「…っストライクさ……!」
「は?」

オレの目の前で口説くなんていい度胸してんね、眼帯くん。オレとはイノセンス破壊の為に小さな村にいた。まぁいつも通り、そこにエクソシストがやってきた訳なんだけどさ。いつぞや汽車の中で会った眼帯君とイカサマ少年だったんだよね。アクマがみーんなぶっ壊されちまったから仕方なしにオレらが出てって、を一目見た瞬間眼帯君は目をハートにしての手を取った。は突然の事にあっけに取られているしイカサマ少年は呆れ顔で眼帯君を見てるし、ほんと意味判んねぇ。

「なぁ君名前なんてーの?あ、オレラビっていうんだけどさ!」
「いやいや意味わかんないから」
「えぇえ、ただ名前聞いてるだけさ!なぁ名前なんてーの?」
「ちょっとラビ、彼女ノアですよ?!判ってるんですか?!」
「そんなの見りゃ判るさぁ。でもこの子可愛くねえ?」

眼帯君がの手をぶんぶん振り回しながらイカサマ少年と会話してる間、は心底面倒臭そうな視線をオレに投げる。オレにどうしろって言うんだよ。大体、お前も嫌なら振りほどけよ。何いつまでも手ぇ繋がれたまんまでいるんだよ。

「ラビ、その見境のない行動はやめた方がいいと思いますよ」
「えええ…しょーがないさこれはぁ」
「とりあえず離してくれないかな」
「名前教えてくれたら離してあげるさぁー」
「……
ちゃんっていうんかー。可愛い名前さねぇ」

お前何エクソシストに名前なんて教えてんの。っていうかいい加減振りほどこうよ、その手。の名前を聞いた眼帯君は更にヒートアップしてが戸惑うくらいのマシンガントークを始めた。
いい加減にしないとオレ怒るぞ?

「なぁ歳はいくつ?出身は?君もノアなん?」
「……名前言ったでしょ、離してよ」
「えーいいじゃん別に」
「良くない。離さないと燃やすよ」

ぼ、っとの回りに火の玉が浮かぶのを見て、眼帯君は慌ててから離れた。の能力は自然発火、つまり炎を自在に操る事。よっぽど機嫌を損ねたらしく、いつもは青紫の炎が今日はオレンジ色だった。

「…ずいぶん過激さぁ」
「ラビ、いい加減にして下さいよ彼女は敵ですよわかってんですか貴方」
「判ってるさー。でも可愛いんだもん」
「……もういいです好きにしてください僕は知りませんから」

イカサマ少年は呆れて眼帯君から離れた。は相変わらず不機嫌な顔で眼帯君を睨んでるが眼帯君はでれーっとしただらしない顔でを見てる。なぁいい加減オレ怒ってもいい頃だよな?これって。

「あーあ惜しいさねぇ、がノアじゃなかったらオレ間違いなく惚れてるさ?」
「そりゃあどうも……」
「ま、でも障害があればあるほど燃えるって言うし!」
「は?」
「見た目といい過激な性格といい、ほんとモロにストライクなんさぁ、オレ」
「…だから?」
「なぁオレと禁断の恋ってやつしてみねぇ?」
「…頭、大丈夫?」
「うっわぁキッツ……オレマジなんだけどなあ」

……うん、そろそろオレ限界だわ。何だってエクソシストに口説かれてそう平然としてんのかなちゃんは。お兄さん怒っちゃうよ?

「…
「?なぁにティ…っ」
「あぁあああテメェホクロ何してんさ!」
「何ってキスだけど?彼女にキスして何が悪い訳?」
「か…っ?!」
「悪いんだけどこいつオレのだからさ、諦めてくんね?」
「っちょ、ティキ…っ」
「ったく。オレ以外の男に触らせやがってお前は」
「……ッや…」

名前を呼ばれて振り向いたと思ったらティキの長いまつげが視界一杯に入った。そしたら息苦しくなって、あぁキスされてるんだってやっと気付いた。眼帯くんは目を見開いてティキを指差して絶叫、ティキは私を腕の中に閉じ込めて、眼帯くんが触れていた私の手に軽く口付けた。

「え、ちょっとお前ら何してんさオレらいんの忘れてねぇ?」
「消毒、な。」
「ッティ、キ……っ」

ティキの薄い唇が私の手を滑る。ティキの唇が触れた場所から段々と熱を帯びて行く様な奇妙な錯覚が私を襲う。見下ろせばティキは目を伏せて、片手で私の腰をしっかりと抱いてもう片方の手で私の手を取り何度も何度も口付けた。

「……で?眼帯君。いつまで此処にいんのかな?」
「は?え?」
「オレ、自分の女が喘いでんの他の男に見せる趣味はねーんだけど?」
「はぁ?!」
「あぁ、それともオレに抱かれてる見たら諦めてくれるか?なぁ」
「な……っ」

ティキが何だか恐ろしい事を言い出してる気がする。眼帯くんは顔を真っ赤にして震えながらティキと私を交互に見た。

「ちょ、ティキ…っ」
「ん?」
「ここじゃやだ…っ第一、人に見られながらする趣味は…っ!」
「あれれ、たまにはこういう刺激もよくねぇ?」
「や、だっ!」
「……やれやれ。我侭なお姫様だ」

ティキはため息ひとつ吐いて私を姫抱きに抱き上げると、顔を真っ赤にして硬直してる眼帯くんの横を何もなかったかのように通り過ぎて歩き出した。後ろで眼帯くんが何か喚いていたけど、ティキが私の耳元で延々と言葉を囁くものだから、眼帯くんの声は私には聞こえなかった。







繚乱、一時の

(絶対諦めてなんかやんねぇさ!)





「……ちょっとラビ、何石化してんですか帰りますよ」
「…あ、あぁ」
「顔真っ赤ですよ?何かあったんですか?」
「…いや、な、なんでもないさ。うん。」
「?そうですか?何でもないって顔してませんけど」
「何でもないって言ったらなんでもないんさ!帰るぞアレン!」
「え、ちょっと待って下さいよラビ!」













ハチさまよりリクエストいただきました!
ラビに迫られるヒロインにやきもちを妬くティキ夢、という事で!たまにはカッコイイティキでも書くかと気合入れてみたら何ですかこの人やっぱり発言変態臭いですよ。カッコイイティキってどうやったら書けるんですかね!(ヲイ)
こんなので宜しければ貰ってやってくださいませ!
リクエスト有難う御座いましたー!