「……え?」 待てや。誰やこいつ。ちゃんと鍵掛けて出かけたよな?…間違いないわさっき鍵開けて家ん中入ったもん。……ほな、何がどーしてどーなったら、うちの部屋のリビングに、男がおるんやろ? 「や、お嬢さん。お邪魔してるよ」 「……」 「おーい?」 なあ、なして?なしてうちの部屋のリビングに男がおるのん?しかも何やえらい身なりえぇし、どこの貴族やねんて感じの……貴族?や、待てや?ほんま待って。なんやこのにーちゃんどっかで……どっか、で 「〜〜〜〜〜〜!ティ…ッティッキーや!」 「は?や、確かにオレの名前ティキだけど…って何、お嬢さんオレの事知ってんの?」 「し、知っとるも何も!何でおるん?!」 アンタ漫画の登場人物やろ?!どこをどーしたら現実世界のうちの部屋におるんよってか何やのこれ夢?!あぁ夢やんな!そんな有り得へん事そうそうあってたまるかって話やもんな! 「なんで、って…方舟乗ってドア開けたらここにいた」 「方舟かい…!世界超えて繋げんな…!」 「は?世界?えーと、ここどこ?なんかえらく変わった部屋だけど」 しかも自分がどこおるか判ってへんこいつ。やっぱ学ナシティッキーやかわえぇなあ。……てそうやなくて。まずなしてティッキーがここにおるんやて話。…方舟に乗って、ドア開けて、そしたらうちの部屋に繋がってた、と。……アホか!なんでうちの部屋に繋げんねん方舟コラァ! 「あー……あんな、ここティッキーがおった時代から軽く200年後の時代なんよ」 「は?」 「アレ見てみ。カレンダー。数字くらい読めるやろ?今は2008年の2月やの」 「……未来?」 「せや。アレ見てもまだ信じられへんのやったら外見てみぃ。アンタの時代になかったよーな建物ぎょーさんあんで」 「……マジ……?」 あーそら混乱するわなぁ無理もないわ。カーテン開けて外見たティッキー、暫し絶句。振り返ったかと思えば何やきしょい位の笑顔。……あかん、壊れてもーた? 「すっげぇ」 「せやろなあ……」 「てかさ名前教えてくんね?お嬢さん」 「ああ、うち言うねん。よろしゅー」 「ちゃんね。オレはティキ。ティキ・ミック」 「知っとるよー。あ、なんで知っとるかは企業秘密やねんけどな?」 「え、何でよ教えてくんね?オレの事って名前だけ知ってんの?」 うん、言える訳あらへんわな普通に。アンタは漫画の登場人物なんやでー、なんてイキナリ言われた日にゃアイデンティティ崩壊の危機やで?間違いないわうちだったら絶対そーなっとるし。 「んー名前だけやあらへんよー?せやなー…推定年齢26歳で、ポルトガル人…手癖の悪い孤児の流れ者、でー…生年月日は判らんくせ血液型はO型、んでイーズ君達と食うメシが一番好き、と。んでアレやな、ノアの一族やろ?んでー…」 「や、もう十分だわ。」 「ん?」 「なんでここなのかなーって思ったけどアレだな、ちゃんがいたから此処に繋いだんだな方舟」 「へ?」 「だから、オレの事知ってるちゃんとこに方舟が空間を繋いだんじゃねぇの?ってハナシ」 「あー……や、そんなんうちだけやなくて日本中どこでもおるけどな…」 「ん?何か言った?」 「や、別に」 あかん、うっかりツッコミ入れてまうとこやった。…兎に角、目の前にこうしてティキがおってうちと会話してる以上、これは現実やと認めんといかんらしい。抓ったほっぺは痛かったしな。 「って訳でオレと一緒に来て欲しいんだけど」 「や、何が“って訳で”なんよ意味判らんしお断りやし死にとうないし無理やし」 「……何も即答しなくてもよくね?」 「やって一緒に行ってどーなるんようちノアの遺伝子なんて持ってへんただの一般ピーポーやで?せやのにエクソシストとドンパチせぇ言われたかて無理やしなむしろ死ぬっちゅーねんお断りや」 「……や、あのそこまで全力で否定されっとオレの立場ねぇんだけど」 「知らん。うちは行かんで。ハタチそこそこで死にとーない」 うーん、やっぱ一筋縄じゃ行かないね。生まれ変わってもなーんも変わってないわこのお嬢さん。奇妙な喋り方もそのまーんま。さてどうすっかな、連れて帰らねぇと次いつ来れっか判んねぇし…… 「んーでもさ、オレはちゃんを連れてく為に此処に来たんだけど?」 「は?」 「だーかーらー。ちゃんをオレらの家に拉…連れてく為にこk「今拉致とか言わんかった?!」……気のせいじゃね?」 「絶対言うた!拉致言うた!」 危うく本音が漏れかけた。まあ、ちゃんがどんだけ拒否っても拉致ってくつもりだけどね。 「てかねちゃんに拒否権ねぇから」 「ハァ?!」 「つー訳だから、ごめんね」 「ちょ…っおま、さいあ くや…しね、たこ……」 「……相変わらず毒舌だなぁ」 あの毒舌マシンガントークで言いくるめられる前に、首筋に軽く手刀ひとつ。気を失ったちゃんを抱えてオレは方舟に足を踏み入れた。 「……う……?あ?」 「お、起きた?ごめんなーイキナリ」 「……………ティッ、キー?」 「うん。で、ようこそノアの一族へ」 「え……ハァァァアアァ?!何やのどこやのここ何やのこの姫さんベッドそしてなしてうちこんなフリッフリー?!」 「……うん」 「うん、とちゃうわボケ!」 ベッドに身を起こして、オレを見て、オレの言葉に自分と周りを見て絶叫したちゃんがバシィ、っとオレの頭をはたく。寝起き(って違うか、気絶してたんだし)なのに相変わらずテンション高いマシンガントーク。カンサイジン、ってのはみんなこうなのかねえそれにしても元気だなぁちゃん。 「最悪やお前!ほんま死ね!うちは帰る!どこや方舟!」 「あはははは元気だなぁちゃ「うっさいわボケナス!」 ちょおおおおおおほんっま何しでかしてくれとんのこの学ナシは!!何やのまさかここ千年公の屋敷やとか言うんちゃうやろな?!冗談やあらへんでうちは帰る!帰るったら帰る!冗談やない! 「言っとくけど帰れねぇよ?ちゃんの世界に繋がってた扉ぶっ壊したし」 「ハァァァァア?!おま…っほんっま最悪やな!」 「や、だってちゃん連れてくんのが仕事だし連れてこねーと千年公怖ぇーし」 「死ね!百回と言わず一万回死ね!うちを元の世界に還せぇぇぇぇええええ!」 「無理無理。どーやって繋げんのか知らねーもんオレ。諦めたら?」 「うっわ!うっわ!最悪やこのにーちゃん!」 「今更騒いでも後の祭りだってば。女なら潔く腹括りなよ」 「いや訳判らんし!」 うん、パニックになってるよーでもツッコミは相変わらず鋭いねちゃん。まあ兎に角還すつもりもない訳でさ。だってそーだろ?せっかく再会できたんだもん、みすみす逃がす訳がねぇっての。……ま、ちゃんが知ってるオレらの事と前世の記憶は少し違うみてぇだけどまあそんなの問題外だな。 「いい加減にしねぇとロード呼ぶぞ」 「う…………」 うん、ロードが苦手なトコも変わってない(や、ロードが一方的にちゃんに構いすぎなだけなんだけど)ロードの名前を出した瞬間大人しくなったちゃんは諦めたみたいにでっかいため息を吐いてベッドに座り込んだ。 「……ほんまに、帰れへんの……?」 「うん、帰れねぇよ?あぁでもアレだ、心配すんな護ってやっから」 「信用できひん……」 「信用しろって」 「………嘘吐いたら針千本飲ませた挙句ゲンコ一万回やで」 「………うん、」 「おいこらティッキーなして目ェ逸らすねん」 だって目がマジなんだもんちゃん。とは言えないから言わないでおくとしてだな 「連れてきた以上は護るよ、何があってもね」 「……さ、さよか……ほならまあ…えぇ、か……」 手ぇ握って跪いてちゃんを見上げてそう言ったらちゃんは顔を真っ赤にして俯いた。嘘は言わねぇよ?エクソシストだったあの頃とは違う何の枷もねぇ一般人、それにもしかしたら欠けたノアの遺伝子を持ってるかもしれないんだからさ。 |
初めまして、
未だ見ぬ恋人
(早く早く思い出して。変わらぬ君の前世の記憶を)
浪速シリーズがとんでもないとこに飛んだハナシ……うわぁやっちゃった(おい
微妙に続く、かもしれない。この設定で色々書きたい話がありすぎる。