結局何事もなく飛行船での3日は無事に過ごせた。
正確に言えば、寝込みを襲われそうになったりはしたのだが。
イルミは試験中だからというの必死の説得にしぶしぶながらも納得した様子を見せた。
その代わり試験終わったら覚悟しておいてね、という恐怖の一言を残してだが。
迷走ノスタルジア 14
「最終試験は1対1のトーナメント形式で行う」
いよいよ最終試験だ。どうかイルミとヒソカとはあたりません様に…!
はそれだけを祈って、布に覆われた黒板を見ていた。
「その組み合わせはこうじゃ」
する、と黒板を覆っていた布が取り払われる。
はそれに書かれた組み合わせに絶句した。
なぜならばの対戦回数は3回で 初戦からイルミと当たるハメになっていたからだ。
イルミは組み合わせ表を無表情で眺めている。
はどうしようかと一人盛大に溜息を吐いた。
「………まさかとあたるとはね」
「……私も思ってなかったよ」
「手加減しないよ」
「私もね…勝てる気はしないけど」
イルミもしかして面談の時何か言ったんじゃ
そう思ったが、後が怖いので飲み込んでおいた。
「さて…最終試験のクリア条件だが…至って明確。
たった1勝で合格である!!」
「1勝だって」
「うん……イルミの次が…えーと99……げ」
「うん、キルだね」
「………マジすかー……」
これはなんとしてもイルミに勝たなければ。
勝たなければ原作の流れが……!!!!!!!
は一人必死に考え込んでいた。
その間にも試験の説明は続いていく。
は説明が終わった事にも、試験が始まった事にも気付かずに
ただ どうやってイルミに勝つか という事をぐるぐると考えていた。
***
「---試合!対ギタラクル!」
「ぅぇ?!」
なおも天井を見つめたまま考えをめぐらせていたの耳に届いた言葉。
それは試合ですよ、という審判の声だった。
(……考えても仕方ない。なんとしても勝たなきゃ。)
もうどうにでもなれ、と半ばヤケクソには立ち上がった。
「……お手柔らかに」
「手加減しないって言ったよね」
「…負けると困るんだよー…」
はぁ、と溜息を吐き、イルミと向き合う。
イルミはまだ変装したままの姿で、を鋭い視線で射抜いていた。
(……あんまり乗り気しないんだけどな)
素顔のままでなくてよかった、とは思った。
もしも素顔のイルミとだったら、間違いなく自分は何も出来ないだろうと自覚していたからだ。
「それでは……始めッ!!!!」
「…ごめん」
はそれだけ呟いて、床を蹴った。
そのままの勢いでイルミに拳を叩き込もうとするも、その手は容易に止められて。
「…チ」
「甘いよ。」
ぶん、とイルミの蹴りが頬を掠める。
(本気で当てる気で蹴りやがったこいつ!!!!!)
うひゃ、とは声を漏らし、しゃがんで避けた。
「ねぇイルミ、お願いだから負けてよ」
「どうして」
「私が負けちゃったら…キルを説得できないよ」
「そうだね」
普通に会話をしているようでも、実際は目にも止まらぬ速さで攻撃の応酬が続いている。
の拳をイルミが止め、イルミの蹴りをが止め。
避け切れなかった拳がの頬を掠めた。
「………イルミ……」
「あ」
「…女の顔に……ッ」
ずごごごご、とのオーラが強くなる。
そのオーラに、念を使えないヒソカ以外の受験生は言い知れぬ恐怖を覚えていた。
頬を流れる生ぬるい熱に、は念を使わないという約束を、忘れていた。
「何すんだよオォオオオォオォッ!!!!!!!」
オーラを拳に一点集中させ、はイルミの腹部を思い切り殴りつけた。
ドゴォ、と鈍い音が響き、イルミの動きが一瞬止まる。
はその音で我に返り、慌てて絶をした。
イルミはゆっくりと立ち上がり、をちらりと見て
「……まいったよ」
「……へ?」
審判に向かって、敗北宣言をした。
はあまりにも突拍子のない彼の行動に、心底間抜けな声を上げた。
「全く。いくらオレが悪いとはいえあれはないんじゃない?」
「えあ…ご、ごめん」
「いいけどね…別に異常ないみたいだし」
「……うん」
しゅんとなるの頭を、イルミはぽんぽんと叩いた。
「勝者、!」
審判の宣言が高らかに響く中、はこれから起こる出来事に眉を顰め、目を閉じた。
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大幅な省略は…4人組と接触させないためです…。
2006/12/14