「ねぇティッキー、昨日一緒に歩いてたコってティッキーの彼女ぉ？」

……待て。なんでロードがの事知ってんだ？は普通の人間だから、家族の誰にも感づかれないよーにオレは必死でのことを隠してた。今日まで半年、順調に。その努力もむなしく、何故かロードはオレが愛してやまない可愛い可愛いの事に気付いてしまったらしい。よりにもよって、悪戯大好きなロードが、だ。マジ最悪。

「な、何のこｔ「とぼけんなよぉ。あのコ可愛いよねぇ。ねぇ、連れてきなよぉ」

しかも最悪な事にロードはどうやらを気に入っちまったらしい。そりゃあは可愛いよ？肌は真っ白だし目はくりっとしてて大きくて綺麗な琥珀色で、髪はほわほわとした癖毛のロングで。背だってちっこいし歳の割に幼く見える、言っちまえばビスクドールみてぇな可愛い可愛い子なんだけど。ロードがよく連れてくる“人形”とよく似たタイプだったからオレはロードにだけは気付かれないようにって必死での存在を家族に隠し続けてたっていうのにそのオレの努力は無駄な物に終わってしまうらしい。久し振りに会ったから浮かれてて気付かなかったオレはバカだ。本当に。

「……あのなロード、は」
「へぇーあのコってゆーんだぁ、可愛い名前だねぇ。」
「聞けよ」
「どんなドレスが似合うかなぁ〜…。やっぱ白だよねぇ〜。」
「おいロード」
「スカートはミニでぇ〜」

「聞けっつーの！」

「んだよぉ」

ぶぅ、っと頬を膨らませてオレを睨むロードの顔が怖い。逆らったらオレは何をされるか判ったもんじゃない。宿題押し付けられるどころの騒ぎじゃなく、もっと酷い目にあう事は目に見えているんだけれども、それよりも案ずるべきは愛しいの身の安全、だ。オレは慣れてるから別に、いやよくはないんだけどがロードの着せ替え人形になるくらいならまだオレが酷い目にあった方がマシっていうか。だってそうだろ？ドレスやら何やらで着飾ったを目の前にして理性保つ自信ねぇもんオレ。

「は普通の人間なの！オレがノアだって事も知らねぇの！連れてこれる訳ねーだろーが！」
「んじゃあ千年公とジャスデビにチクるぞぉ？千年公はいいとしてぇ、双子はちょっとまずいんじゃないのぉ？」
「…脅迫してんのかお前」
「やだなぁ、ティッキーにも春が来たよぉって家族に言うだけじゃぁん」

それを脅迫ってゆーんですけどねロードちゃん。

「…連れてくるよねぇ〜？」
「……お前その笑顔やめろよ何企んでんだよ」
「べっつにぃ？ティッキーが連れてこなきゃアクマに拉致らせ「ごめんなさい連れて来るから手荒なマネやめてほんとマジでオレ本気なんだよ」じゃあ連れてきてねぇ♪」

……あぁ八方塞がり、四面楚歌。大事な大事なをアクマに拉致らせるなんて手荒なマネはさせらんねぇ。かといって連れてくれば双子にからかわれロードのおもちゃになる事は目に見えている。でもオレが連れてこなきゃはアクマに拉致られちまう訳で。結局は連れてくるって選択肢しか残ってないわけで……




「え？ティキの家？」
「そー。オレの家族が会いたがってるんだよ、に」
「……か、家族？ティキって孤児じゃなかったっけ？」

そんなこんなで翌日、オレはの家を訪ねた。余りに突拍子のない事にはいくらか戸惑い気味。そりゃそうだろうな、オレは今までの前じゃ“孤児の流れ者”のティキ・ミックだったんだから。

「あーそれは今から話すけど……なぁ、頼むからオレの事嫌いになんないでな？」
「…？」
「オレね、普通の人間じゃねーのよ。ノアの一族、って知らねーよな…まぁとにかく」

「……え？」

「…これがホントのオレ。、黙っててごめんな」

言わないまま連れてっちまえばが戸惑う事なんて目に見えてたから、オレはの目の前で“黒く”なって見せた。案の定は驚いて固まった。そりゃそうだろーけど。今までのオレと全然違うオレがいるんだからさ。

「……ティキ、」
「…騙すつもりは、なかったんだよ。ただは普通の人間だろ？オレらの厄介ごとに巻き込みたくなかっただけで…だから、なんだ。その、とにかくだましててごめん。でも、」

「…ばか。ティキのこと嫌いになんてなんないわよ。」

「」
「ノアの一族、っていうのが私にはあんまり理解できないけど、私はティキがどんな人だって大好きだよ？」
「そっか」
「だからね、ティキの家族に会えるなら嬉しい」

はそう言って笑ってオレの手を取った。オレの手を包むの小さな手はささくれ立ってあかぎれだらけで荒れてた。……もし、オレがノアの一族のティキ・ミックとしてを嫁に貰う事が出来たなら、もうのこの白い小さな手は荒れる事はないんだろうか、なんて突拍子も無い事を思ってたら不意に名前を呼ばれた。を見れば、は大きな琥珀色の瞳でオレを見上げてた。

「ティキ？」
「あぁ、ごめんな…じゃ、行こうか」
「うん。」

握った手はやっぱり荒れててガサガサで、オレは少しだけ心が痛んだ。いつかのこの荒れた働き者の手を真っ白ですべすべな手にしてやりてぇな、って思うのはきっとオレがとの将来を夢見てるから。今は戦争中でそんな事言ってられる状況じゃねぇからまだ言えないけど、もしがオレを受け入れてくれるって言うんならオレはの手がこんなに荒れてガサガサになんねぇようにいつも綺麗に手入れして、綺麗なマニキュアを爪に塗って、綺麗なドレスで着飾っていられるように頑張ろうと思った。







薔薇色ラブストーリー


（今も昔も、これからも！）










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