どんな形であれ、愛は愛。
愛の形なんて人それぞれ。そうでしょう?
灰色メランコリア 16
「さんはラビを!!!クロウリーは僕がひきつけます!」
「オッケー!」
クロウリーと交戦状態のアレンはに向かって叫ぶ。
は躊躇することなくラビが突っ込んだ城壁へと向かって走り出した。
「ラビッ!!!生きてる?!」
瓦礫に埋もれたまま動かないラビをは抱きかかえる。
呼吸と心音を確認し、安堵の溜息を吐いたはラビを再び瓦礫の上へと寝かせ、杖を構えた。
「体力消耗しちゃうけど…少しだけなら…
生々流転なす、風に宿りし癒しの精霊よ。傷つきし者に加護を与えよ……ヒール」
オレンジ色の光がの杖から放たれ、ラビの身体を包み込む。
しばらくするとラビは小さなうめき声とともに意識を取り戻した。
「う…………?」
「よかった、生きてた」
「そっか、オレクロウリーに吹っ飛ばされて……ってアレンは?!」
「アレンなら…クロウリーと戦ってる……」
「……??」
「だいじょーぶ…ちょっと…疲れただけ」
息を荒くして地面に手を突くの態度に、ラビは今更ながら自分の身体のことに気付く。
あれほど強く打ち付けられ、意識を失っていたというのに痛覚は殆どない事に。
「…っ?まさか…」
「ラビ、意識なかったから……私、大丈夫だから…アレン君助けてあげて……」
「……ッ悪い…」
「休んだら、行くから。行ってあげて」
弱弱しく笑うにラビはそれ以上何もいえなかった。
ただ槌を握り締め、瓦礫の山を越えて外へ出た。
そのまま槌を勢いよく振り上げ、クロウリーに向かって突進していく。
はラビの姿を見送ると、その場にへたり込んだ。
「………反動、でかいなぁ……」
治癒系能力は使うのを控えなければ自分が動けなくなってしまう諸刃の剣だと言う事を悟った。
***
「ぺぺっ。ナメンなよこんにゃろ!」
アレンがクロウリーに吹き飛ばされた直後、ラビは瓦礫の山から飛び出した。
クロウリーはいち早くその気配に気付き、自分に向かってくる槌を避けた。
「ちょーっとキレたさ。ブチのめしてからゆっくり話し合おうと思います!」
「………面白い」
に負担を掛けてしまった不甲斐なさを痛感したラビは怒りの混じった声でクロウリーに言う。
クロウリーは笑顔を浮かべ、たった一言呟いた。
***
一方クロウリーに飛ばされたアレンは額から流れる血を押さえながら壁を伝って廊下を歩いていた。
「う゛ーー…なんかちょっと頭強く打っちゃったなぁ……
師匠にカナヅチでやられたときも確かこんな風に星が周りをキラキラと……」
ふらふらと覚束ない足取りで歩くアレンの耳に、ラビとクロウリーが戦っている轟音が響く。
相変わらず出血は止まらないが、それでも戻らなければラビとが危ない。
「……早く戻らなきゃ」
そういいながら触れたレンガは、ズコっと音を立てて壁にめり込んだ。
次の瞬間、アレンが身体を預けていた壁が大きく左右に開き、アレンは支えを失ってその内側へと倒れこむ。
「でっ!だっ!どぇっ!」
ごろごろと転がりながら頭をぶつけ、アレンは薄暗い図書室のような場所へ入り込んでしまった。
「か、隠し扉とは…どこだ、ここ……」
更に酷くなった頭からの出血と新たに感じる痛みに頭を押さえながらアレンはゆっくりと頭を上げる。
「うう……」
その耳に届いたのは小さいけれども確かにそれはうめき声。
その先に見えたのは、アクマのシルエット。
ガゴォンと音を立てて扉が閉じた事に一瞬気を取られ、もう一度其処を見れば今まであったはずの影は消えていた。
「いない……?」
薄暗い部屋の中、アレンの背後に近づくのはエリアーデ。
足音もなく、アレンは彼女の気配に気付かないまま。
バン!
「な……っ」
背に感じた衝撃に振り返れば、凄まじい力で自分を押さえ込むエリアーデの姿。
「あら☆白い坊やじゃない。アレイスターったら仕留めろって言ったのに……
まったく、もう……」
言葉を紡ぐエリアーデの呼吸は荒く、首筋には歯型が見て取れた。
(あの傷は……!)
それはアレンの左手についた歯形と同じもので。
「まぁいいわ。あんたは私が始末したげる。
一度は味わってみたいと思ってたの。……エクソシストの、血の味v」
そう言うエリアーデの顔は狂気に満ちていた。
さっきまでとは違い、低く狂気に満ちた彼女の声はアレンの耳に届く。
「この城に入った事……後悔なさい!」
***
一方クロウリーと交戦状態のラビ。凄まじい爆音と共に土煙が舞い上がる。
「ってワケで!アクマってのは人の皮着た兵器なんさ!」
「フーン」
「よーすっにアンタはアクマの血を吸ってたってこった」
「フーン……あれ?だったら私はアクマの血の毒で死ぬだろ。信じられんなそんな話」
「ふふーん。実はどっこい、死なねェケースもあるんだなぁー」
平然と会話してはいるが、この二人相変わらず交戦中である。
は遠巻きにその様子を見ながら、あの二人すごいなぁと一人蚊帳の外でのんきな事を考えていた。
「オレが考えてるのはこうさ。
アンタはアレンと同じアクマの毒が聞かない寄生型の適合者で
無意識にアクマだけを狙っていた……。
その、硬ってぇ歯がイノセンスなんじゃねぇの?」
「………」
クロウリーはラビの言葉に首を傾げるも、反論はせずただ黙って聞いている。
ラビはピースサインをクロウリーに向けながら、更に言葉を続けた。
「アクマ狩んのが楽しいってんならオレらの仲間になればもっと狩れんぜ?
アンタ強いんで先話しとく。手加減してやれねェみたいだから……」
ラビの周りに不思議な文様が浮かぶ。
ラビは両手を広げ槌を構えて、不適な笑みを浮かべた。
「目ェ覚めたら返事頂戴さ。クロちゃん♪」
***
「どうしたの?さっきまではイキがよかったのに。
抵抗しないと、このまま胸潰しちゃうわよ?」
アレンの背を強い力でエリアーデが本棚に押し付ける。
アレンはその痛覚に、先ほど流した血が多すぎたのも相まって段々と意識を遠のかせる。
(熱い……ボーっとする……体の全部が何かに力を吸われて行くような……)
(五感が、鈍る………眠たい……)
目の前の景色、エリアーデの姿がかすんでいく。
エリアーデは無反応になったアレンを殴りつけるも、アレンはがっくりとうなだれたまま反応を返す事はない。
「やだ、無反応?それともやる気ナシ?
アレイスターに相当ダメージくらったのかしら」
(だめだ。眠るな。)
(痛みも何も感じない…感覚がマヒしてる。眠ったらそのまま殺されるぞ)
(話せ。脳を動かすんだ)
アレンは自分に言い聞かせるように、震える声で薄れていく意識の中口を開いた。
「アレイスター・クロウリーを…退治する…気は…ありません……
あなたと…戦う…理由がない……。」
「お」
「彼…は…吸血鬼でも、化け物でも…何でもない……
僕達の……仲間かもしれないんです……」
エリアーデはその一言に目を見開き、狂気を浮かべたままの表情でアレンを殴る。
歪んだ笑い声を上げながら、何度も、何度も。
「仲間?バカじゃないの?アイツは吸血鬼よ!」
ドン、と襟首を両手でつかまれたままアレンは本棚に押し付けられた。
エリアーデの顔を見上げれば、さっきまでとは違う悲しそうな表情で。
「連れてなんて、行かせるもんか…っ」
その表情は今にも涙を流しそうな程悲愴な面持ちだった。
「だから、お前らは殺す」
その表情は一瞬で再び狂気に呑み込まれ、アレンは壁に叩きつけられ意識を失った。
「首落として、全身から血を抜いて城門に飾っといてやるわ。
もう誰もこの城に近づけないように」
斧を片手にアレンを足蹴にして仰向けにさせたエリアーデ。
一層強まった狂気の笑みと共に、彼女は渾身の力で斧を振り落とした。
「……ッ!!」
が、その斧はアレンの左腕に止められた。
アレンは意識のないまま、その斧を受け止め、握り砕いた。
そのまま、左手だけが暴走をはじめ、エリアーデに襲い掛かる。
間一髪で避けたものの、エリアーデは胸元に傷を負った。
「何、この子……!左手だけが勝手に動いてる…?!」
立ち上がったアレンの左目から、五芒星が現れる。
それは次第に人のドクロのような形になり、エリアーデに向かって笑みを浮かべた。
その目から放たれた光はエリアーデの魂を映し、エリアーデは一瞬肩をすくめた。
『タダイマ、アレン。闇ガ戻ッテキタヨ……』
無機質な声がアレンの耳に届く。
そのドクロはアレンの頭に吸い込まれるように取り込まれ、左目にはルーペのような物体が現れた。
それはエリアーデのアクマの魂を映し出す。
「アクマですね。前言撤回です。戦う理由が、出来ました」
左手を銃器型に転換しながら、アレンは低い声でそう言った。
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あれちゃんどこいった……(ダメすぎる)
エリアーデと絡めてないよ!
2007/04/12 カルア