「お帰りデビ!デロも!」
「おーただいま、
「相変わらず仲良しだね。ヒヒッ」

屋敷の庭園で双子と楽しそうに話をするを、オレは部屋のテラスに凭れて見つめていた。つい先日まではオレの隣で笑っていたは、もうオレの隣にはいてくれない。…オレの浮気という最低の行動でを泣かせて、怒らせて、結果はオレから離れて最悪な事に双子の片割れ、デビットとくっついちまったのが2週間前。オレが覚えているの最後のオレに向けた声は「最低」の一言、あぁ自分でもそう思うよ。大好きだから嫉妬して欲しくて、愛してるからオレにヤキモチ妬いて欲しくて。そんなガキみてぇな下らない考えで浮気なんかしたオレがバカだったんだ。

『…ティキ、香水変えた』
『変えてねぇよ?なんで?』
『……そう、』

が考え込む性格だって判ってたはずなのに、オレが好きだと言うばかりでからはただ一度も好きって言われた事がなかったから、オレを好きだって言って欲しくての気を惹くように何度も浮気を繰り返した。会話が段々と少なくなって、オレといても笑ってくれなくなって、それでもオレはの気持ちなんてこれっぽっちも考えなかった。気付いたらはオレの前じゃ笑わなくなってて、オレに声を掛けてくれる事も少なくなって、オレが声を掛けてもは悲しそうな顔で返事を返すばかりで会話は成立しなくなった。

『…ティキ、明日…』
『あーごめん、明日オレ泊まりで仕事なんだよ』
『っ……そ、っか』

そう、そして1ヶ月前のの誕生日。オレは仕事だと嘘を吐いて女の所にいた。がなんであんなに泣きそうな顔をしてたのかに気付いたのは屋敷に戻った日、の誕生日から3日後の事だった。誕生日は一緒に祝おうと約束したのに、よりによってそれを忘れてオレはじゃない他の女を抱いていたんだ。

『……
『…もう、疲れたよ…。』
『なぁ、待って。オレの話、聞いてよ』
『言い訳なんか、いらないの。理由がどうであれ、私以外の女を抱いたのも、その後で私を抱いたのも事実でしょう?ねぇ、』
『…っオレ、は…っお前が一度も好きだって言ってくれなかったから、』
『……バカね、そんな陳腐な言葉が欲しかった?言わなくても、判ってくれてると思ってた』

は涙を流しながらそう言って俯いた。ただ、疲れたと繰り返して泣くを前にオレは何も出来なかった。肩に触れようとした手は振り払われて、の涙で濡れた黒い瞳がオレを見つめて、オレはまた何も言えなくなった。

『…連絡が無かった夜は一人で泣いたよ。ティキと初めて会った記念日も、一人ぼっちだった誕生日も、雪が降ったクリスマスも、ティキは他の女と一緒にいたのよね。…どれだけ寂しかったか、判らないでしょ?誕生日も、クリスマスも、二人だけの記念日も…一人っきりで過ごした私の気持ちなんて、ティキには』
『……、オレは…っ』

『言葉になんてしなくても、ティキならわかってくれると思ってたのよ』

はオレを見つめたまま搾り出すような声でそう言って、また大粒の涙を流してオレの前から走り去った。去り際残された「最低」というの言葉は今もオレの耳にこびりついて離れない。…オレはきっと、一生この後悔を引きずって生きるんだろう。それでもオレはが好きで、この世界中の誰よりも愛しているから、の幸せを願う事しか出来やしない。これはオレに与えられた、死よりも残酷な罰なんだ。







に残るは君の

(一番近くて一番遠い、オレと君の今の距離)













千里 季愛さまよりリクエストいただきました!
悲恋でティキ×ルルorデビ夢要素込み、最終的に最低なティキでもいいので
という事だったので思いっきりティキを最低な男に仕立て上げて見せましたどうでしょう!(おまえってやつは!)
こんなものでよろしければもらってやってくださいませー!