「………フェイタン」



照明を落とした部屋を月の明かりが鈍く照らしている。
は3日程前に仕事へ行ったフェイタンの帰りを待っていた。

蜘蛛での仕事を終えて帰る部屋

行く場所がないなら、とフェイタンの自宅へ誘われるまま居ついてしまった。
そういえばあれからもう2ヶ月が経つ。
一応は世間一般でいう『恋人同士』という関係にはあったものの
フェイタンは色恋沙汰にはある意味でとても疎かったし、も無理に進展させようとはしなかった。
……まぁ、俗に言うキス止まりの関係のまま、2ヶ月をすごしていた。

お互い仕事ですれ違う事が多かったのも原因かもしれないが。

は蜘蛛としての仕事の傍ら、よろず屋を営むようになった。
それは何もせずにフェイタンの家に居候させてもらうのは申し訳ないからという心遣いからだった。
よろず屋を開設したのは確か半年ほど前。
最初こそ苦労したものだが、元々の几帳面な性格が幸いしてか、依頼は段々と増えていった。

完璧な仕事振りの割りには、破格の値段(例えば暗殺一件につき1000万等)。
元々が札束とは無縁と言って差し支えない生き方をしていただからこその値段ではあるが。

『よろず屋・カシス』の名が裏社会に浸透するまでにそう時間はかからなかった。



「流石に3日も一人だと飽きるよなぁ…」



盛大な溜息と共に、暗い部屋に紫煙が舞った。
はベッドに横たわったまま、薄暗い天井を見上げている。



「いつごろ帰ってくるんだろ?」



よろず屋・カシスに来る依頼は多々あったが、は自分の気に入った依頼しか受けないようにしていた。
だから、血生臭い戦場を好んでよく仕事へ出るフェイタンとは違い、家にいる事が多かった。
確かに血の匂いは嫌いではないが、フェイタンが仕事へ出ている時は仕事を入れないようにした。

敵に雇われたフェイタンと対峙する事があるかもしれないのだから。

それはフェイタンも同じで、どちらかが仕事で家を空ける時には仕事入れない、という暗黙のルールを作った。
依頼内容を他人に漏らす事は、信用を無くして仕事を続けられなくなる事を意味する。
それは例え恋人であっても同じ事なので、依頼された内容は伝えられなかったからだ。

それでも、マチやシズクやパクノダがヒマをしている時には、土産を片手に訪ねてくれたりもしたので
いくらか寂しさを感じずに済んでいたのだから、それはそれで助かっていた。



「パク達も仕事だって言ってたしなー…あぁ、ヒマ。」



それにしても、たった一人で過ごす3日がこんなにヒマだとは思わなかった。
はそれならホームへでも行ってればよかったな、と後悔した。
で、今はクロロと仕事中だ。

あぁ、本当になんてタイミングで仕事を入れてくるんだフェイタンは。

そう毒づいて、読みかけの本を開いた。














***














「…なんだ、まだ起きてたか」


キィ、と扉が小さく軋んで、月明かりが影を映す。
それは待ち望んだ恋人の物で、愛しい声は柔らかく耳に響いた。


「おかえり、フェイタン」


錆びた鉄の様な匂いがした。
フェイタンまた派手に暴れたなー、あれ落ちるかな?
なんて事を思いながら、はまた本へ視線を戻した。

しばらくすると、水音が聞こえてきた。

あぁ、そっか。返り血落としてんだ。

じゃあタオルと着替えだな、とは本を閉じ、クローゼットへ向かった。



「フェイタン、着替え置いとくね」

「あぁ」



しかし、何処かぎこちないような気がする。
いつもならば帰ってくる時には殺気じみた気配は消して帰ってくるはずなのに。
扉一枚隔てた彼から感じられる気配は、針の様に鋭かった。

……仕事の後そのまま帰って来たから気が立ってんのかな。

はそう自己完結すると、またベッドにうつぶせになり本を読み始めた。























***






















「…

「ん?あぁフェイタン、お疲れ様」


洗いざらしの髪はそのままで、上半身裸のフェイタンがベッドに腰を下ろした。
ぽたぽたと垂れる雫は彼の膝を濡らし、淡い灰色の生地に染みが幾つも描かれた。

は本を閉じて、フェイタンの隣に座りなおした。


「………フェイタン、風邪引くよ?髪乾かさないと」

「別に……いいね…それより」


フェイタンの手が、の手首を捉える。
次の瞬間、の視界に写ったのは、自分を見下ろすフェイタンと、天井。
両の手首は、フェイタンに抑え付けられている。解く事は、出来なかった。


「フェイ…タン……?」


とてもう子供ではないから、これから何をされるかという漠然とした予想はついている。
ただ余りにも唐突すぎる彼の行動に驚き、弱弱しい声でフェイタンを呼ぶ事しか出来なかった。


…オマエはワタシを好きか…?」

「…好き、だよ……?」


「……そうか」


何時もの、口角を吊り上げ目を細める、その挑発的な笑みに見惚れる。
彼のこの笑顔が好きだ。は胸が甘く締め付けられるのを感じた。

笑顔だけではない、その髪も肌も瞳も魂も、何もかもを愛している。
フェイタンという男の全てを、狂おしい程、愛してしまった。


「なぁ……抱かせてくれないか?
 2ヶ月も待たされて…ワタシはそろそろ限界なんだ」


耳許でダイレクトに告げられたその言葉に、の頬は一気に紅潮する。
そんなを見て、フェイタンはふっと小さく笑い声を漏らした。


「いい加減…殺しで欲求を抑えるのも限界ね。
 今日がそのいい例よ……ワタシとしたことが、返り血なんて浴びてしまた。」


「…嫌、じゃ…ないよ…?」


「……ならもう…遠慮はなしね。やめて言うても、止まらないぞ?」


フェイタンの細い指が顎を伝う。
頬を、首を、鎖骨を。
フェイタンの細い指が段々と侵食していった。
はそのフェイタンの行動に、目を細めて小さく微笑んだ。


「……フェイ、タン……」

……」


つぅ、っとフェイタンの舌がの首筋に走る。
電流にも似たその刺激に、は体を跳ねさせた。


「ッひぁ!」

「あぁ…その声……もと聞かせて…」


服の隙間から、フェイタンの手が肌に触れる。
ゆるゆると胸に向かって走らされる刺激に、は甘い声を漏らす。
フェイタンの耳はそれをしっかりと拾い、もっと甘い嬌声を、と男の本能が騒ぐのを感じた。


「ッフェイ……ッくぁ…ッや、ぁ…ッ」

「その声が聞きたかたね……とてもイイ声…」


ぷつ、と下着のホックを外された。

片手で外せるなんて、随分女慣れしてるんだな。

は他人事の様に、そう思った。
初めてでないのはも同じだったが、それは別問題としてやはり何処か寂しい思いがある。

私のほかにも…彼の体温を知っているひとがいる

そう考えると、やはり少しだけ心が痛んだ。


「……ッあぁっ」

「……」


そんなの思考を切断するように与えられた刺激。
フェイタンの指が、の胸の突起を撫でた。
其処はもう固く、その存在を主張していた。


「ッや…ぁ……ッ」

「…もうこんなになてるよ?」


あっけなく脱がされたシャツがぱさりと音を立てて床に落ちる。
は熱の篭った瞳でフェイタンを見つめ、視線が噛み合うとその視線を窓の外へ投げた。


「ワタシを見ろよ…余所見なんかしてないで…」

「って…恥ず、かし…ッぅあぁっ!」


ぴちゃり、と小さな水音が響く。
口に含んだ突起はそのままに、もう片方の突起を指の腹で撫で上げた。
その愛撫に応える様に、の口からは嬌声が漏れ、その体は大きく跳ねた。


「ワタシしか見てない…なぁ、頼むからワタシを見てくれよ…」

「ッフェイ、タ……ッんゃぁっ!!!」


フェイタンの指がの腹を撫でる。
ゆるゆると蠢くその感触に、は体を捻り、甘い声を紡いだ。
フェイタンはそのの声に段々と自身が昂ぶっていくのを感じ、胸を撫で上げる手に少しだけ力を込めた。


「……随分と感度がいいんだな……」

「ッって……ず、っと…待っ…ああぁっ」

「ずと…?あぁ、もワタシと同じ気持ちだたか……」


ずっと待っていた、という途切れ途切れの声を拾い、フェイタンは嬉しそうに笑みを浮かべた。
そうしてのジーンズのファスナーを下ろすと、其処へ手を差し入れた。


「ハハ…もうこんななてるよ…?」

「ッぅぁんっ!!!や…フェイッ!!」


フェイタンの指がの下着をつぅ、っとなぞる。
其処はもう充分に濡れ、フェイタンの指を難なく飲み込んだ。
はフェイタンの背へと手を回し、その背に思い切り抱きついた。
フェイタンはそんなに思わず小さな笑みを漏らした。
攪拌する指を1本、また1本と増やし、バラバラに動かせばは体を大きく跳ねさせる。


「い、やあぁぁぁぁあッ!!!!フェイ…ッフェイぃ…ッ!!!!」

「もと呼んで…のその声、すごく可愛い……」


ナカを犯す指はそのままに、空いた手でゆっくりとのジーンズを脱がしていく。
バサリと音を立てて、ジーンズは下着と一緒に床に落ちた。


「あぁ…のナカは暖かいな…?」

「ッフェイ…そ、な…ッ掻き混ぜな…ッくあぁあぁっ!!!」

「此処か…」


ある一点を抉った時、の体が一際大きく跳ねたのをフェイタンは見逃さなかった。
本能的に引かれたの腰を掴み、逃げられない様にして執拗に其処だけを責めたてていく。
ぐちゃぐちゃという淫らな水音が、まるで拡声器を通した様にの耳を犯していった。


「ッそこ、やだぁぁあッ!!!」

「嫌か?こちは嫌言てないね…もと感じて」

「や…ッあぁぁああぁあッ!!!!フェイっおねが…っもう…ッ!!!!」

「あぁ…イクか?いいよ、イても……」


の限界が近い事を悟ったフェイタンはその指の動きを更に激しくしていく。
はただ与えられる快楽に、狂ったように嬌声を上げていた。


「フェイタ…ッや…ッあぁぁあぁっ!!!!」


が達した事を内壁の激しい締め付けで感じたフェイタンは、ゆっくりと指を引き抜く。
銀糸が名残惜しそうにフェイタンの指に絡み付いていた。


「…………」


ぐったりと胸に凭れるを見つめながら、愛液に塗れた指をぴちゃりと音を立てて舐める。
はそのフェイタンの行動に更に頬を紅潮させ、顔を逸らした。


「…何故顔逸らすか…?ほら、の所為でワタシの指こんなよ。」

「……ッ」


の顎を優しく引き寄せ、視線を合わせてにその指を見せる。
は羞恥に声を詰まらせ、視線だけをフェイタンから外した。
その視線も、すぐにフェイタンのキスによって戻され、はゆっくりと瞳を閉じた。


「ん…ぅ…ッ」

……綺麗にして」


何を?と目を開けたの目前には、先ほどまで蜜壷を攪拌していたフェイタンの指。
思わずフェイタンを見上げるが、フェイタンは有無を言わさぬ表情でを見つめるだけだった。
はおずおずと、躊躇いがちにその指に舌を這わせた。


「……ん…く…ふぁ…っ」

「…ッそう……」

「はぁ…っん…ぅ……っ」


ぴちゃぴちゃと小さく音を鳴らして、の舌がフェイタンの指を舐めあげていく。
その表情は熱に浮かされ、快楽に溺れ、理性を手放した雌の顔だった。
フェイタンはそんなの表情に、自身がまた昂ぶっていくのを感じた。


「…フェイ…も…気持ち良く…したげる……」

「…っ?」


熱に浮かされた瞳はそのままに、はフェイタンの下着に手を掛ける。
フェイタンは思いも寄らなかったの行動に一瞬狼狽したものの、悪くないと思いに身を任せた。
腰を浮かしてやれば、の手で脱がされる下着。
は既に硬く天を仰ぐフェイタンのそれに、手を伸ばす。


「……おっきぃ……」


誰に言うでもなく呟いて、ゆっくりとその手を上下させていく。
その動きに合わせて脳髄を駆けていく刺激。
フェイタンは大きく、熱の篭った吐息を吐いた。


「………ッ」

「フェイタン……」


一度だけ小さくフェイタンの名を呼び、先端を口に含む。
そのまま舌で刺激を与えていけば、不意に感じる苦味。
その味覚に一瞬顔を顰めたものの、はやんわりと微笑み、今度は裏筋をゆっくりと舐め上げて行った。


「……ッ」

「ん……ねぇ、気持ちいい……?」

「っあぁ…良い……最高よ……」

「そ、っか……よかった」


手で扱きながら、亀頭を指の腹で擦りながら尿道を少し抉って
その手の動きに合わせて、双袋を口に含み舌先で転がして。

フェイタンはの軟らかい髪に手を通しながら、与えられる快楽に溺れかけていた。
の紅く綺麗な髪はするりとフェイタンの指を通り抜け、ぱさりと背を撫で落ちる。
その髪をまた救い上げ、フェイタンはふっと口角を吊り上げた。


「…こんな事…何処で覚えたか…?」

「……内緒、だよ……」


くすくすと意地悪く、小悪魔じみた笑みを浮かべてフェイタンを見上げる
このまま一度達するのも悪くないと思ったが、フェイタンはの肩を掴み、ゆっくりと引き離した。


「…?フェイ……?」

のナカでイきたい…」


言いながら、をゆっくりと、優しくベッドに押し倒す。
は軟らかい笑みを浮かべ、フェイタンの首に手を回した。
フェイタンはそのの表情に満足そうに口角を吊り上げると、深いキスを落とした。


「挿れるよ……」

「ん…うぁあぁッ!!!!」


充分に攪拌された其処は、難なくフェイタンを飲み込んだ。
柔らかく、融けてしまいそうな程の熱に、フェイタンは小さく息を詰まらせた。


「…っは………」

「…っん…フェイ、動いて……?」


律動を始めれば、まるで意思を持ったように絡み付いてくるの其処。
ゆっくりと、の感じる所を探るように、様々な場所を突いていく。
その度にの琥珀色の瞳が色情に揺れ、生理的な涙が瞳を濡らした。


「…ッあ…ッはぁっ!フェイ…フェイぃ…ッ!」

「あぁ……のナカ、凄く熱くて…融けそうよ…」

「ん…ッくぁぅっ!ひゃあっぁああぁぁあっ!!!」


突き上げる動きに応えるように上がる甘い嬌声。
背に回されたの手が、フェイタンの白い肌に爪痕を残す。
その痛みすら、快感に変わってフェイタンの脳髄を駆けていった。
もう理性はとうに切れていた。


…ッ…!!」

「フェイ…ッや…ッ激し…ッひゃぁあぁぁっ!!!」


繋がった其処からは水音が漏れ、からは甘い嬌声が漏れる。
月明かりに浮かぶの肢体に、フェイタンは一層激しく腰を打ちつけた。


「や…ッも、ダメぇ…ッイっちゃ…うぅ…ッ!!!」

「あぁ……ワタシも……」

「一緒…に…ッフェイタン…ッ!!!」

「……あぁ、……ッ」


込み上げてくる射精感に、フェイタンは眉を顰める。
も限界が近いようで、またフェイタンの背に爪痕を刻んだ。


「……ッあぁぁあぁぁあっ!!!!」

「く…ッ!」


最奥を抉り、何度かに分けて白濁を吐き出し、フェイタンは優しくを抱き締めた。
は力なくフェイタンの背を抱き、耳許で囁かれたフェイタンの声に微笑んだ。




























***






























「……なぁ

「…んー……?」


裸のまま、ベッドに横になっているとフェイタン。
はうつぶせになったまま、ゆっくりと煙草を吸っていた。


は初めてじゃなかたんだな」

「う………あー…うん。」

「……口惜しいな」

「何が?」


のあの声とあの顔、知てるヤツがワタシ以外にいると思うと殺したい程ムカつくね」


「フェイタン……」


その言葉には思わず目を見開いた。
けれどもすぐに微笑み、煙草を灰皿に押し付けてフェイタンに抱きついた。


?」

「でもね、私が今愛してるのはフェイタンだからね」

「………あぁ、判てるよ」

「顔、まっか。照れてる?」


くすくすと笑うを、フェイタンは軽く小突いた。
は痛、と声を漏らし、一層強くフェイタンに抱きついた。

















死が二人をわかつまで。


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……なんか……久しぶりに裏書いたら3日かかった…(汗

表現はそこまで生々しくないけど…長い…orz
最後の方なんて力尽きてたもんな

フェイタンは早漏じゃなくて、単に私の気力がなかっただけという(お前最悪だ
ほんとはもっと書きたかったんだけど余りに長すぎると重くなるから割愛。



リベンジするんで許してくださいorz



で、この後に「君を離さない」を読むと軽く続編気分になれます(しらん





2006/11/24 テトラ