嫌いだった。

同じ日本人なのに、英語が全くわからなかった私の通訳してくれるでもなく。

一緒に任務を任されても、お互い助け合う訳でもなく


顔を合わせれば不機嫌になる。



だから私は、神田ユウが大嫌いだった。





大嫌い、だった。





















「……なんでお前が此処にいんだよ」


「コムイに呼ばれた。アンタこそなんで此処にいんの」




真夜中、リーバーさんに叩き起こされて。

不機嫌になりながらも化粧をして、髪を整えて。

指定された部屋…コムイ達が普段休憩に使ってる部屋…に行ったら神田がいた。




「俺もコムイに呼ばれたんだよ…」


「マジで…?(まさかこいつと二人で任務とかないよね…?)」



内心冷や汗をかいていたら、コーヒーカップと書類を抱えたコムイが部屋に入ってきた。

いやー、ごめんねこんな真夜中に〜 といつもの調子だ。





「いや、別にいいんだけど。」


「えっとねー、南フランスに二人で調査に行って貰いたいんだ」




「「は?!」」



「だ〜か〜らぁ。神田くんとちゃんで任務。

 もちろん捜索隊も何人か同行するけどね〜」




冗談じゃねぇ、とでも言いたげな目で神田は私を見る。

こっちだって願い下げだ。





「…コムイぃ。私と神田は相性悪いって」


「ん〜。イノセンス自体はとーっても相性いいんだけどねぇ。」


「ハッ。冗談じゃねぇ。俺一人でも事足りるだろうが」



「神田くん、フランス語喋れるのかい?」




「………」




「…ねえコムイ、私まさか通訳するの?」


「ピンポーン☆」







め ん ど く せ ぇ 。







「……オイテメェなんだその目は」


「別に?」


「明らかに俺をバカにしてる目だぞそれは」


「バカになんかしてないわよ被害妄想強いんじゃないの?」



「テメェ…っ」




「………まぁ…命令なら仕方ないか……」





「とっとと終わらせるぞ。俺はテメェが大嫌いだ」


「……そりゃどーも」











神田の後に着いて船着場へ向かう。

静まり返った廊下に、二人分の靴音が響く。

私は終始、前を歩く大きな背中を見つめていた。









(……あんな事言われてばっかなのに)





















(それはきっと今はまだ気付かない淡い恋心)




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神田はツンデレだと思う




2006/08/27 カルア