君に好きな人がいるっていうのは、知っている。
それでも僕は、君が好き。
「さん。何してるんです?こんなところで」
「あぁ、アレン…眠れなくてね。」
ここの所、さんは毎日、夜になると空を見ている。
月と星が綺麗だから、と彼女は言うけれど僕は知っている。
彼女には好きな人がいる事も
彼女が想う彼にはいまだ忘れられない人がいることも。
さんにしてみれば僕はまだまだガキで(実際そう言われてしまった)
恋愛対象になんてとてもならないってことも知っている。
それでも僕はさんが好きで、毎日こうして彼女の所へやって来る。
「眠らないと…駄目ですよ」
「判ってはいるのよ。でも眠れないの」
「……」
「アレン。毎日来てくれて有難うね」
そう言ってさんは今にも消えそうな微笑みを浮かべた。
きっと明日も、明後日も、彼女はこうして星を見上げているんだろう。
僕はただこうして隣にいることしかできないけれど。
君があの人を見つめる目の
それ以上の愛を僕は知らない
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さんがすきなのはクロちゃんという
2006/07/17 カルア