ハンター試験から帰って早々、(強制的に)イルミと婚約してしまった私は
正式にゾル家の一員として認められたようだ。
なんでかって?そりゃ、出された食事に致死量以上の毒が入っていたからさ。
そんなの食べて平気で生きてられる私、いよいよ人間じゃねぇななんて思ってもみたり。






迷走ノスタルジア 18








「ゼブロさんこんち……ってあれ?」

「おや、様。今日の訓練は終了ですか?」


午後の訓練を終えたは庭を散歩していた。
その目的はミケを見つけて背中に乗せてもらう為だったのだが、どうしてかミケの姿は辺りには見当たらなかった。
仕方ない、ゼブロさんとこでお茶でも貰おう。
そう思い立ち守衛室へ入ったは思いも寄らぬ客人を見つけ思わず声を上げた。


「…ああああお前!ゴリラ女!」

「ゴリ……っ?!」

「レオリオ!」


レオリオ、クラピカ、ゴンの3人である。
を見るなり失礼な事を叫んだレオリオには殴りかかろうとしたが、クラピカが慌ててレオリオを制したので拳を引っ込めた。


「……もしかしてキルアに会いに来た系?」

「あ、うん。さん、だっけ…キルアに会える?」

「無理だと思うよー…私もまだ会ってないもん」


はけろっと言い放つと煙草に火を着けた。
ゼブロが灰皿を差し出したのを見て、は小声でありがとと返す。
何か聞きたげな顔をしてを見るレオリオに、は嫌悪感を露に声を掛けた。


「何よ」

「…いや、その、何だ…お前、ここで暮らしてんの?」

「そーよ」

「じゃあキルアに会わせてくれるように頼んでくれない?さん」

「無理。私、まだ正式なゾルディック家の者じゃないし」

「…どうやったら会える?」

「どうしても会いたいの?ゴン君」

「友達だもん」


意見を曲げるつもりはないらしいゴンの真剣な視線に射抜かれ、はため息を一つ吐いた。
ゼブロをちらりと見ればゼブロは頷き、口を開いた。


「さっき君らもみたでしょ?でかい生き物の腕を。あれはミケといってゾルディック家の番犬なんですがね。
 家族以外の命令は絶対聞かないし、懐かない。
 10年前に主から出された命令を忠実に守っている。
 “侵入者は全員噛み殺せ”…あ、忠実じゃないやな、食い殺してるから…」

「ミケがいるから危ないし…中に入れる訳にもいかないよねぇ…。
 一応、キルアの友達な訳だし、ガイコツにする訳には、ねぇ」

「……守衛さん、さん。貴方達は何故無事なんですか?
 貴方達は中に入るんでしょう?中に入る必要がないのならカギを持つ必要もないですからね」


ゼブロとの言葉を静かに聴いていたクラピカが静かに口を開く。
は目を見開いてクラピカを見た。


(鋭いなぁこの子…気付いたのかね。)


そのクラピカの答えに、ゼブロは茶を啜りながら答えを返す。


「…いいとこつくねェ。半分当たりで半分ハズレですね。
 中に入るがカギは使いません。これは“侵入者用”のカギなんですよ」

「賞金稼ぎってのは不思議よね、10人中8人か9人は正面から堂々と来るのよ。
 そんで扉が開けられないと門を壊してでも入ろうとする。
 迷惑よねー壊せるわけないってのにさあ」

「そこで庭の方にわざわざカギ付きの扉を儲けたんですよ。
 侵入者は無抵抗のあたしからカギを奪い、ミケに食い殺されるって寸法だ」

「(わざわざカギ付きの……)そうか」

「お察しの通りあたしゃ守衛じゃない。ミケの後片付けをする掃除夫ですよ」

「そして本当の門には鍵はかかっていない!」

「その通り」

「何?!」


クラピカのその言葉を聴いたレオリオは守衛室から飛び出し門の前へと走った。
は煙草を灰皿に押し付けるとゆっくり立ち上がり、やれやれといった表情で門へと向かう。
レオリオが扉を必死で押し開けようとしていたが、当然扉はびくともしない。
最終的には力が足りないと言ったゼブロに対してキレた。

「はー…だから力が足りないだけだって。ね?ゼブロさん」

「そうですよ……まぁごらんなさい。
 この門の正式名称は“試しの門”。
 この門さえ開けられないような輩はゾルディック家に入る資格なしって事です」


ゼブロは精神集中すると、扉を開けてみせた。
3人は驚いたような顔でゼブロを見るが、は平然とした顔でそれを見ている。
ゼブロが手を離せば扉はすぐさま重い音を立てて閉まった。


「ごらんの通り扉は自動的に閉まるから、開いたらすぐ中に入る事だね。
 年々これがしんどくなってきてねェ。でも開けられなくなったらクビだから必死ですよ」

「“試しの門を開けて入って来た物は攻撃するな”。
 ミケはそう命令されてもいるんだってさ。1の扉は片方2トンあんのよ、これ」

「2ト……そんなもん動かせねぇぞ普通…って…1の扉は…だと?」


レオリオは何か引っかかった様子で冷や汗を流しながらゼブロに聞く。
ゼブロは予想してましたとばかり、平然とした声で返した。


「ごらんなさい、7まで扉があるでしょう?」

「ああ」

「1つ数が増えるごとに重さが倍になってんの」

「倍?!」

「力を入れればその力に応じて大きい扉が開く仕組みです。
 …ちなみにキルア坊ちゃんが帰ってきたときには3の扉まで開きましたよ」

「3…って事は…12トン!」

「……16トンだよ、ゴン」


素でボケたゴンには思わず笑いを零し、クラピカは呆れた顔で突っ込みを入れた。
レオリオは相変わらずが気に入らない様子で訝しげな視線を##NAME1##に投げる。


「何?」

「あんたは?あんたもここから入ったんだろ」

「あぁ、そりゃ当然よ。何、開けられるわけ無いとでも?」

「……その細腕じゃぁな」


はん、と笑うレオリオに怒髪点を突かれたは腕まくりをして扉に向かった。
後ろでゼブロが心配そうにおろおろとしているが、そんなものの目には入らない。


「1の扉も開けられないヤツにバカにされたくないね……見てろ、っ!」


が思いっきり扉を押すと、7の扉までが軽々と開いた。
3人はそれを見て絶句し、冷や汗を流す。


「…キルアに会いたけりゃここ開けて入って来なさいよ、根性ナシ」


ゴォォン、と凄まじい轟音を立てて扉が閉まり、は扉の内側へと姿を消した。


「……やっぱゴリラだ、あの女」


と、そんなレオリオの悔し紛れの呟きはミケの毛皮に埋もれる事に夢中なは気付かないままだった。









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あれこれと試行錯誤しているうちになんかとんでもない時間経ってるし(死
この後どうしようか迷ってます。
天空闘技場に行かせるか否かで。