『ただいまをもちまして第4次試験は終了となります
 受験生のみなさんすみやかにスタート地点にお戻り下さい』


長かった1週間がようやく終わった。
は安堵の溜息を吐いてイルミと共に船へと戻った。













迷走ノスタルジア 13














「ヒソカプレート取られちゃったの?」

「うん★405番のゴンって子◆」

「……あぁ、あの子か。」


現在は最終試験会場へ向かう飛行船の中。
はイルミ、ヒソカと共にいた。


「…ところでキミ達、4次試験中に何かあっただろ★」

「(ぎくっ)何が?」

とイルミ。」


あぁこいつどうしてこういう妙な勘が働くんだ。
は溜息を吐いた。
絶対何か変な事を言い出すに決まってる。
そう思いイルミを睨むも、そ知らぬ顔をされて。


「別に…ただがオレの物になっただけ」

「ッ誤解を招く言い方しないで!!!!」

「へぇ☆」

「そういう訳だから、に手出したらヒソカでも容赦しないから」

「んー…残念◆」


「別に何もなかったからね!!!!!!!」


「ハイハイ☆」


くっくっく、と楽しそうに笑うヒソカ。
もうこいつには何を言っても無駄だとは諦めた。





『えー…これより会長が面談を行います。
 番号を呼ばれた方は2階の第1応接室までおこし下さい。
 受験番号44番の方。44番の方お越し下さい』





「面談?」

「……44ってヒソカじゃん?」

「なんだろうねぇ☆まぁ、行ってくるよ◆」

「いてらー」


ヒソカは背を向け、手を振りながら指定された部屋へ向かっていく。
はイルミと二人、窓を見下ろしながら呼ばれるのを待った。


「面談って何の為にするんだろうね」

「最終試験の参考じゃん?」

「まぁそうだね」

「ダイジョーブ、私もイルミも合格すっから!」


ぐ、っと親指を立ててイルミに笑顔で言う。
イルミは何か言いたげにに手を伸ばすが、その手はスピーカーから聞こえた音声にさえぎられた。



『受験番号300番の方。300番の方お越し下さい』



「ありゃ、私だ」

「行っておいで。オレここで待ってるから」

「うん。行ってくる」


はゆっくりと歩き始めた。








***








「失礼します」

「まぁそう固くならんと、座りたまえ」

「あ、はい」


和室のような部屋、はネテロと向かいあうように座布団に座った。
なんだか懐かしいな、畳の部屋って。
は緊張感の欠片もなく、そんな事を思っていた。


「まず…なぜハンターになりたいのかな?」


「…自分の実力を試したいから…それと、いろいろと便利だから。
 生きていく上であった方がいいかな、と思ったからです」


「なるほど。
 ではおぬし以外の9人の中で一番注目しているのは?」


「……44かな。彼はすごいと思う。性格は別として。」


「ふむ。では最後の質問じゃ。
 9人の中で今一番戦いたくないのは?」


「戦えない、という意味で301。
 戦いたくない、という意味で44…かな」


「うむ、ご苦労じゃった。下がってよいぞよ」


「あ、部屋って使っていいんですか?」


「別にかまわんぞい」


「ありがとうございます。失礼します」


は扉を閉めながら軽く溜息を吐いた。

(イルミとあたらないといいなぁ。
 絶対戦えないと思うし。ヒソカとあたるのも嫌だけど。)

イルミの許へ戻りながら、はぼんやりとそんな事を考えていた。




『301番の方。301番の方お越しください』




戻っている最中、イルミを呼ぶアナウンスが聞こえた。


(ありゃ、イルミとすれ違いか)


まぁさっきの場所にいれば大丈夫でしょ、と楽天的に構えては歩く。
飛行船は最終会場に向けて順調に航行していた。












***












「おかえりぃ」


窓辺に凭れてタバコを吸っていたの許へイルミが戻ってくる。
ヒソカは面談後どこかへ行ってしまった様で、とイルミの周りには誰もいない。


「イルミ、なんて答えた?」

「言ったら面白くないじゃん」


とは戦いたくないんだよねー。殴ったりなんかしたら後味悪そうだし)


イルミがそう思っているなどとは微塵も考えず、は頬を膨らませた。
イルミはのその仕草に、条件反射的に頭を撫でた


「子供扱いしないでくださいー」

「オレより年下でしょ」

「……これでも成人してるんだけど」

「はいはい」


なおも頭を撫で続けるイルミ。
は先ほどネテロに言われた事を思い出し、あ、と声を漏らした。


「…そういえば部屋使っていいって言ってたし、私久しぶりにベッドで寝るわ」

「一緒に寝てあげようか?」

「襲われそうなんで遠慮します」


きっぱりと言い切り、は客室へと歩き出す。
が、イルミはそんなの言葉を聞こうともせず、について歩き出した


「何でついてくるの」

「オレだってベッドで寝たいし」

「あ、そ。」


イルミには何を言っても無駄だったな、とは思い出した。
そういえば4次試験中に爆弾発言されたっけな、と思いつき、青ざめる。


(……同じ部屋だけはなんとしても阻止しよう)


そうしなきゃ貞操の危険が危ない。
は決意を固めた。



「………入ってきたら殺すからね」

じゃ無理だよ」

「……ッばかイルミッ!」


心なしか頬を紅く染めて扉を閉めたに、イルミは思わず笑みを浮かべた。
そして隣の部屋へ、静かに入っていくのだった。







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イルミって難しい、ほんっとに。




2006/12/04 弖虎