「もう、知らない!」
目の前にいる、表情を崩さないままのユウに吐き捨てて背を向ける
ユウは面倒臭そうにため息を付いて勝手にしろと言った。
追いかけてもくれないんだ
「ユウの、バカ……っ」
任務から戻ったと思えば大怪我してて
私が心配すれば余計なお世話だとか言うし
女のお前にエクソシストが務まるか、なんて憎まれ口叩くし
正直私もどうしてあんなヤツが好きなのか判らない
同じ日本人同士だから、きっと仲良くなれると思ってた。
でもユウは群れる事が嫌いな性格で、私はいつも邪険にされてる
たまに日本語で話しかけても、返ってくるのは英語だし。
周りをうろちょろするなと六幻片手にキレられたし。
「あー……私なんであんなヤツ好きになったんだよぅ…」
でも風に舞うユウの髪は綺麗だし(私よりも綺麗で腹立たしいけど)
凛とした雰囲気はとても年下には見えないし
たまに見せる微笑はとてもとても美人だし
「……末期、か?」
どうしてこう、私の乙女回路はわざわざあんなやつに反応したんだろう。
「あー、やっと見つけた。さん。リナリーが探してますよ」
「………アレン?」
声に振り向いたらアレンがいた。
にっこりと笑顔を浮かべて手を差し出す
「リナリーが心配してます。戻りませんか?」
「あー………わざわざ追いかけてきてくれたんだ?」
「いきなり走って行っちゃうから。探すの苦労しましたよ」
「ごめん。で、ありがと」
差し出された手を取る。
く、っと引き上げられて私は立ち上がる。
アレンと視線が交差した。
「神田も相変わらずですね」
「昔からあぁだからもういい加減なれたけど」
ぱたぱたと服に付いた土ぼこりを払い落とす
「でも懲りないんですね」
「私はユウが好きだからね」
「さんらしいや」
アレンは苦笑いを浮かべて、帰りましょうと促した。
アレンの背中を見ながら、歩きなれた道を歩く
この子はどうしてこんなに優しいんだろう
アレンを好きになれてたら、こんな思いしなくてすんだんだろうな。
「アレン」
「はい?」
「追いかけてくれて、ありがと」
でもね、アレン。
私はやっぱりアイツが好きなんだ
追いかけてほしかったのは
あなたじゃない
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アレン→→神田、みたいな。
2006/07/18 カルア