私はバカだと自分でも思う。

彼には未だに忘れられないひとがいて

彼は私よりもずっと年上で

いつもいつも子供扱いされるんだ。



それでも私は彼が好きだなんて


















「チェックメイトである」


「うげ、また負けたし」


は考えなさすぎなんであるよ。チェスは戦略が全てであるよ」


「だって初心者だもん。勝てるわけないじゃんか」








小さな町の小さな宿。みんなで囲む大きなテーブル。

私はクロちゃんと覚えたてのチェスを打っている。


………これで0勝17敗。


手加減くらい、してくれてもいいとおもう。







「なんだ、また負けたさ?」


「うっさいバカラビ」


は直球すぎるんですよね〜…」


「黙れモヤシ」


「もうちょっとヒネれば強くなれると思うんだがな」


「じーちゃんまで言うか?!」







あぁ、泣きそう。

アレンもラビもじーちゃんも、みんな寄ってたかって私を苛めるんだ。

リナリーはミランダと話してて相手にしてくれないし(きっとこいつらがいるからだ)







「まぁまぁ。打ってる内に慣れてきて段々強くなってくるであるよ」


「クロちゃん…だったら手加減してよ」


「何言ってるであるか。手加減なんかしたらいつまでたっても上達しないであるよ」



「そりゃそーだ」





でも実はこの時間が好きだったりするんだ。


だってチェスを打ってる間だけは、クロちゃんは私を見てくれるから。






「もう一回、やろ」


「いいであるよ」






カチャカチャと駒が鳴る

クロちゃんの長くて綺麗な指が駒を動かす


私の自己満足の、幸せな時間。





























理由































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クロちゃんはきっとチェスが強い




2006/07/18 カルア