Like a SunFlower





「ねぇ兄さん、そろそろ姉さんの誕生日なんだよね」
「だから何だ何でお前はオレの所にそんな相談を持ちかけるんだっていうか帰れ」

相変わらず兄さんは僕に冷たい(姉さんにはあんなに優しいのに)。姉さんの誕生日が近いから、いつも世話になりっぱなしな僕は姉さんに何か贈り物をしようと思い立った。でも僕は姉さんの好みとかそういうのをまだ完全には理解しきれていないから、不本意ながら姉さんと数年の付き合いがある兄さんの所に相談に来てみたらこの扱いだ。いい加減、僕に敵意がないって事を判って欲しい。

「まぁまぁクラウド、そう邪険にしないの」
「ティファ、こいつがした事忘れたのか?」
「だって今はの為だけにこの世界にいるんでしょ?ならいいじゃない、現にカダージュはの言いつけをちゃんと守ってるんだし」
「そうだよ兄さん、何度も言うけど僕はもうリユニオンとかどうでもいいんだよ」
「……」

兄さんよりもティファに相談するべきだったかな、と思ったけど兄さんに切り出してしまった以上仕方がない。兄さんはため息を着いて僕を睨んだ。(何もしないって何度も言ってるのに、信用ないな、僕)

「ティファは何がいいと思う?」
「そうね…、貴金属とかそういうのに興味ないし…」
「社長から貰う度に換金しちゃってるしね」
「そうよね…あ、花とかどう?」
姉さん、サボテンすら枯らす人だよ」
「そ、そうだったわね……じゃあケーキとかは?」
「昨日ホールで食べてた」
「……太ったとか言ってたのに…うーん……」

やっぱり姉さんは普通の女の人と少しズレてるらしい(兄さんと同じくらい付き合いの長いティファが物凄く悩んでるんだからそうなんだろう)どうしようかな、と考え込んでいたら、少し離れたところで本を読んでいたマリンが僕の服の裾をくいくいと引っ張ったので、どうしたのかと思えばマリンは僕に今まで読んでいた本を差し出した。

「…?」
「花言葉の本だよ。おねえちゃん、こういうのあんまり知らないと思うから、きっとびっくりすると思う」
「へぇ、花にも意味なんてあるんだ」
「そうだよ。おねえちゃん、お花好きだから、いいと思う」
「マリン、姉さんはサボテンすら枯らす人なんだよ」
「切花なら、お水取り替えるだけだもの、カダージュでもお世話できるよ」

僕がするのか。そう思ったけど姉さんのあの性格じゃきっと僕がやるハメになるんだろうな。単純に花言葉っていうのが結構面白かったから、僕はしばらく本に熱中してた(兄さんとティファとマリンが姉さんへの贈り物を何にするか話し合っていた気がするけど本に熱中してた所為であんまり覚えていない)

「……!マリン、ありがとう。」
「?うん、どこいくの?」
「買い物だよ。いいプレゼント思いついたんだ」

姉さんのイメージにぴったりで、僕の想いにもぴったりな花をみつけた。かといってミッドガルじゃ手に入らないだろうから、前に姉さんに連れて行ってもらったカームの街まで足を伸ばす事にした。(兄さんの単車を勝手に借りた。運転しにくかったけどこの際仕方ない)カームの街には、花屋があったはずだから。




「いらっしゃい、何をお探し?」
「ヒマワリ、って花、ある?」
「向日葵ね、ありますよ。1本10ギルね」
「24本くれる?」
「はいよ。…贈り物かい?」
姉さんの誕生日なんだ」

カームの花屋は前に来た時より少しだけ大きくなっていた。店先にも店内にも、色んな花がずらりと並んでいたから、僕は目当ての花、ヒマワリが何処にあるのかさっぱり判らなかった。この店の店員だろう女の人に聞いてみたらその人は店の奥からヒマワリが沢山入ったバケツを持ってきて、僕の目の前に置いた。……やっぱり、この花は姉さんのイメージにぴったりだと思った。

「そうかい。お姉さん思いのいい弟だね。少しオマケしておいてあげようかね」
「ありがとう」

姉さんの誕生日まではまだ少し日があるから、姉さんの誕生日に届く様にしてもらった(それに単車で持って帰ったら、姉さんが摘んだ花みたいに全部散ってしまうだろうから)。喜んでくれるかな、と少しばかり期待しながら、僕は夕暮れのカームの街を後にした(姉さんに今から帰るって連絡しようと思って携帯を見たら兄さんからの着信だらけだった。単車を無断で借りたくらいで此処まで怒らなくてもいいのにと思った。面倒臭いので無視を決め込んで僕は単車をエッジの街まで走らせた)



姉さんの喜ぶ顔が見たいんだ)



ピンポーン、

「あれ、お客さん?」
「(…そういえば今日届くはずだっけ)」

それから少し後の姉さんの誕生日、姉さんが休みを取ってくれたので姉さんが撮り溜めしておいた映画(1日中映画ばっかり流しているチャンネルがあるらしいけど僕は知らない。エイセイホウソウとかいうヤツらしい)を見てたらチャイムが鳴った。きっとカームの花屋だろうなと思ったらその考えは見事的中、姉さんは玄関先で嬉しそうに小さな悲鳴を上げていた。

「カッカダージュ、これ、」
「うん、僕から姉さんに誕生日プレゼント」
「いつ、の間に…っていうか、何故にヒマワリ……?」
姉さん本当に女の子らしい事に疎いんだね。ヒマワリの花言葉知らないの?」
「え、知らな…ってかカダージュなんでそんな事知ってんの」
「マリンが教えてくれたんだ。姉さんにぴったりだと思ったから」
「……っどーしよ、すごく嬉し、い…っ」

姉さんはヒマワリの花束を抱えたまま笑いながら泣いていた。泣かないで、そう言って涙を拭ってあげたら姉さんはすんすんと鼻を鳴らして、ヒマワリの花束に顔を埋めた。

「『僕の目は貴女だけを見つめる』」
「……え?」
「ヒマワリの花言葉。」
「……う、うん?」
「僕はずっと姉さんの傍で姉さんの事を見てるからね」
「………うん」

僕がそう言ったら、姉さんは顔を真っ赤にして、また花束に顔を埋めた。この後、社長から莫迦みたいに大きなティディベアとかいうクマのぬいぐるみ(姉さんが言うにはどこだかの会社の限定品で物凄く高いらしい)やら、レノからワイン(これまた結構高価な酒らしいけど僕は呑めないから判らない)やら、兄さんとティファとマリンから大きなケーキが届いたり、昔の仲間から沢山の贈り物が届いたりしたけど、姉さんはずっと、僕があげたヒマワリの花束を眺めて嬉しそうに笑っていた。














(ずっとずっと、ぼくのこのいのちがきえてなくなるまで)