前略、天国のお父様、お母様。
私、恋人が出来ました。
伝説の暗殺一族の長男です。
は強く生きようと思います。
迷走ノスタルジア 11
「オレ適当に狩ってくるから、ここから動かないでね」
「……うん」
結局、眠れなかった。
イルミはあの後を抱きしめたまま眠った。
はといえば、硬直したまま混乱していた。
結局、眠気が襲ってきた頃にはイルミが起き、結局眠ることは出来なかった。
その後、ぎこちないまま2日目を過ごし、現在は3日目の昼過ぎ。
軽い食事を終えた所だ。
「見つからないとは思うけど、もし見つかったら躊躇なく殺らなきゃが危ないからね」
「……うん」
「すぐ戻ってくるけど、用心してて」
イルミはそう言い残し、森に消えた。
はうろの中に座り込んで、気配を絶った。
(眠い……)
寝たら駄目だと頬を叩く。
流石に4日以上も眠らないと、睡魔が引っ切り無しに襲ってくる。
はイルミが戻ってきたら寝ようと決めた。
(イルミが…私をねぇ……)
なんだか夢でも見てるみたいだ、とは思う。
(とりたてて可愛い訳でもなく、男勝りで女らしさなんて欠片もない私に惚れるなんてイルミも物好きだ。
むしろ初対面で殺しかけた相手に惚れるってどうなんだ?しかも素性の知れない怪しい女に。
イルミってよくわからないな。
今までは漫画の中のキャラとして好きだったイルミが、今では確かに存在する一人の人間なんだよね。
私、このままここで生きていけるのかな。もうあっちの世界に帰りたくない……。)
ぼんやりとそんな事を考える。
もともと天涯孤独の身の上だから自分が消えたとしても困る人間なんていない訳だし
このまま、あっちに戻らずこっちで生きられたらいいのにな、とは願う。
事故で両親を亡くし、背に消えない傷を背負った。
友達を作る事もせず、両親の遺産を食い潰そうとする親戚達とも縁を切り
両親が遺したマンションで、両親が残した数億の遺産を使い、自立して生きていくつもりだった。
(この世界で、生きたい)
あんな世界に未練はない、とは決意する。
ハンターになってこの世界を飛び回りたい、と。
***
(………ッ誰か来る!)
ガサ、と遠くで草の動く音がする。
その小さな音を聞き、は気配を絶ったままその方向を見た。
(……クラピカとレオリオ……)
とりあえず相手が彼らならば命の危険はまずない
は安堵の溜息を吐いた。
が、彼らは湖の畔をのいる大木に向かって歩いていくる。
(……このままいても見つかる、か……)
は イルミにバレたら面倒な事になりそうだ と思いながら、ゆっくりとうろから出た。
「誰だ?!」
その気配を察知したクラピカが勢いよくの方に振り返り、武器を構えた。
はにっこりと微笑み、敵意がない事をアピールしつつ、二人に声を掛けた。
「こんにちわ」
「…貴女は…」
「だよ。=」
「ヒソカたちと一緒にいたヤツだよな」
二人は苦い表情でを見る。
はそんな二人に思わず苦笑いをこぼした。
「そんな警戒しないでよ。何する気もないからさ」
「ヒソカとあの怪しい男と一緒にいるヤツだ、信用できねーな」
「……まぁねー」
ヒソカとギタラクルと一緒にいればそういう扱いされてもねー、とは言う。
クラピカはレオリオを睨んだ。
「レオリオ。失礼だぞ。
…自己紹介が遅れた。私はクラピカ。こちらの無神経がレオリオだ」
「おい誰が無神経だ誰が」
思わずツッコミを入れるレオリオだが、本当の事だとクラピカに一蹴される。
はそれを見て思わず笑い、それが更にレオリオの反感を買ってしまった。
「てめぇも笑うな!」
「ごめん。仲良いなーと思ってつい」
「…ところで…は一人でここに?」
「相方がターゲット探しに行っててね。一人で休んでた所だよ」
「相方って…あの顔中ピアスまみれの男か?」
「ピアスじゃないけど…そうだよ」
のその言葉に二人は固まる。
なんで一緒にいられるんだ!と聞きたくなるのを飲み込んで。
「………で、君たちどうするの?私を狩る?」
笑みを浮かべたまま、は二人を見据える。
クラピカは笑顔の裏に隠された殺気を感じ取ったのか、冷や汗をかいて黙り込んだ。
殺気にわずかながらも念を混ぜていたせいもあるのだろうが。
「いや…敵いそうもない、やめておくよ…」
「そう?」
「オイオイ正気か?相手は女だぞ?!」
が、レオリオはその殺気に気付かないまま、クラピカに大声で言う。
はレオリオのその一言に、ぴき、っと一瞬青筋を立てた。
「だから無神経だと言うんだ、お前は。彼女は強い、私たち二人でも敵わないだろう」
「はァ?!」
「……そうだろう?」
「んー…どうなんだろうね?まぁ、ヒソカ程強くはないけど。」
やめておいたほうが懸命なのは正解だねぇ、とは笑う。
レオリオはそのの態度に腹を立てるものの、クラピカに止められた。
「ギタラクルが帰ってこないうちにどっか行ったほうがいいと思うよ。
あいつヒソカと同じで見境ないから。殺されちゃうかもしれないしね?」
「そうだな……。健闘を祈るよ、」
「クラピカたちもね」
なおも怒るレオリオを半ば引きずるようにして、クラピカは森へ姿を消した。
はひらひらと手を振り、二人を見送った。
「……うーん、やっぱ誤解されてんのねぇ私」
まぁあの二人じゃしょうがないけど、とは溜息を吐いた。
***
「」
「…あ、おかえり、イルミ」
クラピカたちと別れてから1時間程してイルミは戻ってきた。
は暇潰しにと持ってきた本を読んでいた。
本を閉じ、イルミの為にスペースを開けるように横にずれる。
「何かあった?」
の隣に腰を降ろし、イルミが聞く。
少し考え込んだ後、は口を開いた。
「んー……キルアと一緒にいた金髪とサングラスと会った」
「……へぇ?」
「怪我してもないし、キルアもいなかったし、別に何もなかったから大丈夫だけどね」
「そう」
「で、ターゲット見つかったの?」
「うん。」
「そっか。じゃああとは残り4日無事に過ごすだけだねー……」
でも4日も何してればいいんだろうねぇ、とは愚痴る。
「のこと聞かせてよ。オレ、の事あまり知らないし」
「私のこと?別にいいけど、素性の知れない女を好きだなんてイルミも変わってるよね」
「暗殺者のオレに惚れたもね」
「う……」
こうして3日目の夜は更けて行く。
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メイン4人はあまりいい扱いはされないこの連載。
2006/12/02 弖虎