「団長!マチがオレのパソコン持ってった!」
「の身の回りの物を揃えるように言っておいたからな。大方電脳ページで買い物でもするんだろう」
「あのさ、オレ仕事できないんだよ?」
「それなら取り返してきたらどうだ?マチの腕力に勝てる自信があればの話だが」
「う……」
マチの腕力には勝てそうもない、パクノダもいるのだから怒らせたら後が怖い、と悟ったシャルナークはいじけ気味に携帯をいじり始めた。
そんなシャルナークを見て、クロロは楽しそうにくっくと笑った。
「えーと…通販サイトでいいのかしら?」
「そうだね。一番大きなとこで」
「……これ、文字ですか?」
「そうよ。大丈夫、読めなくても写真見て決めればいいわ」
のベッドにパソコンを置き、パクノダがパソコンを起動した。
は画面に現れた見た事もない文字に、自分は本当に異世界に来てしまったんだろうか、と冷や汗を流した。
「…沢山あるわね……」
「、どんな服が好き?」
「どんな……普通の、カジュアルなのが好きです」
「パンツとスカートなら?」
「スカート、かな…あんまり短いのは嫌いですけど」
「靴は?」
「普通のパンプスとブーツ、かな…底が高いのは苦手です」
そんな受け答えをしながら、3人は服を選び始めた。
電脳ページ最大級、と銘打ったサイトだけあって品揃えは充実していて、春物もあれば冬物もある。
着まわしが出来る様に選んだ服は全部で20着。どれもカジュアルで、淡いパステルカラーの物だ。
それから、服に合わせたパンプスとブーツを3足づつ。
下着も上下セットの物を10組程選び、とりあえずの買い物は終了した。
「…届け先、どうする?流石にここはまずいわよね」
「…あたしの隠れ家でいいよ。日時指定なら取りに戻れるし」
「そう?じゃあそうしておくわね」
最大の問題だった届け先は、マチの隠れ家という事で決定(最初はクロロの隠れ家にしようと考えていたのだが)
代金の引き落とし先は、きっちりとクロロの口座にしておいた。
クロロが連れてきたのだから、クロロが支払うのが当然、というのがマチの主張。
当然といえば当然である。
「どうだ?買い物は済んだか?」
「あ、団長。受け取り先をあたしの隠れ家にしたから、パクが残ってあたしは一回戻るわ」
「そうか。」
「また3日後に来るよ」
「あぁ」
注文を終えたところでクロロが部屋に入ってきた。
マチは荷物を受け取りに隠れ家に戻る旨を告げると、パクノダとにもまたね、と挨拶してアジトを出た。
「さて…用事が済んだならシャルナークに返してやれ。無理矢理持って行かれたと怒っているぞ」
「あら…それじゃあ返さないとね。次の仕事に支障が出たら困るもの」
「あぁ、そうしてやってくれ」
パクノダは苦笑い交じりにパソコンの電源を切ると、一式を持って部屋を出た。
は悪い事したかな、と少しばかり気に病んだが、気にするなとクロロが言うので苦笑いを浮かべて頷いた。
「…あの、クロロさん」
「何だ?」
「パクノダさんの…その、記憶を読んだ、っていうのは…」
「気になるか?」
「そりゃ…気にならないって言ったら嘘になります」
「そうか」
クロロは顎に手を当て何かを考え込んでいるようだった。
は何かまずい事でも聞いたのだろうかと一瞬後悔したが、クロロの表情は何かを隠していると言うよりは言葉を選んでいると言った方がいいような、漠然とではあったがそんな表情だった。
「本当は怪我が治ってからと思っていたんだが」
「はぁ」
「あれは超能力ではない。まぁ、から見ればそうかもしれないが…あれは念能力というヤツでな」
「…ねんのうりょく?」
「そうだ。オレもマチもシャルも…オレの仲間は皆使える」
「パクノダさんみたいに記憶を読めるんですか?」
「いや、違う」
クロロは足元にあった石を拾い上げると、壁に念能力の六性図を書き始めた。
はクロロが描く六角形を不思議そうに見つめている。
「念能力というのは大まかに分類して6つに分けられる。単純に身体を強化する強化系、オーラ…つまり念の性質を電気や糸に変える変化系、念を弾丸や人型に変えて放出する放出系、」
六性図に書き込みながらクロロは説明を続ける。
は混乱しながらも自分なりに解釈をしているようで、時折頷きながらクロロの言葉に耳を傾けていた。
「対象に念を込めて操作する操作系、自分が思い描く物へオーラの形を変える具現化系、そして他系統から突然変異する特質系。この6つが大まかに分類した念の系統だ。パクノダは特質系の念能力者で、記憶を読む事が出来る」
「…その6つの系統によってその人の能力が決まる、って言う事ですか?」
「そうだ」
マチは変化系、シャルは操作系、オレは特質系。
クロロはそう付け足してを見た。
は六性図を眺めながら自分なりに考えをめぐらせているようで、そんなを見たクロロは口元を上げるだけの微かな笑みを浮かべた。
「…その系統って…どうやって決まるんですか?」
「先天的な物だから基本的には生まれた時に決まっている。稀に特質系に変異する事もあるが」
「…そうなんですか」
「あぁ。…今言えるのはこれぐらいだな」
「有難う御座います。疑問がひとつ消えました」
「そうか」
は笑ってそう言うと、壁に書かれた六性図に見入っていた。
今は興味を持っただけでよしとしよう。
クロロはそうひとりごちると本を開いた。
(地に落ちたスピカ)