あーあ嫌だわいくら快楽のノアだからってこの節操ナシ」

あぁ、今日は一段とご立腹の様子で。やましいことなんてこれっぽっちもないんだけど、娼館から出てくるとこなんて見られたらそう勘違いされちまうのも仕方ない。仕方ねぇのは判るんだけどな、ルル。お前もうちょっと言い方ってモンがあるだろうがよ。えぇおい。

「…、オレが仕事で行ったのは娼館やってるブローカーんとこなんだよ。」
「…へぇ、それは初耳。で?普段お世話になってますーとかって女宛がわれて一発ヤってきた訳かこのバカヤロウが。二度と私の前に姿を現すなとっとと消えろ」

……うん、相変わらずオレの心を見事に抉るお言葉を有難うちゃん。ツンデレなとこも可愛くていいと思うけどな、だからってそこまで言わなくてもよくないか?

「ねールル、こんな節操ナシはほっといて散歩でも行こー?」
「ニャァ」
「そーだね、うん、じゃあ準備してこよー」
「おい
「何処行こうかルル?…そうだねロードとミミちゃんも誘って…うんうん」
ー?」
「じゃあ着替えて来よう!ルルも準備しといてねー」
ってば!」

………ああ、オレのことなんて完全にアウトオブ眼中、はルルをイスの上に降ろすとオレに見向きもしないままさっさと食堂を出て行っちまった。……ルルめ。

「…なぁルル、お前オレに何か恨みでもあんの」
「別に、私はただ真実を告げただけ」
「フォローの一つでもしといてくれたってよくない?」
「普段やましい事してるからが誤解するの、私は悪くないわ」
「……お前オレがに嫌われたらどうしてくれんの」
「ティキの普段の行動が悪いから、ね。私の知る所ではないわ」

ルルはそれだけ言い残すと食堂を出てった。オレ、一人取り残されて孤独なんだけど。4日ぶりに帰ってきたから今日はと部屋でゆっくりしようとか思ってたんだけど。そりゃ黙って行ったオレも悪いよ?悪いけどこの扱いはあんまりだ。と恋仲になってからオレは一度だって浮気なんてしちゃいないっていうのに。なぁどうしたらはオレを許してくれるかな。あぁ、なんか胃が痛ぇ。












(ツンデレな彼女と巧く付き合っていく方法、誰かオレに教えてくれ。)





ルルはご主人(千年公)の次にちゃんになついていればいい。ご主人取られた腹いせにこうやってちくちくティキを苛めていればいい。