10:イカサマ上手














「……ちゃん?何がどうしてこうなってんの?」


翌日。腰が痛いとダダを捏ねたを置いて、ティキは一人エクソシスト探しに街へ出て行った。
はベッドの上で腰の痛みに耐えながら唸っていたが
数時間経てば腰の痛みも幾らか引いたようで、空腹感を感じ始めたは食堂へ向かった。
そこで適当に食事を取っていた所、ガラの悪い男3人に声を掛けられた。
そして始めたポーカーゲーム。男たちはイカサマを使ってをカモって手篭めにしようとしていたらしいのだが。


「あ、おかえりティッキー」

「あのさ、何なのこの状況。学ないオレにも判りやすく説明してプリーズ?」

「んー?ポーカーしてただけぇー」


そして冒頭のセリフに戻るわけである。
要するに、はイカサマゲームを仕掛けてきた男達を逆にカモっていた訳で。
の目の前、そして背後には男達から巻き上げた品物がいくつも散乱していた。
ティキが宿に入るなり賑やかな歓声の上がる食堂を覗き込めば、輪の中心にいるのは間違いなく自分の恋人。
人波を掻き分けてに声を掛ければ、は満面の笑みでカードを持っていたのだ。


「んー?だからぁ。この人たちがポーカーしようって言うからしてただけ」

「(………、お前もしかしてイカサマしてる?)」

「(うん。だってあっちもイカサマしてるし下心丸見えなんだもん)」


小声で会話しながらの前に座る男たちに目を向ければ、見事に身包み剥がされて真っ青な顔をしていた。
一方のはほくほくと満面の笑み。
ティキはの意外な一面に心底びっくりしていた。


「さておにーさん方、もう1ゲーム行きましょうか?」

「ちょ…お嬢ちゃんもうオレら賭けるモンねぇよ!」

「ん?その手にしてる時計とかさ、指輪とか?まだあるじゃない?」

「う……」

「仕掛けてきたのはそっち。最後まで付き合ってよねー」


くすくすと笑いながらカードをシャッフルする
男たちは笑顔を引き攣らせつつも、今度こそは!と意気込みカードを手にする。


「(お前イカサマなんて出来たんだ?)」

「(両親のオトモダチが色々仕込んでくれた。負けないよ〜?)」


うふふ、とカードで口元を隠しながらは笑う。
手札にスペードのキングを1枚残し、山からカードを取るフリをして袖口に隠したカードをうまく出す。
ティキは手馴れすぎているのその一挙一動に、顔を引き攣らせていた。

(こいつもしかしてオレよりイカサマうまいんじゃねぇ……?)

そんなティキの考えを知ってか知らずか、は満面の笑みでコールを宣言する。
相手の男達もなんとかイカサマをしていたようで、フルハウスやフォーカード等やはり点数の高いアガリ役。
そのうちの一人はエースのフォーカード。下卑た笑みを浮かべる男達を、は天使のような笑みで一蹴した。


「ロイヤルストレートフラッシュ、です。また私の勝ちですねー」


うふふふ、と笑いながら、テーブルにカードを投げ出す。
男達は今度こそと仕掛けた役を一蹴され、頭を抱えて叫ぶ。


「「「だぁぁぁあああぁぁああ!!!!!!」」」

「もう賭ける物ないですねぇ……じゃあ私の勝ちってことでv」


はそう言いながら席を立ち、財布や時計といった金品だけを持ってティキの袖を引く。
ティキは引き攣った笑顔のまま、に手を引かれるまま歩き出す。


「洋服と荷物はお返しします。お財布と時計と指輪は頂きますけどねv」


食堂の出口でそう言い残して、はティキと部屋へ戻っていった。
後に残された男達とギャラリーは、ただ放心しているばかりだった。














***
















「オレお前が怖ぇわ」

「え、それってちょっと傷つくよティキ。」

「何もあっこまで徹底的にやらんでも…」


部屋に戻った二人。
はテーブルに巻き上げた金品を並べ上機嫌で品定めをしている。
一方のティキはの向かいに座って溜息混じりに言った。


「…じゃあティキは私があいつらに手篭めにされても良かったの?」

「は?何それお前そんな条件飲んだ訳?」


がたん、とティキが椅子から立ち上がる。
は焦るティキにあはは、と笑った。


「だって負ける気しなかったし。」

「……そーかよ」

「うん。今までイカサマで負けた事ないもん、私。」

「……(マジで怖ェこいつ)」


少しばかり、の笑顔が怖くなったティキであった。
は相変わらず時計や指輪の品定めをしているようで、その表情はとても晴れ晴れとしていた。


「…なぁそれどうすんの?」

「んー?売る。」

「売るのか!」

「あったりまえじゃん?男物なんか持っててもしょうがないしティキ貰っても嬉しくないっしょ」

「いや、まぁそうだけど」

「長旅になるんでしょー?現金あるに越した事ないじゃん」


嬉しそうに笑いながら、は布袋に時計や指輪を仕舞った。





















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閑話休題。
ちゃんのイカサマはアに勝るとも劣らない腕前です。




2007/04/24 カルア