ドォン!!
飛行船から飛び降りたのは、一人の老人。
常人ならば体が粉々に砕けて死んでいるであろうその高さから土煙と共に降りてきた彼は
無傷でピンピンしていた。
メンチに試験のやり直しをしないかと提案する間中、彼女の胸に視線が行っていたのは見ないフリをして。
とにかく、二次試験後半、マフタツ山にて再試験が決定された。
迷走ノスタルジア 07
「、ずるい」
「一人だけ合格、なんてねェ★」
「いや、あの……すいませんでした」
「…まぁ結果オーライだからいいけどね☆」
飛行船の中、はヒソカとイルミに殺気を向けられていた。
先ほどの試験でだけが合格したのが気に入らなかったのだろう。
「それにオレ、目立つなって言ったよね」
「あれは…ガキ扱いされたからつい…」
「挑発に乗る時点で充分ガキだよ」
「う……」
すっぱりとイルミに切り捨てられ、はそれ以上何も言えなかった。
***
飛行船を降りて、見えたのは深い深い谷底。
この谷の間に丈夫な糸を張って卵を吊るしているクモワシの卵を取ってくる。
それだけ聞けば簡単、と思うかもしれない。
が、ブーツを脱ぎながらメンチが言った一言に、はぴしりと固まった。
「落ちたら数十キロ先の海までノンストップだけど」
言うが早いか、メンチは谷底へ飛び降りた。
暫く経って、卵片手にメンチが戻ってきた。
…私あれやるんだろうか。
は冷や汗をかいたが、300番は行かなくてもいいわよ、と言うメンチの言葉にほっとした。
したのだが。
「もちろんも行くよね」
「そうそう☆何事も経験が大事だよ◆」
がっしりと、両腕をヒソカとイルミに掴まれ
「え、あ、ちょ……ッぎゃあぁぁぁぁあああぁぁぁああああ!!!!!!!!」
谷底へ投げ落とされた。
「ッ死ぬ!死ぬ!!!!!」
ガシッ
落ちて行く間に伸ばした手は、運良くクモワシの吊るした糸を掴んだ。
「た、助かったぁ〜……」
盛大に溜息を吐き、少し気分を落ち着かせて、器用に卵を取った。
そのまま糸を伝い、壁を必死でよじ登って、頂上へ戻った。
生きてる、私生きてる。と安堵の溜息を漏らすに、ヒソカとイルミが声を掛ける。
その表情は楽しそうで、は「さっきの仕返しかこれは!」と悟った。
「遅かったね」
「生還オメデトウ☆」
「………ッ殺す気かぁっ!!!!!」
ボカァッ、と二人を殴りつけ、卵を鍋に放り込む。
尚もからかい続けるイルミとヒソカに、はなおも殴りかかった。
(なぁ…あの女すげーな)
(あのヒソカに殴りかかってる…)
(けっこう美人だな)
(お前はそれしか頭にないのか)
は二人に殴りかかるのに夢中で、ゴン達にそんな事を言われているのには気付かなかった。
ちなみに上から、キルア、ゴン、レオリオ、クラピカである。
「次無茶したら本気で殺りにかかるかんな!!!」
「キミじゃ無理☆」
「即答すんなぁぁぁあああぁぁぁああ!!!!!!」
そうこうする内に、二次試験は終了。
二次試験通過、43名。
***
「本気で死ぬかと思った」
「が一人で合格するからだよ」
「料理した事ないんだからしょうがないじゃん、二人の場合」
三次試験会場へと向かう飛行船の中、はイルミとお茶を飲んでいた。
ペットボトルには「馬茶」と書かれていた。
二人から少し離れた所では、ヒソカがトランプタワーを作っている。
そのお陰か、周りに受験生の姿は見当たらなかった。
「まぁそうだね。」
「着くまで暇だわ…」
「オレ寝るけど」
「…眠くないんだよね私」
どうしようかな、と言いイルミを見るが、彼は既に壁に凭れて眠っていた。
お前はのび太か!と思わずツッコミたくなったが、堪えた。
そしてヒソカの隣に歩いていき、腰を降ろした。
「イルミ寝ちゃったよ」
「は寝ないのかい☆?」
「眠くない」
「そう◆」
じゃあトランプでもやるかい★?
そう聞いてきたヒソカに頷き、もトランプタワーを作り出した。
が、二段目に行く事なく、崩れていく。
は難なくトランプタワーを積み上げていくヒソカを横目で見た。
「……うまいねぇ」
「ちょっとしたコツがあるんだよ☆」
「(まさかバンジーガム使ってんじゃねーべなこいつ)」
と思ったが、口に出すのは怖かった。
結局、三次試験会場に着くまで、はトランプタワーを作り続けたが、二段目を積める事はなかった。
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ちょっとした閑話休題
2006/12/01 弖虎