「政宗さん、相談あるんですけどいいですか」

喜多と道場に行ったはずのは一刻もしない内に戻ってきた。胴着のまま、薙刀を片手に。何事かと思えば相談があると言う。それならまずその武器をどうにかしてから来いよと思ったが喜多の手前言えなかった。

「What?」
「武器をですね、作っていただきたいんです。薙刀じゃ重くて」
「HA-n?武器ねぇ。どんな?」
「扇です」
「扇ィ?」

武器を作れ。それはまだいい。の細腕じゃ薙刀すら重くて無理だろうとは予想していた事だからだ。が、問題はその形だ。扇、扇…扇子……Shit!あの今川のバカ殿が浮かんできやがった!

「私日本舞踊の心得が少しだけあるんです。使い慣れた扇なら、扱いやすいかなぁと」
「……What?舞踊?お前が?」
「何ですかそのありえねぇって目はやめて下さいよ確かにガラじゃないですけど」

ぶぅ、と頬を膨らませて露骨に拗ねてみせる。やっぱガキだ。が、こいつが踊る姿を見てみてぇと思った。単純に興味本位だ。普段あんだけバカで元気なが、舞う時にどういう顔を見せるのか。

「Sorry,Sorry…意外だっただけだ、別にありえねぇとか思ってねぇよ」
「そうですか…?なんか疑わしいですけど」
「…で、扇だったか?あれか、仕込刀か?」
「や、違くて…扇自体が刃だったらいいかなぁとかそういう…ね?」

ね?って何だ、ね?って。首かしげながら言うんじゃねぇ。

「……舞踊の心得があるってんならやりやすいかもな」
「!」
「そうだな……Okay。誂えてやる」
「…っ有難う政宗さん!」
「そん代わり、俺に踊り見せてみろ。Give and takeだ。Okay?」
「う……わ、判りましたよ見れたもんじゃないと思いますけど判りましたよ…!」



(きっとこいつが踊る姿はきれいだろうと思ったんだ。凛として咲く華のように。)



「……なんですかここっていうかどこですかここどういう仕組みで何がどーなって私達はこんなところにいるんですか政宗さ「とりあえず落ち着け」

まぁそんなこんなで武器を誂えてもらえる事になった訳なんだけども、ここって一体どんな場所な訳?そもそも、どういう仕組みで今私は此処に立ってる訳?政宗さんの目の前に…なんていうのか、RPGによく出てくるステータスウィンドウみたいのが出てきたと思ったら一瞬でこんなとこに……何で?

「仕組みは俺もよくは知らねぇ。行きたいと思えば来れるしな」
「……はぁ……」

人が炎出したり雷出したりできる世界だから何でもありだ深く考えたら負けよ。…と言う訳で気にしない事にして(私自身トリップしちゃった訳だし)店の中を見回してみる。見た目はまぁ…なんていうか雑貨屋?あ、違う、よろずや?みたいな感じだけど並んでる品に統一性がない。その上レストランが隣接してる。何なんだバサラ屋。

「………政宗さんほんとにここ何なんですか?」
「AH-……バサラ屋」
「すいません意味わかりませんその答え」

「おや、いらっしゃい……と、そこのお嬢さんはハジメマシテだね」

店の奥の暖簾から店主らしき人が顔を出す…男か女かわからない。何なんだバサラ屋。

「こいつに武器を誂えてやってくれ」
「お嬢さんに?ふむ……」

店主さんがまじまじと私を見ては頷く。何なんだバサラ屋。これ言うのも何度目だ。

「あ、の…?」
「才がない訳でもなさそうだ。いいよ、誂えてあげよう。どんなものがお好みかな?」
「えっとですね、扇、がいいかなぁと」
「扇、ね…」
「力ないんで、出来ればそこそこ小さくて軽いやつが…」
「ふむ……判ったよ、小型で両手に持つようなものを誂えてあげよう。」

店主さんは何かメモを取りながらそう言ってにっこりと笑った。

「有難う御座います……って、何してんですか政宗さん」
「AH?せっかく来たんだ、なんか買って帰ろうかと思ってな」
「はぁ……」

なんか嫌な予感するなあ、政宗さん楽しそうな顔してるなあ笑顔が真っ黒だよ……、と思いはしたが言えないので(げんこつ落とされるのは目に見えてるし手加減ないから普通に痛いし)見ないフリ聞かないフリをした。帰ったら小十郎さんとこに逃げよう、と決めた事は政宗さんには言わないでおく(政宗さんは何かを買ったみたいだけど私にはそれが何なのかさっぱり判らなかった。いやな予感がするのだけは間違いないけども)

「…政宗さん私おなか空いたんでうど「駄目だ」まだ全部言ってませんけど?!」
「駄目だっつったら駄目だ。帰るぞ
「だってだし汁の美味しそうな匂いが私を呼んで「気のせいだ。メシなら帰ったら作ってやっから此処では食うな」「えぇええうどん!うーどーんー!「黙らねぇと殴んぞ」……スイマセンゴメンナサイナグラナイデ」

政宗さんはどうしてもここのうどんを私に食べさせたくないらしい。もしかしたらとんでもなく美味しいから食べさせてやるもんかっていう意地悪なのかなこれは!とにかく私は着物の襟首をつかまれたまま(女の子にする扱いじゃないと思うんだこれって)ずるずると引きずられてバサラ屋を後にした。



(バサラ屋のメシなんかに食わせた日にゃ大変な事になる。食わせてたまるか!)



「………で、何でここにいるんだ」
「や、あのですね小十郎さん、話すと長くなりましてですね…」
「まぁいいが…何かあったのか?」

「政宗さんとバサラ屋とか言う所に武器を誂えてもらいに行きました。そんで、政宗さんは何か買ってました。おなかが空いたのでうどんが食べたいって言ったら全力で拒否された挙句殴るぞって脅されて襟首つかまれてずるずる引きずられて帰ってきました。政宗さんが買ったヤツにとてつもなく嫌な予感を感じたので小十郎さんの部屋に避難して今に至ります」

確かにバサラ屋の食事は危険だ。に食わせたらいつもの悪戯は更に度を越した物になる事は火を見るよりも明らかだ。が、だからと言ってそんな行動をされてはいけませんぞ政宗様!

「…そうか」
「そういう訳なんで暫くかくまって下さい」
「………あぁ」
「何で目ェ逸らしながら言うんですかまさかあれですか政宗さんに見つかったら差し出す気ですか小十郎さん」

すまない、俺は政宗様に仕える家臣なんだ。小十郎さんは露骨に目を逸らしてそう言った。まずったかもしれない。シゲか喜多さんのとこ行けばよかったかもしんない。政宗バカ(この際だから暴言は見逃してもらうとして)の小十郎さんとこに逃げて来たのは間違いだったかもしんない!

「大丈夫だ、死にはしない」
「慰めになってませんけどー!?」












バサラ屋にて


(気になるなああのうどん…今度こっそり食べに行こうかな?)









バサラ屋てどーいう仕組みで日本全国どこからでもいけるんですかね。
あれですかねどこでもドア的なものがあるんですかね