どれだけ名を呼んでみても
それはもう届かない
ただ虚空に飲み込まれて闇に消える
「………」
これは夢だ
悪い夢を見てるだけだ
だってそうだろ?
どうしては死んでるんだ
昨日まで笑って、オレの名前を呼んでたんだ
抱いた体は温かかったし、オレを呼ぶ声だっていつもの通りだったんだ
「……ウソ、だろ?」
なのに今 目の前にいる彼女は。
「なぁ……」
気高いイメージを抱かせた団服はボロボロで
艶のある黒い髪はボサボサで
雪みたいに白かった肌は青ざめてて
血で染まったレンガの道に、横たわってた。
「どうして……ッ!!!!!!」
ただ吹き抜ける風が彼女の髪を揺らす。
抱き締めても体温は感じられないし
冷たすぎる体は夕べの彼女とは違いすぎて。
「どうしてお前が死ななきゃいけないんさ……!!!!!!!」
ただ冷たくなった彼女の亡骸を抱いてオレは泣いた。
紫斑の遺る腕を掴んだ
(もう二度と会えない愛しい人よ)
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久々の更新が悲恋って。
2006/11/01 カルア