偉く綺麗な女だと思った。
返り血に塗れた金の髪 紅と金のコントラストが
紅に染まった、純白のワンピースが
絶望に染まるその青い瞳が
頬を伝う一筋の涙さえ

何もかもが、美しく見えた。


「……ど、して」
「気の毒だったな」
「どうして、殺したの?」
「…言えないね。お前が知っていい事じゃない」


紅に染まった彼女に抱かれた亡骸
さっきまで動いていたエクソシストだった「モノ」
見られてしまった いつもなら迷わず殺していたのに
どうしてか今日は、この女を殺す気がしない


「……貴方の顔、忘れない……」
「へえ。仇でも討とうって?」

「いつか、いつかきっと。私のこの手で貴方を殺すわ」

「無理だと思うけどなぁ。」


目の前で恋人が殺された
今までの女達は泣き叫んで、発狂したように叫んで
それなのにこの女はオレを殺すと言う
面白い女。


「オレはティキ。ティキ・ミック」

「…………
「ずいぶん素直に名乗るんだな」
「名乗られたら名乗り返すのが礼儀よ。それが例え殺人者だったとしても」
「へぇ………、ねぇ…覚えといてやるよ」


気丈に振舞っても肩の震えは隠せないのか
涙を流さず泣いている女を一瞥して、踵を返す
背にはいつまでも亡骸となった男の名を呼ぶ声が聞こえた。





も構



  そ


(いつかオレがお前の手にかかるその日まで)





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黒ティキの方が好みなんです





2006/07/17 カルア